ここがポイント!食事介助の方法と注意点について
高齢者の食事は何を食べるのかと同じように、どうやって食べさせるかが重要になります。上手に食事の介助を行うことは、高齢者の食欲増進や食事を楽しむ姿勢にもつながるもの。今回は効果的な食事介助の方法や注意点についてご紹介します。
- 目次
01食事介助とは?
食事介助とは、ひとりで食事を食べることが難しくなった高齢者のために食事の手伝いを行うことです。
自分の食事を自分の力だけで行うことは、若い人には当たり前のことのように思えるかもしれませんが、年を取ると様々な面で身体機能が低下していきます。
たとえば高齢者になると、あごの筋力が低下したり、口が開きづらくなったりといった衰えが起きるもの。また、手先が衰えてお箸を上手に使えない、食事がよく見えないといったことも起きてしまいます。そんなときに必要になるのが食事介助。
さらに食事介助には、食事の際に起こりがちなトラブルを未然に防いだり、食後の口腔ケアを行うなど、食事を食べることだけではなく、全体的なサポートを行うことも含まれます。
02食事介助の目的
食事介助には、まず食事を安全に行うという目的があります。高齢者の中でもっとも心配なのが誤嚥。誤嚥とは、食事が食道ではなく気管に入ってしまうことです。
健康な人の場合には、口の中でしっかり噛んだ食事を舌やアゴ、歯などを使ってスムーズに食道に導くことができますが、高齢者になると筋力をはじめとする身体機能が低下するため、上手に食べ物を移動させることができなくなってしまいます。
また、唾液腺やのどの筋肉の働きも低下するため、食べ物を口の中でまとめて飲み込むことも難しくなるもの。
もし食べ物が気管に入った場合、細菌が繁殖、肺炎の原因となってしまい、体力や免疫力が低下している高齢者にとって、肺炎は命取りになることも少なくありません。
さらに高齢者の食事では、食べ物が喉に詰まる窒息などが起きるリスクも高くなります。
このような危険から高齢者を守ることも食事介助の大きな目的です。
また、高齢者はどうしても食べるための機能が低下しているため、食事を短時間で終わらせることができません。
そのため、食事自体が嫌になってしまい、結果として必要な栄養素や水分などが摂取できないということにもなってしまいます。
食事介助を行うことで、高齢者に食事をきちんと摂取してもらうことは健康を維持するために非常に重要といえるでしょう。
03食事前の介助準備
食事介助といえば、実際の食事のお手伝いを行うというイメージですが、実は食事前の準備が重要になります。
3-1食事前の声かけ
食事介助を行うときには、まず食事の時間であることを高齢者に伝える必要があります。
高齢者の中には、時間の感覚が鈍くなっている方も多く、食事の時間であることを忘れてしまいがちになってしまいます。また、直前まで寝ているということもあるため、その場合にはきちんと目を覚ましてもらうことが必要になります。
食事前の声かけを行うときには、食事のメニュー説明などを行うとよいでしょう。ミキサー食などの場合には、食事がペースト状になっているため、何を食べているのか分からず、どうしても食欲がわかなくなってしまいます。
メニューの説明をすることは脳にとって刺激となるだけでなく、食欲をアップさせる効果が期待できます。
3-2食事に集中できる環境にする
高齢者にとって、食事は集中して食べることが大切です。もし途中で集中力が切れてしまうと、それ以上食事が進まず、必要なカロリーや栄養素の不足につながります。
食事を始める前には排泄などを済ませて、途中で席を立つことがないようにしておきましょう。
また、テレビなど気の散る音をあらかじめ失くしておくと食事に対しての集中をアップさせることができます。ただし、まったく音がない場合、緊張感が高くなってしまうため、ボリュームを下げたり、音量を下げたBGMを用意したりというのも良い方法です。
3-3部屋と身の回りを清潔にする
食事を始めるときには部屋や身の回りを清潔にしておきましょう。もし歩ける場合や、車いすに乗れる場合には洗面所で手を洗い、自分で手を洗うことができないという場合には、おしぼりなどを使って手や指を拭いてあげましょう。
高齢者にとって、食中毒は非常に危険な存在。それを防ぐためにも、手はもちろん、食器なども清潔に保つことに気を付けましょう。
また、食事をこぼした場合に備えてエプロンや前掛けを用意しておくと服を汚すことなく食事を行うことができます。
寝たきりの状態の場合は、部屋の中ににおいがこもってしまい食欲が低下することがあるため、あらかじめ部屋の喚起も行っておきましょう。
3-4口腔内を清潔にする
高齢者になると唾液腺の働きが低下して唾液の分泌量が少なくなります。
唾液には、物を飲み込みやすくするだけではなく、消化を助ける働きもありますが、中でも重要なのが口の中を清潔に保つということ。
もし唾液の分泌量が少ない場合、口の中が乾燥、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
