これだけは知っておきたい!鉛筆デッサンの基礎知識と基本的技法について
簡単な道具で始められる鉛筆デッサンは、絵が上手くなりたい、仕事に活かしたい、趣味として楽しみたいなど、様々な人に人気があります。今回は鉛筆デッサンの基礎知識と、基本的な技法についてご紹介します。
- 目次
- 1. 鉛筆デッサンに必要な準備
- 1-1. 道具
- 1-2. モチーフ
- 1-3. 環境
- 2. 鉛筆デッサンの環境
- 2-1. 場所
- 2-2. 姿勢
- 3. 鉛筆デッサンの制作手順
- 3-1. 構図を決める
- 3-2. 形をとる(輪郭)
- 3-3. 形をとる(明暗・陰影)
- 3-4. 描きこむ(質感の表現)
- 3-5. 鉛筆デッサンの構図
- 3-6. モチーフがより美しくなる角度を探す
- 3-7. 書き始める前にいろいろな角度でクロッキーしてみるとよい
- 4. 鉛筆デッサンのモチーフ
- 4-1. モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
- 4-2. モチーフ選び
- 5. 鉛筆デッサンの線と調子
- 5-1. 線描と稜線
- 5-2. デッサンにおける「調子」とは
- 5-3. 明度と彩度
- 5-4. 鉛筆デッサンならではの表現
- 6. まとめ
01鉛筆デッサンに必要な準備
どんなことでも最初に必要なのが準備です。では鉛筆デッサンを始めるときにはまずどのような準備が必要なのでしょうか。
1-1道具
鉛筆デッサンを始めるときには、まず道具が必要です。といっても、鉛筆デッサンには特別な道具は必要ありません。
最低限必要な道具は、鉛筆と紙、消しゴムなど。もちろん、デッサン用の鉛筆には様々な種類があり、レベルが高いデッサンを描くためには、芯の硬さや濃さなどを選ぶことが必要です。同様に紙にも鉛筆の乗りがいいものや書きやすいものといった種類がありますが、まったくの初心者が鉛筆デッサンを始めるときには、家庭にあるものを使って初めてみるとよいでしょう。
その他にも、鉛筆を削るためのカッターナイフや線をにじませて表情を出すための布、画面を汚さず線を消すことができる練り消しゴムなど、鉛筆デッサンを行う上で必要な道具はありますが、これらはデッサンを行いながら、少しずつ揃えていくのがよいでしょう。
1-2モチーフ
デッサンを行うときには、描く道具と同じぐらいに必要なものがあります。それがモチーフ。モチーフはデッサンで描く対象のことです。
鉛筆デッサンは鉛筆だけを使用して、モチーフを描いていくもの。色の濃淡や明暗、質感などもすべて鉛筆によって表現します。
モチーフは形や光の反射などによって、描くのが簡単なものから難しいものまで様々な種類があります。
モチーフには専用のものもありますが、身近にあるものを使用することも少なくありません。
1-3環境
デッサンを行うときには、環境を整えることも重要です。
デッサンはかなり長い時間をかけて行うもの。さらに描く人の視点も重要になります。
また、デッサンではモチーフだけでなく、モチーフが置かれている環境を描くこともあります。もし机などにモチーフを置く場合には、テーブルクロスや白い布を敷くとよいでしょう。
02鉛筆デッサンの環境
鉛筆デッサンを行うときには環境にも配慮する必要があります。では鉛筆デッサンを行うときの環境はどのような点に注意すればよいのでしょうか。
2-1場所
すでにご紹介したように、鉛筆デッサンは鉛筆だけで色の濃淡や質感を表現します。このとき、意外に重要になるのが光。どこから光が入り、モチーフのどこを照らしているかということは、モチーフの質感や色にも影響を与えるもの。
そのため、モチーフを置くときには光がどこから当たるかも注意する必要があります。特に自然光の場合、少しずつ太陽が動いて光の当たり方が変わってしまいます。
また、照明器具が光源となる場合には、逆光にならないように配慮すること。
モチーフを置く場合、どこに置くときれいに見えるか、その状態が長く続くかといった点に注意しましょう。
2-2姿勢
一枚の鉛筆デッサンを書き終えるには、かなりの時間が必要になります。その間は視点をできるだけ動かさないこと。視点を動かすと、モチーフの見え方が変わってデッサンがおかしくなってしまいます。
そのため、デッサンを行うときには一定の姿勢を保ち、視線を固定するようにしましょう。特に集中したり、疲れたりすると、猫背になってしまいがちですが、猫背になると、視線が動いてしまうだけでなく、視野が狭くなってデッサンが狂ってしまいます。
デッサンを行うときには、長時間続けられる姿勢を心がけましょう。もし姿勢が変わってしまいやすいという場合には、座りやすい椅子とイーゼルを用意すると、視線が動きにくくなります。
03鉛筆デッサンの制作手順
実際に鉛筆デッサンを始めてみると、どこから手を付けてよいのか分からないということも少なくないもの。では鉛筆デッサンを始めるときには、どのような手順で進めるのがよいのでしょうか。
3-1構図を決める
デッサンを行うときには、まず全体の構図を決めるのがおすすめです。構図とは、モチーフをどの角度から、どんなサイズで描くか、余白はどの程度取るかということ。
いきなり画用紙に描き始めるのではなく、まずはいらない紙などを利用して、モチーフの大まかな形を描きます。光源の位置や視点の位置などを決めてデッサンを進めていくと、途中でやり直したり、上手く行かずにあきらめてしまったりといった失敗を防ぐことができます。
3-2形をとる(輪郭)
構図が決まったら、いよいよ本格的なデッサンのスタートです。
そのときに最初に行うのが、大まかに全体の形を取るということ。先ほど、いくつかの紙に描いたように、大きく輪郭線を描いていきます。そこで実際の画用紙の上のモチーフの大きさなどを確かめますが、この段階ではまだまだ修正ややり直すことも多いもの。そのため、はっきりとした線を描くよりも、柔らかめの鉛筆を使って弱い力で描くのがよいでしょう。
