家族心理学とは何か?1から丁寧に解説!
この記事では、家族心理学とは何かについて分かりやすく解説しています。家族心理学の基本的な概要をはじめ、家族心理学の歴史や、今後の日本の家族心理学の目標や方向性についてご紹介します。
家族心理学に興味のある方や、これから家族心理学を学びたいと思っている方のご参考になれば幸いです。
- 目次
01家族心理学の概要
1-1家族心理学とは
家族心理学とは、家族関係を研究の対象とする心理学です。
心理療法や研究の対象を個人にとどめず、問題となる課題を家族単位のシステムとして捉えることで、個人だけに焦点をあてて取り組むよりも、より効果的な問題解決に繋がることがわかっています。
家族心理学は、1980年代に発展し始めた、比較的若い学問です。数世代が同居する拡大家族だった時代から、核家族時代への変化に伴って出現し始めた現代家族特有の問題に焦点を当て、その解決方法の究明と対処方法について、臨床や研究を行うものです。
1-2家族心理学の目的
現代家族が抱える特有の問題の克服のため、そのメカニズムに迫り、有効な解決方法や援助方法について臨床や研究を行うことが、家族心理学の主たる目的です。
そのためには、家族を一つのシステムとして捉え、それぞれの家族の個性を構造的に理解することが欠かせません。
結婚期から子どもを産み育てる時期、乳幼児期から学童期・思春期の子どもの時期、中年期や老年期と、各発達段階で直面する個々の問題を家族問題の視点から捉え、解決方法や予防対策などの効果的なアプローチを実現することを目標としています。
1-3家族心理学の領域
家族心理学研究の対象となる関連領域は多岐にわたります。
特に隣接して深い関わりを持つ社会心理学・臨床心理学・発達心理学・コミュニティ心理学などから、生涯発達・精神保健・看護や介護・社会福祉・学校教育・司法や矯正・産業や労働・ジェンダー論・コミュニティ論など、家族心理学の関係領域は枚挙にいとまがありません。
現代家族が抱える問題の具体的な代表的な例としては、結婚や離婚・再婚にかかる夫婦問題、児童虐待・家庭内暴力・非行・自殺願望・不登校などの子どもに関わる問題、貧困や災害、高齢者虐待問題などが挙げられます。
02家族心理学の歴史
2-1家族心理学の誕生の背景
家族心理学の源流である「家族療法」は、1950年代から欧米を中心に発展していた心理療法の一つです。あらゆる心理療法研究の複合体でもある家族療法ですが、核とされている理論は、家族心理学と同じく「システム論」です。
家族を一人一人の成員が相互作用して影響を与え合う一つのシステムとして捉える「システムズ・アプローチ」では、個人の精神的病理や問題行動を、悪循環している家族間コミュニケーションによって維持されていると考えます。
家族心理学の第一人者である岡堂哲雄氏の展望論文「家族心理学研究の動向」の中で、家族心理学の成立過程について、世界的に見た流れを以下のようにまとめられています。
第一期・1900年~1940年頃:精神力学・集団力学の創始期
第二期・1940年~1960年頃:母現病の発見とそれへの批判
第三期・1960年~1980年頃:システムズアプローチの多彩な開花期
第四期・1980年~現在:諸理論の統合と家族心理学の確立期
2-2日本の家族心理学の誕生
ドイツやアメリカで早くから発展した心理学各分野に対し、大きく後れを取っていた日本の心理学でしたが、「家族心理学」においては、約30年ほど前の1980年代頃、世界各国で確立し始めたのとほぼ同時期に学問として成立しています。
1984年には、家族心理学における国内の学会として「日本家族心理学会」が創設されました。
2017年には一般社団法人となり、より社会に貢献する学会として活動しています。
03家族心理学の目標
日本の家族心理学を主に担う「日本家族心理学会」が掲げる目標に基づいてその内容の詳細を解説するとともに、今後の日本の家族心理学の目標としてご紹介します。
3-1家族心理学領域のアカデミックな研究を推進すること
「アカデミックな研究」とは、それが学問的・学術的な研究であることを指しています。つまり、俗説・迷信をはじめとする感覚的・直観的な理論ではなく、データや科学的根拠に基づいた、理論的な研究のことを指します。
日本家族心理学会において、家族心理学研究では、家族心理学の関連する領域について、専門性の高い研究を推進する旨が示されています。
3-2家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること
この全文は、「ファミリーカウンセリング、家族療法、カップルセラピー、ブリーフセラピー、統合的心理療法などの家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること」です。