その状態で食事を行うと、食事と一緒に雑菌も身体の中に入ってしまいます。それを防ぐためにも、食事の前には口をすすいだり、口腔ケア用のスポンジなどを使って口の中を清潔に保つことが必要です。
入れ歯などを使用している場合にも同じことが起こりますので、食事の前にはきちんと洗浄しておきましょう。
さらに口の中を清潔にしておくことは唾液の分泌にも効果的。物が飲み込みやすくなり、食べたものも消化しやすくなります。
3-5正しい姿勢を取る
食事を行うときには正しい姿勢を取れるように注意しましょう。
歩行が可能でイスに座れる場合や、車いすを利用するときには、床に足をしっかりつけて、上半身を九十度の角度を保てるようにしましょう。
これは食事を食べやすくするだけでなく、身体をまっすぐにすることで食べたものを重力の働きでスムーズに食道から胃に導くことにもつながります。そのため、誤嚥を防ぐという効果も。どうしても角度を保つのが難しい場合には、背中にクッションを入れるなどの工夫をすると楽に正しい姿勢をキープすることができます。
もし歩行が難しく、ベッドで食事を行う場合はリクライニングで食べやすい角度に状態を起こします。
このとき、本人が苦しくなく、リラックスできる角度を尋ねながら調整を行うのがおすすめです。
3-6水分補給
高齢者の場合、トイレに行きたくないなどの理由からどうしても水分が不足しがち。さらに加齢によって喉の渇きを感じる機能も衰えるため、食事のときの水分補給はとても重要です。
食事中はもちろん、食事の前に水分を補給することは、口の中に水分を与えて、食べ物を飲み込みやすくするという効果も。
食事中もできるだけタイミングを見て水分を補給してもらうようにしましょう。
04食事中の介助方法のポイント
高齢者の食事にとって、介助者の技術は非常に重要です。では、スムーズな食事介助を行うためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
4-1介助者のポジション
介助者は高齢者の横に同じ目線になるように座るのが基本的なポジションです。正面から食事介助を行うと、相手にプレッシャーを与えてしまうだけでなく、嚥下が行われたかどうかの確認が難しくなります。
また、高い位置からの食事介助は誤嚥のリスクが高くなるもの。さらに目線を合わせることで、あごが引かれて嚥下が行いやすくなります。
4-2食事の提供方法
食事の介助はスプーンを使って行います。一度に運ぶ量は、介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯程度を目安にしましょう。
スプーンを口に入れるときには、奥ではなく手前に入れること。また、口の下ではなく、上にスプーンを運ぶと、顔が上を向いて誤嚥を起こしやすくなります。
さらに食べ物を口に運ぶ前には「次は○○を食べましょうね!」と声かけを行うようにしましょう。自分が何を食べているのかを自覚することは、食欲を刺激することにつながります。
また、複数のおかずなどがあるときには水分が多いものから与えること。水分を与えることで、誤嚥を防ぐだけでなく、胃酸の分泌を促進し、消化と吸収にも役立ちます。
なお、ひとつの食品だけを食べていると飽きてしまうため、主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べられるように意識しましょう。
4-3高齢者のペースを見極め急かさない
食事介助を行うときにもっとも重要なのが、ペースを見極めて急かさないということ。
高齢者の食事はどうしてもゆっくりになり時間がかかるため、早く食べて欲しいと思いがちですが、無理に食事を食べさせることは誤嚥の危険を高めるだけでなく、高齢者にとってストレスになってしまいます。
高齢者の方が食事を楽しめるように、ペースを合わせて食事介助を行いましょう。また、食事をしっかり飲み込んだことを確認してから次の食事を運び、飲み込みを急かさないようにしましょう。
4-4食事にかける時間
食事にかける時間は約三十分が一つの目安です。食事の時間が長くなると、集中力がなくなり疲れが出てしまうことも。
ただし、食事のペースには個人差があるもの。ゆっくりでも食べられる方もいらっしゃいますので、決して急かさないようにしましょう。
05食事介助の注意点
高齢者の食事介助は、食事のお手伝いを行うだけではありません。健康維持のためには、食事を終えたあとにも注意したい点があります。
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
06まとめ
食事介助は高齢者の食事を支える重要な仕事。食事介助によって食事の時間が楽しくなり、健康で幸せな生活を維持することにもつながります。まず食事介助の目的やポイントを理解し、高齢者のペースに合わせて行うことが必要です。、
この講座は!プロの監修を受けています!
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
Copyright © 2021 RYO SEKKEI ARCHITECT LEARNING SCHOOL All rights reserved.