3-3形をとる(明暗・陰影)
全体の輪郭が決まったら、次に明るさに注意します。どの部分に光が当たっているか、どの部分が陰になっているかなどに注意しながら、少しずつ鉛筆を入れていきます。このとき、細かい部分に注意が向かいがちですが、あくまでも大きな視点で全体の形を考えながら行うことが必要です。
3-4描きこむ(質感の表現)
この段階まで来ると、どのような絵になるかといったイメージがはっきりしてくるもの。全体のイメージがつかめたら、細かい部分を書き込んでいきます。このときに注意したいのが質感。大きな形は出来上がっているため、部分による質感や素材の違いなどに注目して、鉛筆を入れていきましょう。
3-5鉛筆デッサンの構図
鉛筆デッサンでもっとも難しいのが構図を決めることです。構図が決まればデッサンもスムーズに進むものですが、初心者の場合にはこの段階で手間取ってしまうことも。では構図を決めるときにはどんなポイントに気をつければよいのでしょうか。
3-6モチーフがより美しくなる角度を探す
構図を決めるときに覚えておくと便利なのが「どこから見ればモチーフがより美しくなるか」ということ。
どんなモチーフでも、美しいと感じる角度や面白いと感じる見方があるもの。上級者になれば、あえて平凡な角度から描くのも練習になりますが、初心者の場合はまずデッサンを楽しむことが重要。
モチーフを置いたら色々な角度から眺めてみたり、モチーフを置きなおしたりすることで、デッサンに最適の角度が見つかります。
3-7書き始める前にいろいろな角度でクロッキーしてみるとよい
構図を決めるときの難しさのひとつが、どのように紙の上に描けばデッサンとして決まるのかが分からないということ。
もし構図に迷ったら、画用紙に書き始める前に、いろいろな角度からクロッキーを行ってみましょう。
クロッキーとは、時間を掛けずにモチーフを描くこと。クロッキーは上手に書く必要はありません。細かい部分を意識せずにいくつもの絵を描いていくことで、紙のサイズとのバランスを取ることができます。
04鉛筆デッサンのモチーフ
初心者にとって、上手なデッサンを描くためにはモチーフの選び方も重要です。
4-1モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
鉛筆デッサンはモチーフを正しく描くものですが、モチーフはもちろん、置かれている状況をきちんと理解することも大切なポイントです。
モチーフ自体の形や大きさはもちろん、光はどこから当たっているのか、置いている机や白い布の上にはどのような影が生まれているのか、空間にどんな位置を占めているのかなどを描くのがデッサンを行うということ。
デッサンを描くときには、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりしていないか、質感はしっかり感じられるかといった点にも注意を向けてみましょう。
これらの要素を正しく理解すると、本質をとらえたデッサンができるようになります。
4-2モチーフ選び
それでは、実際の鉛筆デッサンではどのようなモチーフを選べばよいのでしょうか。
本格的な鉛筆デッサンを行いたい場合や、絵の上達を目的にデッサンを始める場合におすすめなのが「幾何形体」と呼ばれるもの。
幾何形体とは、球や円柱、立方体などのこと。これらは専門的にデッサンを学ぶときに用いられる模型で、他のものと比べると単調に感じることもありますが、その分、陰影や明暗を描く練習としては最適。
アートの専門店や通販などでも入手できるので、まずは球体・円柱から、その後、立方体や角錐へと進んでいくと、デッサンの上達に役立ちます。
もし、幾何形体が手に入らないという場合や、単純すぎてつまらないという場合には、家庭に手に入るものをモチーフにすることもできます。
たとえば、マグカップや紙コップ。これらのカップは基本的に円柱形で、しかも質感がマットなので、初心者のデッサンには最適です。
その他にも、野菜や果物などもおすすめ。特にリンゴは球体に近く、シンプルなので初心者にぴったりのモチーフです。野菜や果物は光沢もあり、描いていて楽しいモチーフです。
意外なところではトイレットペーパーも良いモチーフです。こちらも基本的には円柱で、さらに紙のしわや質感も加わるため、練習には最適です。
もう少しレベルの高いものを描きたい場合に向いているのが布製品。タオルやハンカチなどの質感を再現するのは意外と難しく、画面に占めるボリュームも少ないため、構図を決める勉強にもなります。
もしこれらのものが物足りなくなった場合、おすすめしたいモチーフが「手」。手は形が複雑で質感も様々。人によって形も異なるため、追求すればするほど面白さが見えてくるモチーフです。
さらにスキルアップを目指す場合には、ガラスや木、金属など、家庭にあるものでも様々な素材をモチーフにすると、デッサンの技術を高めることにつながります。
05鉛筆デッサンの線と調子
デッサンでは「線」と「調子」などの専門用語が使われることがあります。ではこれらの専門用語はどのような意味があるのでしょうか。
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。
06まとめ
鉛筆デッサンには様々な基本的な知識や技巧があります。ただし、それらはデッサンを描きながらでも身につけられるもの。もし興味が出てきたという方は、まずは鉛筆デッサンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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Copyright © 2021 RYO SEKKEI ARCHITECT LEARNING SCHOOL All rights reserved.
