デッサンとは?クロッキーやスケッチ、模写、ドローイングとの違いについて
デッサンというと、鉛筆で対象を描くというイメージです。では、クロッキーやスケッチ、模写とはどんな違いがあるのでしょうか。また、デッサンはドローイングとも呼ばれることもありますが、場所や状況によってこの二つも区別して使用されることがあります。今回はデッサンとクロッキー、スケッチ、模写、ドローイングなどの違いについてご紹介します。
- 目次
01デッサン・素描・ドローイングとは?
日本における「デッサン」はフランス語で「デザイン」を意味する「デッサン(dessin)」を語源とした言葉です。さらにデッサンは、日本語では「素描」 、英語では「ドローイング (drawing)」と呼ばれます。日本の場合、「デッサン」「素描」「ドローイング」はほぼ同じ意味だと考えてよいでしょう。
ところが、「デッサン」と「ドローイング」は別の意味を持った言葉として扱われることがあります。
1-1日本におけるデッサンとドローイングの解釈の違い
同じ意味としても、別の意味としても使われる「デッサン」と「ドローイング」ではこの二つにはどのような共通点と違いがあるのでしょうか。
1-2デッサン
まず押さえておきたいのは、一般的な意味としては「デッサン」も「ドローイング」もほとんど同じように使われるということ。
ただし、専門的な美術教育や制作現場などでは、「デッサン」と「ドローイング」は分けて使われることがあります。
では、この二つはそれぞれどのような意味なのでしょうか。
「デッサン」は日本では非常によく使われる言葉です。「デッサン」とは、一言で言えば彩色前の下絵として輪郭や質感、立体感などを捉える目的で時間をかけて正確に描かれるものを指しています。
「デッサン」には様々な種類があり、人物をモデルにして再現する「人物デッサン」や石膏で出来た像などを描写する「石膏デッサン」などが一般的。
使用される筆記具は鉛筆や木炭、コンテなどで白い紙に描くことが多いもの。また、写実的で再現的な描写、古典的な手法などどちらかといえばアカデミックな分野で用いられます。
つまり、対象となる形を正確に写し取ったり、明暗や遠近を利用して立体的に描いたりということ。特に美大や芸大を目的とした美術教室などで重視され、絵画の基本となっています。
つまり、「デッサン」は現実を正確に再現することを目的にしていると考えればよいでしょう。
そのため、「デッサン」を行うためにはある程度の時間が必要になります。しっかり時間をかけて対象を観察、それを段階的に表現していくことも「デッサン」の特徴です。
1-3ドローイング
一方、日本で特別に「ドローイング」というときには、現実をそのまま描写するというだけでなく、書き手の内面的な要素も重要になります。また、即興性が強く、個性が現れるのも「ドローイング」の特徴。極端に言えば、子どもがクレヨンやチョークなどで画用紙などに描いたものも「ドローイング」ということになります。
といっても、好きなようにイメージを描いたものというわけではなく、あくまでも対象の存在があるのが「デッサン」と「ドローイング」の共通点。
どれだけ好きなようにも描いたとしても、「ドローイング」では対象の存在が重要になります。
そのため、「ドローイング」は現実を正確に写し取ることを目的にした「デッサン」とは異なり、精神性や身体性なども重視されます。書き手がどのような意識と手法で描いたのかが「ドローイング」では重要です。
また、「デッサン」が時間をかけて対象を少しずつ描写していくことに対して、「ドローイング」の場合には瞬間的な判断で筆記具を動かし、短時間で完成させるということが多くなります。
この違いはあくまでも専門的な現場で行われるもので、一般的には「デッサン」と「ドローイング」とはほとんど同じ意味に使われます。
また、「スケッチ」や「クロッキー」を「ドローイング」とは別のものとみなす人もいれば、同じものと考える人もいます。この三種類は人によって解釈が異なるものと言うことができるでしょう。
ただし、描写の過程で行われる「塗り」の要素が強いものや、「塗り」が重要な役割を果たしている物に関しては、特に区別して「ペインティング(painting)」と呼ばれることがあります。
02デッサンとクロッキー、スケッチの違い
日本の場合、「デッサン」と同じようなものとして「クロッキー」や「スケッチ」があります。こちらも「ドローイング」と同じように、ほぼ同じ意味に使われることもありますが、厳密にはこの「デッサン」「クロッキー」「スケッチ」はそれぞれ異なるものとして扱われます。