自分の食事を自分の力だけで行うことは、若い人には当たり前のことのように思えるかもしれませんが、年を取ると様々な面で身体機能が低下していきます。
たとえば高齢者になると、あごの筋力が低下したり、口が開きづらくなったりといった衰えが起きるもの。また、手先が衰えてお箸を上手に使えない、食事がよく見えないといったことも起きてしまいます。そんなときに必要になるのが食事介助。
さらに食事介助には、食事の際に起こりがちなトラブルを未然に防いだり、食後の口腔ケアを行うなど、食事を食べることだけではなく、全体的なサポートを行うことも含まれます。
02食事介助の目的
食事介助には、まず食事を安全に行うという目的があります。高齢者の中でもっとも心配なのが誤嚥。誤嚥とは、食事が食道ではなく気管に入ってしまうことです。
健康な人の場合には、口の中でしっかり噛んだ食事を舌やアゴ、歯などを使ってスムーズに食道に導くことができますが、高齢者になると筋力をはじめとする身体機能が低下するため、上手に食べ物を移動させることができなくなってしまいます。
また、唾液腺やのどの筋肉の働きも低下するため、食べ物を口の中でまとめて飲み込むことも難しくなるもの。
もし食べ物が気管に入った場合、細菌が繁殖、肺炎の原因となってしまい、体力や免疫力が低下している高齢者にとって、肺炎は命取りになることも少なくありません。
さらに高齢者の食事では、食べ物が喉に詰まる窒息などが起きるリスクも高くなります。
このような危険から高齢者を守ることも食事介助の大きな目的です。
また、高齢者はどうしても食べるための機能が低下しているため、食事を短時間で終わらせることができません。
そのため、食事自体が嫌になってしまい、結果として必要な栄養素や水分などが摂取できないということにもなってしまいます。
食事介助を行うことで、高齢者に食事をきちんと摂取してもらうことは健康を維持するために非常に重要といえるでしょう。
03食事前の介助準備
食事介助といえば、実際の食事のお手伝いを行うというイメージですが、実は食事前の準備が重要になります。
3-1食事前の声かけ
食事介助を行うときには、まず食事の時間であることを高齢者に伝える必要があります。
高齢者の中には、時間の感覚が鈍くなっている方も多く、食事の時間であることを忘れてしまいがちになってしまいます。また、直前まで寝ているということもあるため、その場合にはきちんと目を覚ましてもらうことが必要になります。
食事前の声かけを行うときには、食事のメニュー説明などを行うとよいでしょう。ミキサー食などの場合には、食事がペースト状になっているため、何を食べているのか分からず、どうしても食欲がわかなくなってしまいます。
メニューの説明をすることは脳にとって刺激となるだけでなく、食欲をアップさせる効果が期待できます。
3-2食事に集中できる環境にする
高齢者にとって、食事は集中して食べることが大切です。もし途中で集中力が切れてしまうと、それ以上食事が進まず、必要なカロリーや栄養素の不足につながります。
食事を始める前には排泄などを済ませて、途中で席を立つことがないようにしておきましょう。
また、テレビなど気の散る音をあらかじめ失くしておくと食事に対しての集中をアップさせることができます。ただし、まったく音がない場合、緊張感が高くなってしまうため、ボリュームを下げたり、音量を下げたBGMを用意したりというのも良い方法です。
3-3部屋と身の回りを清潔にする
食事を始めるときには部屋や身の回りを清潔にしておきましょう。もし歩ける場合や、車いすに乗れる場合には洗面所で手を洗い、自分で手を洗うことができないという場合には、おしぼりなどを使って手や指を拭いてあげましょう。
高齢者にとって、食中毒は非常に危険な存在。それを防ぐためにも、手はもちろん、食器なども清潔に保つことに気を付けましょう。
また、食事をこぼした場合に備えてエプロンや前掛けを用意しておくと服を汚すことなく食事を行うことができます。
寝たきりの状態の場合は、部屋の中ににおいがこもってしまい食欲が低下することがあるため、あらかじめ部屋の喚起も行っておきましょう。
3-4口腔内を清潔にする
高齢者になると唾液腺の働きが低下して唾液の分泌量が少なくなります。
唾液には、物を飲み込みやすくするだけではなく、消化を助ける働きもありますが、中でも重要なのが口の中を清潔に保つということ。
もし唾液の分泌量が少ない場合、口の中が乾燥、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
その状態で食事を行うと、食事と一緒に雑菌も身体の中に入ってしまいます。それを防ぐためにも、食事の前には口をすすいだり、口腔ケア用のスポンジなどを使って口の中を清潔に保つことが必要です。
入れ歯などを使用している場合にも同じことが起こりますので、食事の前にはきちんと洗浄しておきましょう。