1-1道具
鉛筆デッサンを始めるときには、まず道具が必要です。といっても、鉛筆デッサンには特別な道具は必要ありません。
最低限必要な道具は、鉛筆と紙、消しゴムなど。もちろん、デッサン用の鉛筆には様々な種類があり、レベルが高いデッサンを描くためには、芯の硬さや濃さなどを選ぶことが必要です。同様に紙にも鉛筆の乗りがいいものや書きやすいものといった種類がありますが、まったくの初心者が鉛筆デッサンを始めるときには、家庭にあるものを使って初めてみるとよいでしょう。
その他にも、鉛筆を削るためのカッターナイフや線をにじませて表情を出すための布、画面を汚さず線を消すことができる練り消しゴムなど、鉛筆デッサンを行う上で必要な道具はありますが、これらはデッサンを行いながら、少しずつ揃えていくのがよいでしょう。
1-2モチーフ
デッサンを行うときには、描く道具と同じぐらいに必要なものがあります。それがモチーフ。モチーフはデッサンで描く対象のことです。
鉛筆デッサンは鉛筆だけを使用して、モチーフを描いていくもの。色の濃淡や明暗、質感などもすべて鉛筆によって表現します。
モチーフは形や光の反射などによって、描くのが簡単なものから難しいものまで様々な種類があります。
モチーフには専用のものもありますが、身近にあるものを使用することも少なくありません。
1-3環境
デッサンを行うときには、環境を整えることも重要です。
デッサンはかなり長い時間をかけて行うもの。さらに描く人の視点も重要になります。
また、デッサンではモチーフだけでなく、モチーフが置かれている環境を描くこともあります。もし机などにモチーフを置く場合には、テーブルクロスや白い布を敷くとよいでしょう。
02鉛筆デッサンの環境
鉛筆デッサンを行うときには環境にも配慮する必要があります。では鉛筆デッサンを行うときの環境はどのような点に注意すればよいのでしょうか。
2-1場所
すでにご紹介したように、鉛筆デッサンは鉛筆だけで色の濃淡や質感を表現します。このとき、意外に重要になるのが光。どこから光が入り、モチーフのどこを照らしているかということは、モチーフの質感や色にも影響を与えるもの。
そのため、モチーフを置くときには光がどこから当たるかも注意する必要があります。特に自然光の場合、少しずつ太陽が動いて光の当たり方が変わってしまいます。
また、照明器具が光源となる場合には、逆光にならないように配慮すること。
モチーフを置く場合、どこに置くときれいに見えるか、その状態が長く続くかといった点に注意しましょう。
2-2姿勢
一枚の鉛筆デッサンを書き終えるには、かなりの時間が必要になります。その間は視点をできるだけ動かさないこと。視点を動かすと、モチーフの見え方が変わってデッサンがおかしくなってしまいます。
そのため、デッサンを行うときには一定の姿勢を保ち、視線を固定するようにしましょう。特に集中したり、疲れたりすると、猫背になってしまいがちですが、猫背になると、視線が動いてしまうだけでなく、視野が狭くなってデッサンが狂ってしまいます。
デッサンを行うときには、長時間続けられる姿勢を心がけましょう。もし姿勢が変わってしまいやすいという場合には、座りやすい椅子とイーゼルを用意すると、視線が動きにくくなります。
03鉛筆デッサンの制作手順
実際に鉛筆デッサンを始めてみると、どこから手を付けてよいのか分からないということも少なくないもの。では鉛筆デッサンを始めるときには、どのような手順で進めるのがよいのでしょうか。
3-1構図を決める
デッサンを行うときには、まず全体の構図を決めるのがおすすめです。構図とは、モチーフをどの角度から、どんなサイズで描くか、余白はどの程度取るかということ。
いきなり画用紙に描き始めるのではなく、まずはいらない紙などを利用して、モチーフの大まかな形を描きます。光源の位置や視点の位置などを決めてデッサンを進めていくと、途中でやり直したり、上手く行かずにあきらめてしまったりといった失敗を防ぐことができます。
3-2形をとる(輪郭)
構図が決まったら、いよいよ本格的なデッサンのスタートです。
そのときに最初に行うのが、大まかに全体の形を取るということ。先ほど、いくつかの紙に描いたように、大きく輪郭線を描いていきます。そこで実際の画用紙の上のモチーフの大きさなどを確かめますが、この段階ではまだまだ修正ややり直すことも多いもの。そのため、はっきりとした線を描くよりも、柔らかめの鉛筆を使って弱い力で描くのがよいでしょう。
3-3形をとる(明暗・陰影)
全体の輪郭が決まったら、次に明るさに注意します。どの部分に光が当たっているか、どの部分が陰になっているかなどに注意しながら、少しずつ鉛筆を入れていきます。このとき、細かい部分に注意が向かいがちですが、あくまでも大きな視点で全体の形を考えながら行うことが必要です。
3-4描きこむ(質感の表現)
この段階まで来ると、どのような絵になるかといったイメージがはっきりしてくるもの。全体のイメージがつかめたら、細かい部分を書き込んでいきます。このときに注意したいのが質感。大きな形は出来上がっているため、部分による質感や素材の違いなどに注目して、鉛筆を入れていきましょう。