ファミリーカウンセリングやカップルセラピーは、家族ぐるみで、あるいは夫婦や恋人などのカップルに対して行われるカウンセリングのことです。家族療法については前述の通りです。
ブリーフセラピーとは
「短期療法」とも訳されるブリーフセラピーは、問題解決やカウンセリングにかける時間を合理的に用いるという意味があり、より効率的で効果的な援助を目指す心理療法のことです。
原因や背景追究することに重きを置かず、「どうすれば解決するのか」という点を中心に、解決のためにとるべき行動などについてカウンセリングに臨みます。
統合的心理療法とは
「統合的心理療法」とは、特定の心理療法のみにこだわらず、それぞれのクライアントに応じて複数の心理療法の技法を組み合わせ、アレンジすることによって、より高い効果を求める心理療法のことです。
3-3家族の危機を予防し、絆を強める家族心理教育の普及に努めること
全文では、「家族の危機を予防し、絆を強める心理教育的方法(家族心理教育)の普及に努めること」とされています。
家族心理学研究における臨床やカウンセリングにあたっては、家族の危機を予防することに努めるのはもちろん、家族間の絆を深めるために必要な心理教育が必要です。
家族心理教育とは、疾患や心理的な問題またはその対応方法についての正しい知識を、家族で学ぶことです。問題に対する正しい知識や情報を得る事によって、問題化に至るまで家族間で行われていた悪循環に対して、ポジティブな変化を与えることができます。
1-1家族心理学とは
家族心理学とは、家族関係を研究の対象とする心理学です。
心理療法や研究の対象を個人にとどめず、問題となる課題を家族単位のシステムとして捉えることで、個人だけに焦点をあてて取り組むよりも、より効果的な問題解決に繋がることがわかっています。
家族心理学は、1980年代に発展し始めた、比較的若い学問です。数世代が同居する拡大家族だった時代から、核家族時代への変化に伴って出現し始めた現代家族特有の問題に焦点を当て、その解決方法の究明と対処方法について、臨床や研究を行うものです。
1-2家族心理学の目的
現代家族が抱える特有の問題の克服のため、そのメカニズムに迫り、有効な解決方法や援助方法について臨床や研究を行うことが、家族心理学の主たる目的です。
そのためには、家族を一つのシステムとして捉え、それぞれの家族の個性を構造的に理解することが欠かせません。
結婚期から子どもを産み育てる時期、乳幼児期から学童期・思春期の子どもの時期、中年期や老年期と、各発達段階で直面する個々の問題を家族問題の視点から捉え、解決方法や予防対策などの効果的なアプローチを実現することを目標としています。
1-3家族心理学の領域
家族心理学研究の対象となる関連領域は多岐にわたります。
特に隣接して深い関わりを持つ社会心理学・臨床心理学・発達心理学・コミュニティ心理学などから、生涯発達・精神保健・看護や介護・社会福祉・学校教育・司法や矯正・産業や労働・ジェンダー論・コミュニティ論など、家族心理学の関係領域は枚挙にいとまがありません。
現代家族が抱える問題の具体的な代表的な例としては、結婚や離婚・再婚にかかる夫婦問題、児童虐待・家庭内暴力・非行・自殺願望・不登校などの子どもに関わる問題、貧困や災害、高齢者虐待問題などが挙げられます。
2-1家族心理学の誕生の背景
家族心理学の源流である「家族療法」は、1950年代から欧米を中心に発展していた心理療法の一つです。あらゆる心理療法研究の複合体でもある家族療法ですが、核とされている理論は、家族心理学と同じく「システム論」です。
家族を一人一人の成員が相互作用して影響を与え合う一つのシステムとして捉える「システムズ・アプローチ」では、個人の精神的病理や問題行動を、悪循環している家族間コミュニケーションによって維持されていると考えます。
家族心理学の第一人者である岡堂哲雄氏の展望論文「家族心理学研究の動向」の中で、家族心理学の成立過程について、世界的に見た流れを以下のようにまとめられています。
第一期・1900年~1940年頃:精神力学・集団力学の創始期
第二期・1940年~1960年頃:母現病の発見とそれへの批判
第三期・1960年~1980年頃:システムズアプローチの多彩な開花期
第四期・1980年~現在:諸理論の統合と家族心理学の確立期
2-2日本の家族心理学の誕生
ドイツやアメリカで早くから発展した心理学各分野に対し、大きく後れを取っていた日本の心理学でしたが、「家族心理学」においては、約30年ほど前の1980年代頃、世界各国で確立し始めたのとほぼ同時期に学問として成立しています。
1984年には、家族心理学における国内の学会として「日本家族心理学会」が創設されました。
2017年には一般社団法人となり、より社会に貢献する学会として活動しています。
03家族心理学の目標
日本の家族心理学を主に担う「日本家族心理学会」が掲げる目標に基づいてその内容の詳細を解説するとともに、今後の日本の家族心理学の目標としてご紹介します。