2-1スケッチ
「スケッチ」の語源は英語の「sketch」。意味は「絵」や「スケッチ」で、対象を大まかに描くということを指しています。
日本語では「写生」と訳されますが、大まかに対象の輪郭や特徴を描くという意味では、「素描」に近いかもしれません。
「スケッチ」はもともとそれほど時間をかけるものではありませんが、さらに短時間で、完結に描いたものは「ラフスケッチ」と呼ばれることもあります。
また、「スケッチ」に水彩や油彩の絵の具を乗せて作品として仕上げたり、スケッチを元に別の作品を作ることも。
スケッチは鉛筆で描かれることがほとんどですが、厳密に道具の決まりはありません。
そのため、モノトーンだけでなく、色鉛筆やクレヨンなどが用いられることも。また、水彩絵の具で描いたスケッチは「水彩スケッチ」などと呼ばれます。
「スケッチ」というと、多くの場合このような絵を指していますが、文章や演劇などの世界でも、短く簡潔にまとめられたものは「スケッチ」と呼ばれることもあります。
「スケッチ」は美術教育の基礎として用いられることも多く、対象の持っている形や特徴、質感などを全体的にとらえる訓練のひとつともされています。日本でも学校の美術の時間に「写生」が行われることがありますが、それが日本の「スケッチ」イコール「写生」としてとらえられるようになったとも考えられます。
さらに「スケッチ」は本格的な作品に入る前の下書き的な用いられ方をすることもあります。水彩や油彩の場合、一度初めてしまうとなかなか訂正が難しいこともあり、その前に何度かスケッチを行うことで、全体のバランスや構図を決める役割を果たします。
2-2クロッキー
「クロッキー」の語源はフランス語の「croquis」。日本語では「速写」と翻訳されますが、英語では「スケッチ」と同じ「sketch」になり、これが「クロッキー」と「スケッチ」の違いを分かりにくくしています。
日常的な言葉としてはほぼ同じ意味だと考えれば構いませんが、専門的な分野で特に区別して「クロッキー」という場合には、人物や動物などの動きがあるものを簡潔に線だけで描くことだと考えればよいでしょう。
大まかな特徴をとらえて描くという意味では「スケッチ」と同じですが、「クロッキー」の場合にはさらに時間が短く、長くても十分程度の時間で仕上げることが一般的です。
そのため、風景を描写するというよりも、対象の動きなどに焦点を合わせたり、目立つ質感や光沢などに注目したりといった特徴があります。
このように、「クロッキー」は動いているものや変化しているものを描くことが中心。そのため、短期間で対象をとらえる訓練として、デッサン力を鍛えるための練習として用いられることも。それ以外にも、本格的なデッサンを始める前の腕慣らしとして描かれることもあります。
また、「クロッキー」と相性のよい表現方法がマンガ。マンガは静止しているものを描くというより、動いているものを描いたり、描いたものに躍動感を感じさせることが中心。もちろん、マンガを描くためにもデッサンが大切ですが、デッサンだけでなくクロッキーもマンガの練習として推奨されることがあります。
03デッサンと模写の違い
美術や絵画のトレーニングとして「デッサン」だけでなく「模写」を進められることがあります。では「デッサン」と「模写」は、どのような違いがあるのでしょうか。
3-1模写とは
模写とは、一言で言えば他人の作品を忠実に再現して描くことです。他人の作品を写し取ることは、作者の意図や作品の制作過程を自分で体感することにより、より深い理解につながるもの。
他人の作品を写し取るというと、それほど難しくないと考えがちですが、実際に模写を行ってみると分かるように、細かい部分まで性格に再現を行うためには、非常に高い技術や知識、経験が必要になります。
模写は日本画の世界において、古くから修行のひとつとして用いられ、技術面での習得だけでなく、元々の作品が持っている様式や精神性を学ぶ効果もあると言われています。
模写は「模作」とも呼ばれていますが、価値のある作品をそのまま写し取ることは「転写」と呼ばれ、二つは厳密に区別されています。
古典作品の模写を「古典模写」と呼ばれ、技術の向上以外にも、文化財保存の目的として行われることもあります。
模写を行うときには、対象をそのまま写し取ることに注意が向きがちですが、実際にはそれ以外にも様々なポイントを押さえることが必要です。