3-5鉛筆デッサンの構図
鉛筆デッサンでもっとも難しいのが構図を決めることです。構図が決まればデッサンもスムーズに進むものですが、初心者の場合にはこの段階で手間取ってしまうことも。では構図を決めるときにはどんなポイントに気をつければよいのでしょうか。
3-6モチーフがより美しくなる角度を探す
構図を決めるときに覚えておくと便利なのが「どこから見ればモチーフがより美しくなるか」ということ。
どんなモチーフでも、美しいと感じる角度や面白いと感じる見方があるもの。上級者になれば、あえて平凡な角度から描くのも練習になりますが、初心者の場合はまずデッサンを楽しむことが重要。
モチーフを置いたら色々な角度から眺めてみたり、モチーフを置きなおしたりすることで、デッサンに最適の角度が見つかります。
3-7書き始める前にいろいろな角度でクロッキーしてみるとよい
構図を決めるときの難しさのひとつが、どのように紙の上に描けばデッサンとして決まるのかが分からないということ。
もし構図に迷ったら、画用紙に書き始める前に、いろいろな角度からクロッキーを行ってみましょう。
クロッキーとは、時間を掛けずにモチーフを描くこと。クロッキーは上手に書く必要はありません。細かい部分を意識せずにいくつもの絵を描いていくことで、紙のサイズとのバランスを取ることができます。
04鉛筆デッサンのモチーフ
初心者にとって、上手なデッサンを描くためにはモチーフの選び方も重要です。
4-1モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
鉛筆デッサンはモチーフを正しく描くものですが、モチーフはもちろん、置かれている状況をきちんと理解することも大切なポイントです。
モチーフ自体の形や大きさはもちろん、光はどこから当たっているのか、置いている机や白い布の上にはどのような影が生まれているのか、空間にどんな位置を占めているのかなどを描くのがデッサンを行うということ。
デッサンを描くときには、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりしていないか、質感はしっかり感じられるかといった点にも注意を向けてみましょう。
これらの要素を正しく理解すると、本質をとらえたデッサンができるようになります。
4-2モチーフ選び
それでは、実際の鉛筆デッサンではどのようなモチーフを選べばよいのでしょうか。
本格的な鉛筆デッサンを行いたい場合や、絵の上達を目的にデッサンを始める場合におすすめなのが「幾何形体」と呼ばれるもの。
幾何形体とは、球や円柱、立方体などのこと。これらは専門的にデッサンを学ぶときに用いられる模型で、他のものと比べると単調に感じることもありますが、その分、陰影や明暗を描く練習としては最適。
アートの専門店や通販などでも入手できるので、まずは球体・円柱から、その後、立方体や角錐へと進んでいくと、デッサンの上達に役立ちます。
もし、幾何形体が手に入らないという場合や、単純すぎてつまらないという場合には、家庭に手に入るものをモチーフにすることもできます。
たとえば、マグカップや紙コップ。これらのカップは基本的に円柱形で、しかも質感がマットなので、初心者のデッサンには最適です。
その他にも、野菜や果物などもおすすめ。特にリンゴは球体に近く、シンプルなので初心者にぴったりのモチーフです。野菜や果物は光沢もあり、描いていて楽しいモチーフです。
意外なところではトイレットペーパーも良いモチーフです。こちらも基本的には円柱で、さらに紙のしわや質感も加わるため、練習には最適です。
もう少しレベルの高いものを描きたい場合に向いているのが布製品。タオルやハンカチなどの質感を再現するのは意外と難しく、画面に占めるボリュームも少ないため、構図を決める勉強にもなります。
もしこれらのものが物足りなくなった場合、おすすめしたいモチーフが「手」。手は形が複雑で質感も様々。人によって形も異なるため、追求すればするほど面白さが見えてくるモチーフです。
さらにスキルアップを目指す場合には、ガラスや木、金属など、家庭にあるものでも様々な素材をモチーフにすると、デッサンの技術を高めることにつながります。
05鉛筆デッサンの線と調子
デッサンでは「線」と「調子」などの専門用語が使われることがあります。ではこれらの専門用語はどのような意味があるのでしょうか。
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。
06まとめ
鉛筆デッサンには様々な基本的な知識や技巧があります。ただし、それらはデッサンを描きながらでも身につけられるもの。もし興味が出てきたという方は、まずは鉛筆デッサンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
Copyright © 2021 RYO SEKKEI ARCHITECT LEARNING SCHOOL All rights reserved.