3-1家族心理学領域のアカデミックな研究を推進すること
「アカデミックな研究」とは、それが学問的・学術的な研究であることを指しています。つまり、俗説・迷信をはじめとする感覚的・直観的な理論ではなく、データや科学的根拠に基づいた、理論的な研究のことを指します。
日本家族心理学会において、家族心理学研究では、家族心理学の関連する領域について、専門性の高い研究を推進する旨が示されています。
3-2家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること
この全文は、「ファミリーカウンセリング、家族療法、カップルセラピー、ブリーフセラピー、統合的心理療法などの家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること」です。
ファミリーカウンセリングやカップルセラピーは、家族ぐるみで、あるいは夫婦や恋人などのカップルに対して行われるカウンセリングのことです。家族療法については前述の通りです。
ブリーフセラピーとは
「短期療法」とも訳されるブリーフセラピーは、問題解決やカウンセリングにかける時間を合理的に用いるという意味があり、より効率的で効果的な援助を目指す心理療法のことです。
原因や背景追究することに重きを置かず、「どうすれば解決するのか」という点を中心に、解決のためにとるべき行動などについてカウンセリングに臨みます。
統合的心理療法とは
「統合的心理療法」とは、特定の心理療法のみにこだわらず、それぞれのクライアントに応じて複数の心理療法の技法を組み合わせ、アレンジすることによって、より高い効果を求める心理療法のことです。
3-3家族の危機を予防し、絆を強める家族心理教育の普及に努めること
全文では、「家族の危機を予防し、絆を強める心理教育的方法(家族心理教育)の普及に努めること」とされています。
家族心理学研究における臨床やカウンセリングにあたっては、家族の危機を予防することに努めるのはもちろん、家族間の絆を深めるために必要な心理教育が必要です。
家族心理教育とは、疾患や心理的な問題またはその対応方法についての正しい知識を、家族で学ぶことです。問題に対する正しい知識や情報を得る事によって、問題化に至るまで家族間で行われていた悪循環に対して、ポジティブな変化を与えることができます。
3-1家族心理学領域のアカデミックな研究を推進すること
「アカデミックな研究」とは、それが学問的・学術的な研究であることを指しています。つまり、俗説・迷信をはじめとする感覚的・直観的な理論ではなく、データや科学的根拠に基づいた、理論的な研究のことを指します。
日本家族心理学会において、家族心理学研究では、家族心理学の関連する領域について、専門性の高い研究を推進する旨が示されています。
3-2家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること
この全文は、「ファミリーカウンセリング、家族療法、カップルセラピー、ブリーフセラピー、統合的心理療法などの家族への心理社会的臨床技法の向上と展開を図ること」です。
ファミリーカウンセリングやカップルセラピーは、家族ぐるみで、あるいは夫婦や恋人などのカップルに対して行われるカウンセリングのことです。家族療法については前述の通りです。
ブリーフセラピーとは
「短期療法」とも訳されるブリーフセラピーは、問題解決やカウンセリングにかける時間を合理的に用いるという意味があり、より効率的で効果的な援助を目指す心理療法のことです。
原因や背景追究することに重きを置かず、「どうすれば解決するのか」という点を中心に、解決のためにとるべき行動などについてカウンセリングに臨みます。
統合的心理療法とは
「統合的心理療法」とは、特定の心理療法のみにこだわらず、それぞれのクライアントに応じて複数の心理療法の技法を組み合わせ、アレンジすることによって、より高い効果を求める心理療法のことです。
3-3家族の危機を予防し、絆を強める家族心理教育の普及に努めること
全文では、「家族の危機を予防し、絆を強める心理教育的方法(家族心理教育)の普及に努めること」とされています。
家族心理学研究における臨床やカウンセリングにあたっては、家族の危機を予防することに努めるのはもちろん、家族間の絆を深めるために必要な心理教育が必要です。
家族心理教育とは、疾患や心理的な問題またはその対応方法についての正しい知識を、家族で学ぶことです。問題に対する正しい知識や情報を得る事によって、問題化に至るまで家族間で行われていた悪循環に対して、ポジティブな変化を与えることができます。
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