さらに口の中を清潔にしておくことは唾液の分泌にも効果的。物が飲み込みやすくなり、食べたものも消化しやすくなります。
3-5正しい姿勢を取る
食事を行うときには正しい姿勢を取れるように注意しましょう。
歩行が可能でイスに座れる場合や、車いすを利用するときには、床に足をしっかりつけて、上半身を九十度の角度を保てるようにしましょう。
これは食事を食べやすくするだけでなく、身体をまっすぐにすることで食べたものを重力の働きでスムーズに食道から胃に導くことにもつながります。そのため、誤嚥を防ぐという効果も。どうしても角度を保つのが難しい場合には、背中にクッションを入れるなどの工夫をすると楽に正しい姿勢をキープすることができます。
もし歩行が難しく、ベッドで食事を行う場合はリクライニングで食べやすい角度に状態を起こします。
このとき、本人が苦しくなく、リラックスできる角度を尋ねながら調整を行うのがおすすめです。
3-6水分補給
高齢者の場合、トイレに行きたくないなどの理由からどうしても水分が不足しがち。さらに加齢によって喉の渇きを感じる機能も衰えるため、食事のときの水分補給はとても重要です。
食事中はもちろん、食事の前に水分を補給することは、口の中に水分を与えて、食べ物を飲み込みやすくするという効果も。
食事中もできるだけタイミングを見て水分を補給してもらうようにしましょう。
04食事中の介助方法のポイント
高齢者の食事にとって、介助者の技術は非常に重要です。では、スムーズな食事介助を行うためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
4-1介助者のポジション
介助者は高齢者の横に同じ目線になるように座るのが基本的なポジションです。正面から食事介助を行うと、相手にプレッシャーを与えてしまうだけでなく、嚥下が行われたかどうかの確認が難しくなります。
また、高い位置からの食事介助は誤嚥のリスクが高くなるもの。さらに目線を合わせることで、あごが引かれて嚥下が行いやすくなります。
4-2食事の提供方法
食事の介助はスプーンを使って行います。一度に運ぶ量は、介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯程度を目安にしましょう。
スプーンを口に入れるときには、奥ではなく手前に入れること。また、口の下ではなく、上にスプーンを運ぶと、顔が上を向いて誤嚥を起こしやすくなります。
さらに食べ物を口に運ぶ前には「次は○○を食べましょうね!」と声かけを行うようにしましょう。自分が何を食べているのかを自覚することは、食欲を刺激することにつながります。
また、複数のおかずなどがあるときには水分が多いものから与えること。水分を与えることで、誤嚥を防ぐだけでなく、胃酸の分泌を促進し、消化と吸収にも役立ちます。
なお、ひとつの食品だけを食べていると飽きてしまうため、主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べられるように意識しましょう。
4-3高齢者のペースを見極め急かさない
食事介助を行うときにもっとも重要なのが、ペースを見極めて急かさないということ。
高齢者の食事はどうしてもゆっくりになり時間がかかるため、早く食べて欲しいと思いがちですが、無理に食事を食べさせることは誤嚥の危険を高めるだけでなく、高齢者にとってストレスになってしまいます。
高齢者の方が食事を楽しめるように、ペースを合わせて食事介助を行いましょう。また、食事をしっかり飲み込んだことを確認してから次の食事を運び、飲み込みを急かさないようにしましょう。
4-4食事にかける時間
食事にかける時間は約三十分が一つの目安です。食事の時間が長くなると、集中力がなくなり疲れが出てしまうことも。
ただし、食事のペースには個人差があるもの。ゆっくりでも食べられる方もいらっしゃいますので、決して急かさないようにしましょう。
05食事介助の注意点
高齢者の食事介助は、食事のお手伝いを行うだけではありません。健康維持のためには、食事を終えたあとにも注意したい点があります。
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
06まとめ
食事介助は高齢者の食事を支える重要な仕事。食事介助によって食事の時間が楽しくなり、健康で幸せな生活を維持することにもつながります。まず食事介助の目的やポイントを理解し、高齢者のペースに合わせて行うことが必要です。、
この講座は!プロの監修を受けています!
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
Copyright © 2021 RYO SEKKEI ARCHITECT LEARNING SCHOOL All rights reserved.