2-1場所
すでにご紹介したように、鉛筆デッサンは鉛筆だけで色の濃淡や質感を表現します。このとき、意外に重要になるのが光。どこから光が入り、モチーフのどこを照らしているかということは、モチーフの質感や色にも影響を与えるもの。
そのため、モチーフを置くときには光がどこから当たるかも注意する必要があります。特に自然光の場合、少しずつ太陽が動いて光の当たり方が変わってしまいます。
また、照明器具が光源となる場合には、逆光にならないように配慮すること。
モチーフを置く場合、どこに置くときれいに見えるか、その状態が長く続くかといった点に注意しましょう。
2-2姿勢
一枚の鉛筆デッサンを書き終えるには、かなりの時間が必要になります。その間は視点をできるだけ動かさないこと。視点を動かすと、モチーフの見え方が変わってデッサンがおかしくなってしまいます。
そのため、デッサンを行うときには一定の姿勢を保ち、視線を固定するようにしましょう。特に集中したり、疲れたりすると、猫背になってしまいがちですが、猫背になると、視線が動いてしまうだけでなく、視野が狭くなってデッサンが狂ってしまいます。
デッサンを行うときには、長時間続けられる姿勢を心がけましょう。もし姿勢が変わってしまいやすいという場合には、座りやすい椅子とイーゼルを用意すると、視線が動きにくくなります。
03鉛筆デッサンの制作手順
実際に鉛筆デッサンを始めてみると、どこから手を付けてよいのか分からないということも少なくないもの。では鉛筆デッサンを始めるときには、どのような手順で進めるのがよいのでしょうか。
3-1構図を決める
デッサンを行うときには、まず全体の構図を決めるのがおすすめです。構図とは、モチーフをどの角度から、どんなサイズで描くか、余白はどの程度取るかということ。
いきなり画用紙に描き始めるのではなく、まずはいらない紙などを利用して、モチーフの大まかな形を描きます。光源の位置や視点の位置などを決めてデッサンを進めていくと、途中でやり直したり、上手く行かずにあきらめてしまったりといった失敗を防ぐことができます。
3-2形をとる(輪郭)
構図が決まったら、いよいよ本格的なデッサンのスタートです。
そのときに最初に行うのが、大まかに全体の形を取るということ。先ほど、いくつかの紙に描いたように、大きく輪郭線を描いていきます。そこで実際の画用紙の上のモチーフの大きさなどを確かめますが、この段階ではまだまだ修正ややり直すことも多いもの。そのため、はっきりとした線を描くよりも、柔らかめの鉛筆を使って弱い力で描くのがよいでしょう。
3-3形をとる(明暗・陰影)
全体の輪郭が決まったら、次に明るさに注意します。どの部分に光が当たっているか、どの部分が陰になっているかなどに注意しながら、少しずつ鉛筆を入れていきます。このとき、細かい部分に注意が向かいがちですが、あくまでも大きな視点で全体の形を考えながら行うことが必要です。
3-4描きこむ(質感の表現)
この段階まで来ると、どのような絵になるかといったイメージがはっきりしてくるもの。全体のイメージがつかめたら、細かい部分を書き込んでいきます。このときに注意したいのが質感。大きな形は出来上がっているため、部分による質感や素材の違いなどに注目して、鉛筆を入れていきましょう。
3-5鉛筆デッサンの構図
鉛筆デッサンでもっとも難しいのが構図を決めることです。構図が決まればデッサンもスムーズに進むものですが、初心者の場合にはこの段階で手間取ってしまうことも。では構図を決めるときにはどんなポイントに気をつければよいのでしょうか。
3-6モチーフがより美しくなる角度を探す
構図を決めるときに覚えておくと便利なのが「どこから見ればモチーフがより美しくなるか」ということ。
どんなモチーフでも、美しいと感じる角度や面白いと感じる見方があるもの。上級者になれば、あえて平凡な角度から描くのも練習になりますが、初心者の場合はまずデッサンを楽しむことが重要。
モチーフを置いたら色々な角度から眺めてみたり、モチーフを置きなおしたりすることで、デッサンに最適の角度が見つかります。
3-7書き始める前にいろいろな角度でクロッキーしてみるとよい
構図を決めるときの難しさのひとつが、どのように紙の上に描けばデッサンとして決まるのかが分からないということ。
もし構図に迷ったら、画用紙に書き始める前に、いろいろな角度からクロッキーを行ってみましょう。
クロッキーとは、時間を掛けずにモチーフを描くこと。クロッキーは上手に書く必要はありません。細かい部分を意識せずにいくつもの絵を描いていくことで、紙のサイズとのバランスを取ることができます。
04鉛筆デッサンのモチーフ
初心者にとって、上手なデッサンを描くためにはモチーフの選び方も重要です。
4-1モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
鉛筆デッサンはモチーフを正しく描くものですが、モチーフはもちろん、置かれている状況をきちんと理解することも大切なポイントです。