まず模写に必要なのは、全体のバランスや構図、構造などを理解すること。どのような作品でも、なぜこのような形で描かれているのか、なぜこのバランスになっているのかなど、それぞれの部分には理由があります。
まず手を動かし始める前に、その作品の全体像を理解する必要があります。
さらに、模写を行うときには対象になるものをしっかり観察すること。
一部分だけに注目して模写を行うと、細かい技術を習得することはできるかもしれませんが、重要な本質を知ることができません。部分と部分の間の空間や、立体の表現、遠近感などにも注目することが正しい模写を行うためには重要になります。
それに加えて、模写で重要なのが対象の筆遣いなどを理解すること。模写の目的は上手に絵を写し取ることではありません。模写で重要なのは、なぜこのような配置になっているのか、なぜこのような筆遣いが行われたのかを自分で考えながら描くこと。
模写を始めたばかりの頃には、ついつい上手に絵を写すことが目的になりがちですが、そもそも模写を行うのは自分の技術や知識、考え方を向上させるため。
どうすれば自分の絵の向上に役立つのか考えながら行うことが重要です。
もしどうしても上手く模写ができないという場合、自分のレベルとかけ離れた作品を選んでいる可能性も。
模写もデッサンと同じである程度の経験が必要です。まずは出来るだけシンプルなものから始めて、模写のコツをつかむようにしましょう。
また、模写を行うときには書き方の基本を学んでおくこと。目についたところから模写を始めるのではなく、書き手と同じような手順で模写を行うことが成功への近道です。
3-2模写の種類
模写は対象となる絵を写すことですが、実際には模写にはいくつかの種類があります。
模写で一般的なのは、実際の作品を自分の目で見ながらそれを写すこと。作品を間近で見ると、筆の運びや特徴、全体の配置といった細かい点を知ることができるため、より対象をくわしく知ることができます。
ただし、貴重な作品や海外の作品などは簡単に自分の目で見ることはできません。もし見ることができたとしても、模写を行うことが禁止されているといったケースも。
そういう場合には、写真を元に「写真模写」が行われることがあります。写真模写は、どのような作品でも対象に出来るという点が大きなメリット。歴史的に大きな価値がある作品などの模写を行うことで、さらに自分自身の知識と技術の向上に役立ちます。
ただし、写真では細かい部分や正確さに欠けるというデメリットも。
また、既存の作品だけでなく、人物などの写真を参考にしてデッサンやクロッキー、スケッチなどを行うことも写真模写と呼ばれることがあります。
さらに模写の中には自分の作品を模写するレプリカという方法もあります。
自分の作品を模写することにはあまり意味がないように思うかもしれませんが、実際には自分が描いたものを客観的に見るのはなかなか難しいもの。改めて自分の作品の模写を行うと、自分の欠点や長所などを改めて見つめなおすきっかけになります。
04まとめ
デッサンやドローイング、クロッキー、スケッチなどの言葉は、様々な状況で使われるもの。細かい区別を知っておくことは、様々な練習方法を身につけることにもつながります。
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ところが、「デッサン」と「ドローイング」は別の意味を持った言葉として扱われることがあります。
1-1日本におけるデッサンとドローイングの解釈の違い
同じ意味としても、別の意味としても使われる「デッサン」と「ドローイング」ではこの二つにはどのような共通点と違いがあるのでしょうか。
1-2デッサン
まず押さえておきたいのは、一般的な意味としては「デッサン」も「ドローイング」もほとんど同じように使われるということ。
ただし、専門的な美術教育や制作現場などでは、「デッサン」と「ドローイング」は分けて使われることがあります。
では、この二つはそれぞれどのような意味なのでしょうか。
「デッサン」は日本では非常によく使われる言葉です。「デッサン」とは、一言で言えば彩色前の下絵として輪郭や質感、立体感などを捉える目的で時間をかけて正確に描かれるものを指しています。
「デッサン」には様々な種類があり、人物をモデルにして再現する「人物デッサン」や石膏で出来た像などを描写する「石膏デッサン」などが一般的。