健康な人の場合には、口の中でしっかり噛んだ食事を舌やアゴ、歯などを使ってスムーズに食道に導くことができますが、高齢者になると筋力をはじめとする身体機能が低下するため、上手に食べ物を移動させることができなくなってしまいます。
また、唾液腺やのどの筋肉の働きも低下するため、食べ物を口の中でまとめて飲み込むことも難しくなるもの。
もし食べ物が気管に入った場合、細菌が繁殖、肺炎の原因となってしまい、体力や免疫力が低下している高齢者にとって、肺炎は命取りになることも少なくありません。
さらに高齢者の食事では、食べ物が喉に詰まる窒息などが起きるリスクも高くなります。
このような危険から高齢者を守ることも食事介助の大きな目的です。
また、高齢者はどうしても食べるための機能が低下しているため、食事を短時間で終わらせることができません。
そのため、食事自体が嫌になってしまい、結果として必要な栄養素や水分などが摂取できないということにもなってしまいます。
食事介助を行うことで、高齢者に食事をきちんと摂取してもらうことは健康を維持するために非常に重要といえるでしょう。
03食事前の介助準備
食事介助といえば、実際の食事のお手伝いを行うというイメージですが、実は食事前の準備が重要になります。
3-1食事前の声かけ
食事介助を行うときには、まず食事の時間であることを高齢者に伝える必要があります。
高齢者の中には、時間の感覚が鈍くなっている方も多く、食事の時間であることを忘れてしまいがちになってしまいます。また、直前まで寝ているということもあるため、その場合にはきちんと目を覚ましてもらうことが必要になります。
食事前の声かけを行うときには、食事のメニュー説明などを行うとよいでしょう。ミキサー食などの場合には、食事がペースト状になっているため、何を食べているのか分からず、どうしても食欲がわかなくなってしまいます。
メニューの説明をすることは脳にとって刺激となるだけでなく、食欲をアップさせる効果が期待できます。
3-2食事に集中できる環境にする
高齢者にとって、食事は集中して食べることが大切です。もし途中で集中力が切れてしまうと、それ以上食事が進まず、必要なカロリーや栄養素の不足につながります。
食事を始める前には排泄などを済ませて、途中で席を立つことがないようにしておきましょう。
また、テレビなど気の散る音をあらかじめ失くしておくと食事に対しての集中をアップさせることができます。ただし、まったく音がない場合、緊張感が高くなってしまうため、ボリュームを下げたり、音量を下げたBGMを用意したりというのも良い方法です。
3-3部屋と身の回りを清潔にする
食事を始めるときには部屋や身の回りを清潔にしておきましょう。もし歩ける場合や、車いすに乗れる場合には洗面所で手を洗い、自分で手を洗うことができないという場合には、おしぼりなどを使って手や指を拭いてあげましょう。
高齢者にとって、食中毒は非常に危険な存在。それを防ぐためにも、手はもちろん、食器なども清潔に保つことに気を付けましょう。
また、食事をこぼした場合に備えてエプロンや前掛けを用意しておくと服を汚すことなく食事を行うことができます。
寝たきりの状態の場合は、部屋の中ににおいがこもってしまい食欲が低下することがあるため、あらかじめ部屋の喚起も行っておきましょう。
3-4口腔内を清潔にする
高齢者になると唾液腺の働きが低下して唾液の分泌量が少なくなります。
唾液には、物を飲み込みやすくするだけではなく、消化を助ける働きもありますが、中でも重要なのが口の中を清潔に保つということ。
もし唾液の分泌量が少ない場合、口の中が乾燥、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
その状態で食事を行うと、食事と一緒に雑菌も身体の中に入ってしまいます。それを防ぐためにも、食事の前には口をすすいだり、口腔ケア用のスポンジなどを使って口の中を清潔に保つことが必要です。
入れ歯などを使用している場合にも同じことが起こりますので、食事の前にはきちんと洗浄しておきましょう。
さらに口の中を清潔にしておくことは唾液の分泌にも効果的。物が飲み込みやすくなり、食べたものも消化しやすくなります。
3-5正しい姿勢を取る
食事を行うときには正しい姿勢を取れるように注意しましょう。
歩行が可能でイスに座れる場合や、車いすを利用するときには、床に足をしっかりつけて、上半身を九十度の角度を保てるようにしましょう。
これは食事を食べやすくするだけでなく、身体をまっすぐにすることで食べたものを重力の働きでスムーズに食道から胃に導くことにもつながります。そのため、誤嚥を防ぐという効果も。どうしても角度を保つのが難しい場合には、背中にクッションを入れるなどの工夫をすると楽に正しい姿勢をキープすることができます。
もし歩行が難しく、ベッドで食事を行う場合はリクライニングで食べやすい角度に状態を起こします。
このとき、本人が苦しくなく、リラックスできる角度を尋ねながら調整を行うのがおすすめです。
3-6水分補給
高齢者の場合、トイレに行きたくないなどの理由からどうしても水分が不足しがち。さらに加齢によって喉の渇きを感じる機能も衰えるため、食事のときの水分補給はとても重要です。
食事中はもちろん、食事の前に水分を補給することは、口の中に水分を与えて、食べ物を飲み込みやすくするという効果も。
食事中もできるだけタイミングを見て水分を補給してもらうようにしましょう。