モチーフ自体の形や大きさはもちろん、光はどこから当たっているのか、置いている机や白い布の上にはどのような影が生まれているのか、空間にどんな位置を占めているのかなどを描くのがデッサンを行うということ。
デッサンを描くときには、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりしていないか、質感はしっかり感じられるかといった点にも注意を向けてみましょう。
これらの要素を正しく理解すると、本質をとらえたデッサンができるようになります。
4-2モチーフ選び
それでは、実際の鉛筆デッサンではどのようなモチーフを選べばよいのでしょうか。
本格的な鉛筆デッサンを行いたい場合や、絵の上達を目的にデッサンを始める場合におすすめなのが「幾何形体」と呼ばれるもの。
幾何形体とは、球や円柱、立方体などのこと。これらは専門的にデッサンを学ぶときに用いられる模型で、他のものと比べると単調に感じることもありますが、その分、陰影や明暗を描く練習としては最適。
アートの専門店や通販などでも入手できるので、まずは球体・円柱から、その後、立方体や角錐へと進んでいくと、デッサンの上達に役立ちます。
もし、幾何形体が手に入らないという場合や、単純すぎてつまらないという場合には、家庭に手に入るものをモチーフにすることもできます。
たとえば、マグカップや紙コップ。これらのカップは基本的に円柱形で、しかも質感がマットなので、初心者のデッサンには最適です。
その他にも、野菜や果物などもおすすめ。特にリンゴは球体に近く、シンプルなので初心者にぴったりのモチーフです。野菜や果物は光沢もあり、描いていて楽しいモチーフです。
意外なところではトイレットペーパーも良いモチーフです。こちらも基本的には円柱で、さらに紙のしわや質感も加わるため、練習には最適です。
もう少しレベルの高いものを描きたい場合に向いているのが布製品。タオルやハンカチなどの質感を再現するのは意外と難しく、画面に占めるボリュームも少ないため、構図を決める勉強にもなります。
もしこれらのものが物足りなくなった場合、おすすめしたいモチーフが「手」。手は形が複雑で質感も様々。人によって形も異なるため、追求すればするほど面白さが見えてくるモチーフです。
さらにスキルアップを目指す場合には、ガラスや木、金属など、家庭にあるものでも様々な素材をモチーフにすると、デッサンの技術を高めることにつながります。
05鉛筆デッサンの線と調子
デッサンでは「線」と「調子」などの専門用語が使われることがあります。ではこれらの専門用語はどのような意味があるのでしょうか。
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。
06まとめ
鉛筆デッサンには様々な基本的な知識や技巧があります。ただし、それらはデッサンを描きながらでも身につけられるもの。もし興味が出てきたという方は、まずは鉛筆デッサンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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3-1構図を決める
デッサンを行うときには、まず全体の構図を決めるのがおすすめです。構図とは、モチーフをどの角度から、どんなサイズで描くか、余白はどの程度取るかということ。
いきなり画用紙に描き始めるのではなく、まずはいらない紙などを利用して、モチーフの大まかな形を描きます。光源の位置や視点の位置などを決めてデッサンを進めていくと、途中でやり直したり、上手く行かずにあきらめてしまったりといった失敗を防ぐことができます。
3-2形をとる(輪郭)
構図が決まったら、いよいよ本格的なデッサンのスタートです。
そのときに最初に行うのが、大まかに全体の形を取るということ。先ほど、いくつかの紙に描いたように、大きく輪郭線を描いていきます。そこで実際の画用紙の上のモチーフの大きさなどを確かめますが、この段階ではまだまだ修正ややり直すことも多いもの。そのため、はっきりとした線を描くよりも、柔らかめの鉛筆を使って弱い力で描くのがよいでしょう。
3-3形をとる(明暗・陰影)
全体の輪郭が決まったら、次に明るさに注意します。どの部分に光が当たっているか、どの部分が陰になっているかなどに注意しながら、少しずつ鉛筆を入れていきます。このとき、細かい部分に注意が向かいがちですが、あくまでも大きな視点で全体の形を考えながら行うことが必要です。
3-4描きこむ(質感の表現)
この段階まで来ると、どのような絵になるかといったイメージがはっきりしてくるもの。全体のイメージがつかめたら、細かい部分を書き込んでいきます。このときに注意したいのが質感。大きな形は出来上がっているため、部分による質感や素材の違いなどに注目して、鉛筆を入れていきましょう。
3-5鉛筆デッサンの構図
鉛筆デッサンでもっとも難しいのが構図を決めることです。構図が決まればデッサンもスムーズに進むものですが、初心者の場合にはこの段階で手間取ってしまうことも。では構図を決めるときにはどんなポイントに気をつければよいのでしょうか。