使用される筆記具は鉛筆や木炭、コンテなどで白い紙に描くことが多いもの。また、写実的で再現的な描写、古典的な手法などどちらかといえばアカデミックな分野で用いられます。
つまり、対象となる形を正確に写し取ったり、明暗や遠近を利用して立体的に描いたりということ。特に美大や芸大を目的とした美術教室などで重視され、絵画の基本となっています。
つまり、「デッサン」は現実を正確に再現することを目的にしていると考えればよいでしょう。
そのため、「デッサン」を行うためにはある程度の時間が必要になります。しっかり時間をかけて対象を観察、それを段階的に表現していくことも「デッサン」の特徴です。
1-3ドローイング
一方、日本で特別に「ドローイング」というときには、現実をそのまま描写するというだけでなく、書き手の内面的な要素も重要になります。また、即興性が強く、個性が現れるのも「ドローイング」の特徴。極端に言えば、子どもがクレヨンやチョークなどで画用紙などに描いたものも「ドローイング」ということになります。
といっても、好きなようにイメージを描いたものというわけではなく、あくまでも対象の存在があるのが「デッサン」と「ドローイング」の共通点。
どれだけ好きなようにも描いたとしても、「ドローイング」では対象の存在が重要になります。
そのため、「ドローイング」は現実を正確に写し取ることを目的にした「デッサン」とは異なり、精神性や身体性なども重視されます。書き手がどのような意識と手法で描いたのかが「ドローイング」では重要です。
また、「デッサン」が時間をかけて対象を少しずつ描写していくことに対して、「ドローイング」の場合には瞬間的な判断で筆記具を動かし、短時間で完成させるということが多くなります。
この違いはあくまでも専門的な現場で行われるもので、一般的には「デッサン」と「ドローイング」とはほとんど同じ意味に使われます。
また、「スケッチ」や「クロッキー」を「ドローイング」とは別のものとみなす人もいれば、同じものと考える人もいます。この三種類は人によって解釈が異なるものと言うことができるでしょう。
ただし、描写の過程で行われる「塗り」の要素が強いものや、「塗り」が重要な役割を果たしている物に関しては、特に区別して「ペインティング(painting)」と呼ばれることがあります。
02デッサンとクロッキー、スケッチの違い
日本の場合、「デッサン」と同じようなものとして「クロッキー」や「スケッチ」があります。こちらも「ドローイング」と同じように、ほぼ同じ意味に使われることもありますが、厳密にはこの「デッサン」「クロッキー」「スケッチ」はそれぞれ異なるものとして扱われます。
2-1スケッチ
「スケッチ」の語源は英語の「sketch」。意味は「絵」や「スケッチ」で、対象を大まかに描くということを指しています。
日本語では「写生」と訳されますが、大まかに対象の輪郭や特徴を描くという意味では、「素描」に近いかもしれません。
「スケッチ」はもともとそれほど時間をかけるものではありませんが、さらに短時間で、完結に描いたものは「ラフスケッチ」と呼ばれることもあります。
また、「スケッチ」に水彩や油彩の絵の具を乗せて作品として仕上げたり、スケッチを元に別の作品を作ることも。
スケッチは鉛筆で描かれることがほとんどですが、厳密に道具の決まりはありません。
そのため、モノトーンだけでなく、色鉛筆やクレヨンなどが用いられることも。また、水彩絵の具で描いたスケッチは「水彩スケッチ」などと呼ばれます。
「スケッチ」というと、多くの場合このような絵を指していますが、文章や演劇などの世界でも、短く簡潔にまとめられたものは「スケッチ」と呼ばれることもあります。
「スケッチ」は美術教育の基礎として用いられることも多く、対象の持っている形や特徴、質感などを全体的にとらえる訓練のひとつともされています。日本でも学校の美術の時間に「写生」が行われることがありますが、それが日本の「スケッチ」イコール「写生」としてとらえられるようになったとも考えられます。
さらに「スケッチ」は本格的な作品に入る前の下書き的な用いられ方をすることもあります。水彩や油彩の場合、一度初めてしまうとなかなか訂正が難しいこともあり、その前に何度かスケッチを行うことで、全体のバランスや構図を決める役割を果たします。
2-2クロッキー
「クロッキー」の語源はフランス語の「croquis」。日本語では「速写」と翻訳されますが、英語では「スケッチ」と同じ「sketch」になり、これが「クロッキー」と「スケッチ」の違いを分かりにくくしています。