04食事中の介助方法のポイント
高齢者の食事にとって、介助者の技術は非常に重要です。では、スムーズな食事介助を行うためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
4-1介助者のポジション
介助者は高齢者の横に同じ目線になるように座るのが基本的なポジションです。正面から食事介助を行うと、相手にプレッシャーを与えてしまうだけでなく、嚥下が行われたかどうかの確認が難しくなります。
また、高い位置からの食事介助は誤嚥のリスクが高くなるもの。さらに目線を合わせることで、あごが引かれて嚥下が行いやすくなります。
4-2食事の提供方法
食事の介助はスプーンを使って行います。一度に運ぶ量は、介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯程度を目安にしましょう。
スプーンを口に入れるときには、奥ではなく手前に入れること。また、口の下ではなく、上にスプーンを運ぶと、顔が上を向いて誤嚥を起こしやすくなります。
さらに食べ物を口に運ぶ前には「次は○○を食べましょうね!」と声かけを行うようにしましょう。自分が何を食べているのかを自覚することは、食欲を刺激することにつながります。
また、複数のおかずなどがあるときには水分が多いものから与えること。水分を与えることで、誤嚥を防ぐだけでなく、胃酸の分泌を促進し、消化と吸収にも役立ちます。
なお、ひとつの食品だけを食べていると飽きてしまうため、主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べられるように意識しましょう。
4-3高齢者のペースを見極め急かさない
食事介助を行うときにもっとも重要なのが、ペースを見極めて急かさないということ。
高齢者の食事はどうしてもゆっくりになり時間がかかるため、早く食べて欲しいと思いがちですが、無理に食事を食べさせることは誤嚥の危険を高めるだけでなく、高齢者にとってストレスになってしまいます。
高齢者の方が食事を楽しめるように、ペースを合わせて食事介助を行いましょう。また、食事をしっかり飲み込んだことを確認してから次の食事を運び、飲み込みを急かさないようにしましょう。
4-4食事にかける時間
食事にかける時間は約三十分が一つの目安です。食事の時間が長くなると、集中力がなくなり疲れが出てしまうことも。
ただし、食事のペースには個人差があるもの。ゆっくりでも食べられる方もいらっしゃいますので、決して急かさないようにしましょう。
05食事介助の注意点
高齢者の食事介助は、食事のお手伝いを行うだけではありません。健康維持のためには、食事を終えたあとにも注意したい点があります。
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
06まとめ
食事介助は高齢者の食事を支える重要な仕事。食事介助によって食事の時間が楽しくなり、健康で幸せな生活を維持することにもつながります。まず食事介助の目的やポイントを理解し、高齢者のペースに合わせて行うことが必要です。、
この講座は!プロの監修を受けています!
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
Copyright © 2021 RYO SEKKEI ARCHITECT LEARNING SCHOOL All rights reserved.
3-1食事前の声かけ
食事介助を行うときには、まず食事の時間であることを高齢者に伝える必要があります。
高齢者の中には、時間の感覚が鈍くなっている方も多く、食事の時間であることを忘れてしまいがちになってしまいます。また、直前まで寝ているということもあるため、その場合にはきちんと目を覚ましてもらうことが必要になります。
食事前の声かけを行うときには、食事のメニュー説明などを行うとよいでしょう。ミキサー食などの場合には、食事がペースト状になっているため、何を食べているのか分からず、どうしても食欲がわかなくなってしまいます。
メニューの説明をすることは脳にとって刺激となるだけでなく、食欲をアップさせる効果が期待できます。
3-2食事に集中できる環境にする
高齢者にとって、食事は集中して食べることが大切です。もし途中で集中力が切れてしまうと、それ以上食事が進まず、必要なカロリーや栄養素の不足につながります。
食事を始める前には排泄などを済ませて、途中で席を立つことがないようにしておきましょう。
また、テレビなど気の散る音をあらかじめ失くしておくと食事に対しての集中をアップさせることができます。ただし、まったく音がない場合、緊張感が高くなってしまうため、ボリュームを下げたり、音量を下げたBGMを用意したりというのも良い方法です。
3-3部屋と身の回りを清潔にする
食事を始めるときには部屋や身の回りを清潔にしておきましょう。もし歩ける場合や、車いすに乗れる場合には洗面所で手を洗い、自分で手を洗うことができないという場合には、おしぼりなどを使って手や指を拭いてあげましょう。
高齢者にとって、食中毒は非常に危険な存在。それを防ぐためにも、手はもちろん、食器なども清潔に保つことに気を付けましょう。
また、食事をこぼした場合に備えてエプロンや前掛けを用意しておくと服を汚すことなく食事を行うことができます。