3-6モチーフがより美しくなる角度を探す
構図を決めるときに覚えておくと便利なのが「どこから見ればモチーフがより美しくなるか」ということ。
どんなモチーフでも、美しいと感じる角度や面白いと感じる見方があるもの。上級者になれば、あえて平凡な角度から描くのも練習になりますが、初心者の場合はまずデッサンを楽しむことが重要。
モチーフを置いたら色々な角度から眺めてみたり、モチーフを置きなおしたりすることで、デッサンに最適の角度が見つかります。
3-7書き始める前にいろいろな角度でクロッキーしてみるとよい
構図を決めるときの難しさのひとつが、どのように紙の上に描けばデッサンとして決まるのかが分からないということ。
もし構図に迷ったら、画用紙に書き始める前に、いろいろな角度からクロッキーを行ってみましょう。
クロッキーとは、時間を掛けずにモチーフを描くこと。クロッキーは上手に書く必要はありません。細かい部分を意識せずにいくつもの絵を描いていくことで、紙のサイズとのバランスを取ることができます。
04鉛筆デッサンのモチーフ
初心者にとって、上手なデッサンを描くためにはモチーフの選び方も重要です。
4-1モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
鉛筆デッサンはモチーフを正しく描くものですが、モチーフはもちろん、置かれている状況をきちんと理解することも大切なポイントです。
モチーフ自体の形や大きさはもちろん、光はどこから当たっているのか、置いている机や白い布の上にはどのような影が生まれているのか、空間にどんな位置を占めているのかなどを描くのがデッサンを行うということ。
デッサンを描くときには、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりしていないか、質感はしっかり感じられるかといった点にも注意を向けてみましょう。
これらの要素を正しく理解すると、本質をとらえたデッサンができるようになります。
4-2モチーフ選び
それでは、実際の鉛筆デッサンではどのようなモチーフを選べばよいのでしょうか。
本格的な鉛筆デッサンを行いたい場合や、絵の上達を目的にデッサンを始める場合におすすめなのが「幾何形体」と呼ばれるもの。
幾何形体とは、球や円柱、立方体などのこと。これらは専門的にデッサンを学ぶときに用いられる模型で、他のものと比べると単調に感じることもありますが、その分、陰影や明暗を描く練習としては最適。
アートの専門店や通販などでも入手できるので、まずは球体・円柱から、その後、立方体や角錐へと進んでいくと、デッサンの上達に役立ちます。
もし、幾何形体が手に入らないという場合や、単純すぎてつまらないという場合には、家庭に手に入るものをモチーフにすることもできます。
たとえば、マグカップや紙コップ。これらのカップは基本的に円柱形で、しかも質感がマットなので、初心者のデッサンには最適です。
その他にも、野菜や果物などもおすすめ。特にリンゴは球体に近く、シンプルなので初心者にぴったりのモチーフです。野菜や果物は光沢もあり、描いていて楽しいモチーフです。
意外なところではトイレットペーパーも良いモチーフです。こちらも基本的には円柱で、さらに紙のしわや質感も加わるため、練習には最適です。
もう少しレベルの高いものを描きたい場合に向いているのが布製品。タオルやハンカチなどの質感を再現するのは意外と難しく、画面に占めるボリュームも少ないため、構図を決める勉強にもなります。
もしこれらのものが物足りなくなった場合、おすすめしたいモチーフが「手」。手は形が複雑で質感も様々。人によって形も異なるため、追求すればするほど面白さが見えてくるモチーフです。
さらにスキルアップを目指す場合には、ガラスや木、金属など、家庭にあるものでも様々な素材をモチーフにすると、デッサンの技術を高めることにつながります。
05鉛筆デッサンの線と調子
デッサンでは「線」と「調子」などの専門用語が使われることがあります。ではこれらの専門用語はどのような意味があるのでしょうか。
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。
06まとめ
鉛筆デッサンには様々な基本的な知識や技巧があります。ただし、それらはデッサンを描きながらでも身につけられるもの。もし興味が出てきたという方は、まずは鉛筆デッサンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
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4-1モチーフを構成する要素、置かれている状況を理解する
鉛筆デッサンはモチーフを正しく描くものですが、モチーフはもちろん、置かれている状況をきちんと理解することも大切なポイントです。
モチーフ自体の形や大きさはもちろん、光はどこから当たっているのか、置いている机や白い布の上にはどのような影が生まれているのか、空間にどんな位置を占めているのかなどを描くのがデッサンを行うということ。