日常的な言葉としてはほぼ同じ意味だと考えれば構いませんが、専門的な分野で特に区別して「クロッキー」という場合には、人物や動物などの動きがあるものを簡潔に線だけで描くことだと考えればよいでしょう。
大まかな特徴をとらえて描くという意味では「スケッチ」と同じですが、「クロッキー」の場合にはさらに時間が短く、長くても十分程度の時間で仕上げることが一般的です。
そのため、風景を描写するというよりも、対象の動きなどに焦点を合わせたり、目立つ質感や光沢などに注目したりといった特徴があります。
このように、「クロッキー」は動いているものや変化しているものを描くことが中心。そのため、短期間で対象をとらえる訓練として、デッサン力を鍛えるための練習として用いられることも。それ以外にも、本格的なデッサンを始める前の腕慣らしとして描かれることもあります。
また、「クロッキー」と相性のよい表現方法がマンガ。マンガは静止しているものを描くというより、動いているものを描いたり、描いたものに躍動感を感じさせることが中心。もちろん、マンガを描くためにもデッサンが大切ですが、デッサンだけでなくクロッキーもマンガの練習として推奨されることがあります。
03デッサンと模写の違い
美術や絵画のトレーニングとして「デッサン」だけでなく「模写」を進められることがあります。では「デッサン」と「模写」は、どのような違いがあるのでしょうか。
3-1模写とは
模写とは、一言で言えば他人の作品を忠実に再現して描くことです。他人の作品を写し取ることは、作者の意図や作品の制作過程を自分で体感することにより、より深い理解につながるもの。
他人の作品を写し取るというと、それほど難しくないと考えがちですが、実際に模写を行ってみると分かるように、細かい部分まで性格に再現を行うためには、非常に高い技術や知識、経験が必要になります。
模写は日本画の世界において、古くから修行のひとつとして用いられ、技術面での習得だけでなく、元々の作品が持っている様式や精神性を学ぶ効果もあると言われています。
模写は「模作」とも呼ばれていますが、価値のある作品をそのまま写し取ることは「転写」と呼ばれ、二つは厳密に区別されています。
古典作品の模写を「古典模写」と呼ばれ、技術の向上以外にも、文化財保存の目的として行われることもあります。
模写を行うときには、対象をそのまま写し取ることに注意が向きがちですが、実際にはそれ以外にも様々なポイントを押さえることが必要です。
まず模写に必要なのは、全体のバランスや構図、構造などを理解すること。どのような作品でも、なぜこのような形で描かれているのか、なぜこのバランスになっているのかなど、それぞれの部分には理由があります。
まず手を動かし始める前に、その作品の全体像を理解する必要があります。
さらに、模写を行うときには対象になるものをしっかり観察すること。
一部分だけに注目して模写を行うと、細かい技術を習得することはできるかもしれませんが、重要な本質を知ることができません。部分と部分の間の空間や、立体の表現、遠近感などにも注目することが正しい模写を行うためには重要になります。
それに加えて、模写で重要なのが対象の筆遣いなどを理解すること。模写の目的は上手に絵を写し取ることではありません。模写で重要なのは、なぜこのような配置になっているのか、なぜこのような筆遣いが行われたのかを自分で考えながら描くこと。
模写を始めたばかりの頃には、ついつい上手に絵を写すことが目的になりがちですが、そもそも模写を行うのは自分の技術や知識、考え方を向上させるため。
どうすれば自分の絵の向上に役立つのか考えながら行うことが重要です。
もしどうしても上手く模写ができないという場合、自分のレベルとかけ離れた作品を選んでいる可能性も。
模写もデッサンと同じである程度の経験が必要です。まずは出来るだけシンプルなものから始めて、模写のコツをつかむようにしましょう。
また、模写を行うときには書き方の基本を学んでおくこと。目についたところから模写を始めるのではなく、書き手と同じような手順で模写を行うことが成功への近道です。
3-2模写の種類
模写は対象となる絵を写すことですが、実際には模写にはいくつかの種類があります。
模写で一般的なのは、実際の作品を自分の目で見ながらそれを写すこと。作品を間近で見ると、筆の運びや特徴、全体の配置といった細かい点を知ることができるため、より対象をくわしく知ることができます。