寝たきりの状態の場合は、部屋の中ににおいがこもってしまい食欲が低下することがあるため、あらかじめ部屋の喚起も行っておきましょう。
3-4口腔内を清潔にする
高齢者になると唾液腺の働きが低下して唾液の分泌量が少なくなります。
唾液には、物を飲み込みやすくするだけではなく、消化を助ける働きもありますが、中でも重要なのが口の中を清潔に保つということ。
もし唾液の分泌量が少ない場合、口の中が乾燥、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
その状態で食事を行うと、食事と一緒に雑菌も身体の中に入ってしまいます。それを防ぐためにも、食事の前には口をすすいだり、口腔ケア用のスポンジなどを使って口の中を清潔に保つことが必要です。
入れ歯などを使用している場合にも同じことが起こりますので、食事の前にはきちんと洗浄しておきましょう。
さらに口の中を清潔にしておくことは唾液の分泌にも効果的。物が飲み込みやすくなり、食べたものも消化しやすくなります。
3-5正しい姿勢を取る
食事を行うときには正しい姿勢を取れるように注意しましょう。
歩行が可能でイスに座れる場合や、車いすを利用するときには、床に足をしっかりつけて、上半身を九十度の角度を保てるようにしましょう。
これは食事を食べやすくするだけでなく、身体をまっすぐにすることで食べたものを重力の働きでスムーズに食道から胃に導くことにもつながります。そのため、誤嚥を防ぐという効果も。どうしても角度を保つのが難しい場合には、背中にクッションを入れるなどの工夫をすると楽に正しい姿勢をキープすることができます。
もし歩行が難しく、ベッドで食事を行う場合はリクライニングで食べやすい角度に状態を起こします。
このとき、本人が苦しくなく、リラックスできる角度を尋ねながら調整を行うのがおすすめです。
3-6水分補給
高齢者の場合、トイレに行きたくないなどの理由からどうしても水分が不足しがち。さらに加齢によって喉の渇きを感じる機能も衰えるため、食事のときの水分補給はとても重要です。
食事中はもちろん、食事の前に水分を補給することは、口の中に水分を与えて、食べ物を飲み込みやすくするという効果も。
食事中もできるだけタイミングを見て水分を補給してもらうようにしましょう。
04食事中の介助方法のポイント
高齢者の食事にとって、介助者の技術は非常に重要です。では、スムーズな食事介助を行うためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
4-1介助者のポジション
介助者は高齢者の横に同じ目線になるように座るのが基本的なポジションです。正面から食事介助を行うと、相手にプレッシャーを与えてしまうだけでなく、嚥下が行われたかどうかの確認が難しくなります。
また、高い位置からの食事介助は誤嚥のリスクが高くなるもの。さらに目線を合わせることで、あごが引かれて嚥下が行いやすくなります。
4-2食事の提供方法
食事の介助はスプーンを使って行います。一度に運ぶ量は、介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯程度を目安にしましょう。
スプーンを口に入れるときには、奥ではなく手前に入れること。また、口の下ではなく、上にスプーンを運ぶと、顔が上を向いて誤嚥を起こしやすくなります。
さらに食べ物を口に運ぶ前には「次は○○を食べましょうね!」と声かけを行うようにしましょう。自分が何を食べているのかを自覚することは、食欲を刺激することにつながります。
また、複数のおかずなどがあるときには水分が多いものから与えること。水分を与えることで、誤嚥を防ぐだけでなく、胃酸の分泌を促進し、消化と吸収にも役立ちます。
なお、ひとつの食品だけを食べていると飽きてしまうため、主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べられるように意識しましょう。
4-3高齢者のペースを見極め急かさない
食事介助を行うときにもっとも重要なのが、ペースを見極めて急かさないということ。
高齢者の食事はどうしてもゆっくりになり時間がかかるため、早く食べて欲しいと思いがちですが、無理に食事を食べさせることは誤嚥の危険を高めるだけでなく、高齢者にとってストレスになってしまいます。
高齢者の方が食事を楽しめるように、ペースを合わせて食事介助を行いましょう。また、食事をしっかり飲み込んだことを確認してから次の食事を運び、飲み込みを急かさないようにしましょう。
4-4食事にかける時間
食事にかける時間は約三十分が一つの目安です。食事の時間が長くなると、集中力がなくなり疲れが出てしまうことも。
ただし、食事のペースには個人差があるもの。ゆっくりでも食べられる方もいらっしゃいますので、決して急かさないようにしましょう。
05食事介助の注意点
高齢者の食事介助は、食事のお手伝いを行うだけではありません。健康維持のためには、食事を終えたあとにも注意したい点があります。
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
06まとめ
食事介助は高齢者の食事を支える重要な仕事。食事介助によって食事の時間が楽しくなり、健康で幸せな生活を維持することにもつながります。まず食事介助の目的やポイントを理解し、高齢者のペースに合わせて行うことが必要です。、
この講座は!プロの監修を受けています!