デッサンを描くときには、モチーフが大きすぎたり、小さすぎたりしていないか、質感はしっかり感じられるかといった点にも注意を向けてみましょう。
これらの要素を正しく理解すると、本質をとらえたデッサンができるようになります。
4-2モチーフ選び
それでは、実際の鉛筆デッサンではどのようなモチーフを選べばよいのでしょうか。
本格的な鉛筆デッサンを行いたい場合や、絵の上達を目的にデッサンを始める場合におすすめなのが「幾何形体」と呼ばれるもの。
幾何形体とは、球や円柱、立方体などのこと。これらは専門的にデッサンを学ぶときに用いられる模型で、他のものと比べると単調に感じることもありますが、その分、陰影や明暗を描く練習としては最適。
アートの専門店や通販などでも入手できるので、まずは球体・円柱から、その後、立方体や角錐へと進んでいくと、デッサンの上達に役立ちます。
もし、幾何形体が手に入らないという場合や、単純すぎてつまらないという場合には、家庭に手に入るものをモチーフにすることもできます。
たとえば、マグカップや紙コップ。これらのカップは基本的に円柱形で、しかも質感がマットなので、初心者のデッサンには最適です。
その他にも、野菜や果物などもおすすめ。特にリンゴは球体に近く、シンプルなので初心者にぴったりのモチーフです。野菜や果物は光沢もあり、描いていて楽しいモチーフです。
意外なところではトイレットペーパーも良いモチーフです。こちらも基本的には円柱で、さらに紙のしわや質感も加わるため、練習には最適です。
もう少しレベルの高いものを描きたい場合に向いているのが布製品。タオルやハンカチなどの質感を再現するのは意外と難しく、画面に占めるボリュームも少ないため、構図を決める勉強にもなります。
もしこれらのものが物足りなくなった場合、おすすめしたいモチーフが「手」。手は形が複雑で質感も様々。人によって形も異なるため、追求すればするほど面白さが見えてくるモチーフです。
さらにスキルアップを目指す場合には、ガラスや木、金属など、家庭にあるものでも様々な素材をモチーフにすると、デッサンの技術を高めることにつながります。
05鉛筆デッサンの線と調子
デッサンでは「線」と「調子」などの専門用語が使われることがあります。ではこれらの専門用語はどのような意味があるのでしょうか。
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。
06まとめ
鉛筆デッサンには様々な基本的な知識や技巧があります。ただし、それらはデッサンを描きながらでも身につけられるもの。もし興味が出てきたという方は、まずは鉛筆デッサンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
5-1線描と稜線
デッサンで線を引くことは「線描」と呼ばれています。デッサンではまず線描を行い、大まかな形をとらえていきます。
同時に使われるのが「稜線」というもの。稜線は、モチーフの形が変わる部分に使われる線のこと。モチーフの変化を薄い線で描くことで、より立体に対する意識付けを行います。
5-2デッサンにおける「調子」とは
デッサンで使われることが多いのが「調子」という言葉です。
「調子」とは、簡単に言えば光と影によってできる明暗の変化のこと。鉛筆で描いたグレーの濃淡、明暗などが調子に当たります。
「調子」は「調子を取る」、「調子を入れる」、「調子が足りない」などといった形で使われます。
逆に「鉛筆で塗る」といった表現は使われません。これは鉛筆デッサンが、鉛筆で立体感や光の明暗、質感などを表現するものだから。「塗る」という言葉を使うと、描くというデッサンの本質から遠ざかってしまいます。
5-3明度と彩度
「調子」は鉛筆デッサンの本質にかかわる表現として用いられますが、鉛筆でつけられる調子には、明度と彩度があります。
明度と彩度とは、画面の明るさや色合いのこと。明度が高い場合、画面は明るく、明度が低い場合は画面が暗いことを示しています。鉛筆デッサンでは、画用紙の白い色がもっとも明度が高く、柔らかい鉛筆で濃く描かれたものは明度が低いということになります。
一方、彩度は色のあざやかさ。鉛筆デッサンは鉛筆だけを用いるため、基本的には色は白と黒しかありませんが、彩度が高いという場合は柔らかい鉛筆で描いた、画用紙の目が潰れていない調子を、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり、擦ったりして、画用紙の目が潰れている調子を表します。
5-4鉛筆デッサンならではの表現
鉛筆デッサンでは、光源と影、光源に対するモチーフの明暗を描くことも重要です。光をキチンと描くことは、立体感を描くことにもつながるもの。
美しい光と立体感を表現するためには、形にあった線、線の方向を使うことも重要。
さらに鉛筆の種類ごとの使い分けや、鉛筆の線をこすってぼかしたり、練りゴムを使って線を変化させるなど、表情の付け方を研究すると、より幅の広いデッサンを描くことができます。