ただし、貴重な作品や海外の作品などは簡単に自分の目で見ることはできません。もし見ることができたとしても、模写を行うことが禁止されているといったケースも。
そういう場合には、写真を元に「写真模写」が行われることがあります。写真模写は、どのような作品でも対象に出来るという点が大きなメリット。歴史的に大きな価値がある作品などの模写を行うことで、さらに自分自身の知識と技術の向上に役立ちます。
ただし、写真では細かい部分や正確さに欠けるというデメリットも。
また、既存の作品だけでなく、人物などの写真を参考にしてデッサンやクロッキー、スケッチなどを行うことも写真模写と呼ばれることがあります。
さらに模写の中には自分の作品を模写するレプリカという方法もあります。
自分の作品を模写することにはあまり意味がないように思うかもしれませんが、実際には自分が描いたものを客観的に見るのはなかなか難しいもの。改めて自分の作品の模写を行うと、自分の欠点や長所などを改めて見つめなおすきっかけになります。
04まとめ
デッサンやドローイング、クロッキー、スケッチなどの言葉は、様々な状況で使われるもの。細かい区別を知っておくことは、様々な練習方法を身につけることにもつながります。
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2-1スケッチ
「スケッチ」の語源は英語の「sketch」。意味は「絵」や「スケッチ」で、対象を大まかに描くということを指しています。
日本語では「写生」と訳されますが、大まかに対象の輪郭や特徴を描くという意味では、「素描」に近いかもしれません。
「スケッチ」はもともとそれほど時間をかけるものではありませんが、さらに短時間で、完結に描いたものは「ラフスケッチ」と呼ばれることもあります。
また、「スケッチ」に水彩や油彩の絵の具を乗せて作品として仕上げたり、スケッチを元に別の作品を作ることも。
スケッチは鉛筆で描かれることがほとんどですが、厳密に道具の決まりはありません。
そのため、モノトーンだけでなく、色鉛筆やクレヨンなどが用いられることも。また、水彩絵の具で描いたスケッチは「水彩スケッチ」などと呼ばれます。
「スケッチ」というと、多くの場合このような絵を指していますが、文章や演劇などの世界でも、短く簡潔にまとめられたものは「スケッチ」と呼ばれることもあります。
「スケッチ」は美術教育の基礎として用いられることも多く、対象の持っている形や特徴、質感などを全体的にとらえる訓練のひとつともされています。日本でも学校の美術の時間に「写生」が行われることがありますが、それが日本の「スケッチ」イコール「写生」としてとらえられるようになったとも考えられます。
さらに「スケッチ」は本格的な作品に入る前の下書き的な用いられ方をすることもあります。水彩や油彩の場合、一度初めてしまうとなかなか訂正が難しいこともあり、その前に何度かスケッチを行うことで、全体のバランスや構図を決める役割を果たします。
2-2クロッキー
「クロッキー」の語源はフランス語の「croquis」。日本語では「速写」と翻訳されますが、英語では「スケッチ」と同じ「sketch」になり、これが「クロッキー」と「スケッチ」の違いを分かりにくくしています。
日常的な言葉としてはほぼ同じ意味だと考えれば構いませんが、専門的な分野で特に区別して「クロッキー」という場合には、人物や動物などの動きがあるものを簡潔に線だけで描くことだと考えればよいでしょう。
大まかな特徴をとらえて描くという意味では「スケッチ」と同じですが、「クロッキー」の場合にはさらに時間が短く、長くても十分程度の時間で仕上げることが一般的です。
そのため、風景を描写するというよりも、対象の動きなどに焦点を合わせたり、目立つ質感や光沢などに注目したりといった特徴があります。
このように、「クロッキー」は動いているものや変化しているものを描くことが中心。そのため、短期間で対象をとらえる訓練として、デッサン力を鍛えるための練習として用いられることも。それ以外にも、本格的なデッサンを始める前の腕慣らしとして描かれることもあります。
また、「クロッキー」と相性のよい表現方法がマンガ。マンガは静止しているものを描くというより、動いているものを描いたり、描いたものに躍動感を感じさせることが中心。もちろん、マンガを描くためにもデッサンが大切ですが、デッサンだけでなくクロッキーもマンガの練習として推奨されることがあります。