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
4-1介助者のポジション
介助者は高齢者の横に同じ目線になるように座るのが基本的なポジションです。正面から食事介助を行うと、相手にプレッシャーを与えてしまうだけでなく、嚥下が行われたかどうかの確認が難しくなります。
また、高い位置からの食事介助は誤嚥のリスクが高くなるもの。さらに目線を合わせることで、あごが引かれて嚥下が行いやすくなります。
4-2食事の提供方法
食事の介助はスプーンを使って行います。一度に運ぶ量は、介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯程度を目安にしましょう。
スプーンを口に入れるときには、奥ではなく手前に入れること。また、口の下ではなく、上にスプーンを運ぶと、顔が上を向いて誤嚥を起こしやすくなります。
さらに食べ物を口に運ぶ前には「次は○○を食べましょうね!」と声かけを行うようにしましょう。自分が何を食べているのかを自覚することは、食欲を刺激することにつながります。
また、複数のおかずなどがあるときには水分が多いものから与えること。水分を与えることで、誤嚥を防ぐだけでなく、胃酸の分泌を促進し、消化と吸収にも役立ちます。
なお、ひとつの食品だけを食べていると飽きてしまうため、主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べられるように意識しましょう。
4-3高齢者のペースを見極め急かさない
食事介助を行うときにもっとも重要なのが、ペースを見極めて急かさないということ。
高齢者の食事はどうしてもゆっくりになり時間がかかるため、早く食べて欲しいと思いがちですが、無理に食事を食べさせることは誤嚥の危険を高めるだけでなく、高齢者にとってストレスになってしまいます。
高齢者の方が食事を楽しめるように、ペースを合わせて食事介助を行いましょう。また、食事をしっかり飲み込んだことを確認してから次の食事を運び、飲み込みを急かさないようにしましょう。
4-4食事にかける時間
食事にかける時間は約三十分が一つの目安です。食事の時間が長くなると、集中力がなくなり疲れが出てしまうことも。
ただし、食事のペースには個人差があるもの。ゆっくりでも食べられる方もいらっしゃいますので、決して急かさないようにしましょう。
05食事介助の注意点
高齢者の食事介助は、食事のお手伝いを行うだけではありません。健康維持のためには、食事を終えたあとにも注意したい点があります。
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。
06まとめ
食事介助は高齢者の食事を支える重要な仕事。食事介助によって食事の時間が楽しくなり、健康で幸せな生活を維持することにもつながります。まず食事介助の目的やポイントを理解し、高齢者のペースに合わせて行うことが必要です。、
この講座は!プロの監修を受けています!
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
5-1食事の内容を確認
どれだけ食事を食べられたか、なにをどれだけ残したかというのは、高齢者の健康を示すバロメーターです。もし普段に比べて食事の量が著しく減少しているといった場合、体調不良に陥っている可能性も考えられます。
もちろん、一時的な問題ということもありますが、食事の量が少しずつ減少している場合には、その変化に気づきにくいもの。食事の量が表すサインを見逃さないようにするためには、残した食事の量や食事にかかった時間などを記録しておくと役に立ちます。
もし食事を残した場合には、健康上の問題ではなく、介助を行う人と高齢者のペースが合っていないということも考えられるため、記録を残すことは今後の食事介助を行う上での参考になります。
もし食事の摂取量が大きく変化した場合には、看護師や栄養士と相談することも必要です。
5-2必要に応じて服薬介助
持病などがある場合には、薬などを処方されていることがあります。その場合には、食後に服薬介助を行うことが必要です。
特に注意したいのは認知機能が低下している場合。認知機能が低下していると、どの薬をいつ飲むか、もう飲んだかという点が曖昧になり、必要な薬を服用することが難しくなってしまいます。
その場合には、小さなポケットがついている「お薬カレンダー」を利用したり、薬のラベルにあらかじめ日付などを記入するなど、飲み忘れや飲み過ぎを防ぐためのサポートが必要になります。
5-3食後の口腔ケア
高齢者にとって食後の口腔ケアは非常に重要です。
健康な人の場合、口の中に食べ物のカスなどが残っている場合には、すぐにそれを理解して飲み込むことができますが、感覚が低下している高齢者にとって、口の中の状態を把握するのは難しいもの。
また、飲み込む力が衰えている場合や、あごや舌の筋力が低下している場合などは、口の中のものを飲み込むのも困難なことがあります。
しかし、もし口の中に食べ物が残っていると、それが気管に入り、誤嚥性肺炎や窒息の原因になってしまうことも。
それを防ぐためにも、食後には歯磨きやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。
もし入れ歯などを利用している場合には、外して洗浄することを忘れないようにしましょう。
特に唾液腺の機能が低下している人は、口の中が乾燥しがち。口の中の乾燥を放置していると、雑菌が繁殖して口内炎などが起こりやすくなってしまいます。健康な人の場合には、口内炎になってもしばらくすれば完治しますが、高齢者の場合はなかなか口内炎が治らないため、それが原因で食欲が低下してしまうことも少なくありません。また、雑菌が胃腸に入って消化器系の疾患の原因となってしまうことも考えられるため、食後の口腔ケアはしっかりと行いましょう。