03デッサンと模写の違い
美術や絵画のトレーニングとして「デッサン」だけでなく「模写」を進められることがあります。では「デッサン」と「模写」は、どのような違いがあるのでしょうか。
3-1模写とは
模写とは、一言で言えば他人の作品を忠実に再現して描くことです。他人の作品を写し取ることは、作者の意図や作品の制作過程を自分で体感することにより、より深い理解につながるもの。
他人の作品を写し取るというと、それほど難しくないと考えがちですが、実際に模写を行ってみると分かるように、細かい部分まで性格に再現を行うためには、非常に高い技術や知識、経験が必要になります。
模写は日本画の世界において、古くから修行のひとつとして用いられ、技術面での習得だけでなく、元々の作品が持っている様式や精神性を学ぶ効果もあると言われています。
模写は「模作」とも呼ばれていますが、価値のある作品をそのまま写し取ることは「転写」と呼ばれ、二つは厳密に区別されています。
古典作品の模写を「古典模写」と呼ばれ、技術の向上以外にも、文化財保存の目的として行われることもあります。
模写を行うときには、対象をそのまま写し取ることに注意が向きがちですが、実際にはそれ以外にも様々なポイントを押さえることが必要です。
まず模写に必要なのは、全体のバランスや構図、構造などを理解すること。どのような作品でも、なぜこのような形で描かれているのか、なぜこのバランスになっているのかなど、それぞれの部分には理由があります。
まず手を動かし始める前に、その作品の全体像を理解する必要があります。
さらに、模写を行うときには対象になるものをしっかり観察すること。
一部分だけに注目して模写を行うと、細かい技術を習得することはできるかもしれませんが、重要な本質を知ることができません。部分と部分の間の空間や、立体の表現、遠近感などにも注目することが正しい模写を行うためには重要になります。
それに加えて、模写で重要なのが対象の筆遣いなどを理解すること。模写の目的は上手に絵を写し取ることではありません。模写で重要なのは、なぜこのような配置になっているのか、なぜこのような筆遣いが行われたのかを自分で考えながら描くこと。
模写を始めたばかりの頃には、ついつい上手に絵を写すことが目的になりがちですが、そもそも模写を行うのは自分の技術や知識、考え方を向上させるため。
どうすれば自分の絵の向上に役立つのか考えながら行うことが重要です。
もしどうしても上手く模写ができないという場合、自分のレベルとかけ離れた作品を選んでいる可能性も。
模写もデッサンと同じである程度の経験が必要です。まずは出来るだけシンプルなものから始めて、模写のコツをつかむようにしましょう。
また、模写を行うときには書き方の基本を学んでおくこと。目についたところから模写を始めるのではなく、書き手と同じような手順で模写を行うことが成功への近道です。
3-2模写の種類
模写は対象となる絵を写すことですが、実際には模写にはいくつかの種類があります。
模写で一般的なのは、実際の作品を自分の目で見ながらそれを写すこと。作品を間近で見ると、筆の運びや特徴、全体の配置といった細かい点を知ることができるため、より対象をくわしく知ることができます。
ただし、貴重な作品や海外の作品などは簡単に自分の目で見ることはできません。もし見ることができたとしても、模写を行うことが禁止されているといったケースも。
そういう場合には、写真を元に「写真模写」が行われることがあります。写真模写は、どのような作品でも対象に出来るという点が大きなメリット。歴史的に大きな価値がある作品などの模写を行うことで、さらに自分自身の知識と技術の向上に役立ちます。
ただし、写真では細かい部分や正確さに欠けるというデメリットも。
また、既存の作品だけでなく、人物などの写真を参考にしてデッサンやクロッキー、スケッチなどを行うことも写真模写と呼ばれることがあります。
さらに模写の中には自分の作品を模写するレプリカという方法もあります。
自分の作品を模写することにはあまり意味がないように思うかもしれませんが、実際には自分が描いたものを客観的に見るのはなかなか難しいもの。改めて自分の作品の模写を行うと、自分の欠点や長所などを改めて見つめなおすきっかけになります。
04まとめ
デッサンやドローイング、クロッキー、スケッチなどの言葉は、様々な状況で使われるもの。細かい区別を知っておくことは、様々な練習方法を身につけることにもつながります。
70,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
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3-1模写とは
模写とは、一言で言えば他人の作品を忠実に再現して描くことです。他人の作品を写し取ることは、作者の意図や作品の制作過程を自分で体感することにより、より深い理解につながるもの。
他人の作品を写し取るというと、それほど難しくないと考えがちですが、実際に模写を行ってみると分かるように、細かい部分まで性格に再現を行うためには、非常に高い技術や知識、経験が必要になります。
模写は日本画の世界において、古くから修行のひとつとして用いられ、技術面での習得だけでなく、元々の作品が持っている様式や精神性を学ぶ効果もあると言われています。
模写は「模作」とも呼ばれていますが、価値のある作品をそのまま写し取ることは「転写」と呼ばれ、二つは厳密に区別されています。
古典作品の模写を「古典模写」と呼ばれ、技術の向上以外にも、文化財保存の目的として行われることもあります。
模写を行うときには、対象をそのまま写し取ることに注意が向きがちですが、実際にはそれ以外にも様々なポイントを押さえることが必要です。
まず模写に必要なのは、全体のバランスや構図、構造などを理解すること。どのような作品でも、なぜこのような形で描かれているのか、なぜこのバランスになっているのかなど、それぞれの部分には理由があります。
まず手を動かし始める前に、その作品の全体像を理解する必要があります。
さらに、模写を行うときには対象になるものをしっかり観察すること。
一部分だけに注目して模写を行うと、細かい技術を習得することはできるかもしれませんが、重要な本質を知ることができません。部分と部分の間の空間や、立体の表現、遠近感などにも注目することが正しい模写を行うためには重要になります。
それに加えて、模写で重要なのが対象の筆遣いなどを理解すること。模写の目的は上手に絵を写し取ることではありません。模写で重要なのは、なぜこのような配置になっているのか、なぜこのような筆遣いが行われたのかを自分で考えながら描くこと。
模写を始めたばかりの頃には、ついつい上手に絵を写すことが目的になりがちですが、そもそも模写を行うのは自分の技術や知識、考え方を向上させるため。
どうすれば自分の絵の向上に役立つのか考えながら行うことが重要です。
もしどうしても上手く模写ができないという場合、自分のレベルとかけ離れた作品を選んでいる可能性も。
模写もデッサンと同じである程度の経験が必要です。まずは出来るだけシンプルなものから始めて、模写のコツをつかむようにしましょう。
また、模写を行うときには書き方の基本を学んでおくこと。目についたところから模写を始めるのではなく、書き手と同じような手順で模写を行うことが成功への近道です。
3-2模写の種類
模写は対象となる絵を写すことですが、実際には模写にはいくつかの種類があります。
模写で一般的なのは、実際の作品を自分の目で見ながらそれを写すこと。作品を間近で見ると、筆の運びや特徴、全体の配置といった細かい点を知ることができるため、より対象をくわしく知ることができます。
ただし、貴重な作品や海外の作品などは簡単に自分の目で見ることはできません。もし見ることができたとしても、模写を行うことが禁止されているといったケースも。
そういう場合には、写真を元に「写真模写」が行われることがあります。写真模写は、どのような作品でも対象に出来るという点が大きなメリット。歴史的に大きな価値がある作品などの模写を行うことで、さらに自分自身の知識と技術の向上に役立ちます。
ただし、写真では細かい部分や正確さに欠けるというデメリットも。
また、既存の作品だけでなく、人物などの写真を参考にしてデッサンやクロッキー、スケッチなどを行うことも写真模写と呼ばれることがあります。
さらに模写の中には自分の作品を模写するレプリカという方法もあります。
自分の作品を模写することにはあまり意味がないように思うかもしれませんが、実際には自分が描いたものを客観的に見るのはなかなか難しいもの。改めて自分の作品の模写を行うと、自分の欠点や長所などを改めて見つめなおすきっかけになります。