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公認心理師とは?臨床心理士との違いや受験資格・仕事内容を簡単解説!

心の専門家として注目を集める公認心理師。
この国家資格は、人々の心の健康と生活の質の向上に大きな役割を果たしています。
「心理的な支援が必要だけど、どんな専門家に相談すればいいのかわからない」
「公認心理師って何をする人なの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、公認心理師の定義や役割、魅力、そして資格取得までの道のりについて詳しく解説します。
公認心理師の幅広い活躍の場や、社会的信頼性の高さ、キャリアアップの可能性など、5つの魅力を中心にお伝えしていきます。
この記事を読み終えると、公認心理師という職業の重要性と魅力を深く理解できるでしょう。
心理支援に興味がある方や、将来のキャリアを考えている方にとって、新たな可能性を見出すきっかけになるかもしれません。
心の専門家として社会に貢献したいという思いが、より具体的になるはずです。

目次

01公認心理師とは?

「うつ」や「ひきこもり」といった複雑化している国民の「心の健康問題」の対応が急務とされる中、それらに対応するため唯一の心理関連の国家資格として「公認心理師」が誕生しました。
2017年9月15日に「公認心理師法」が施行され、2020年12月第3回の試験までで43,000人以上が合格しています。
公認心理師法第2条の定義によると、公認心理師とは「保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関して支援を必要としている人やその関係者の相談に応じ、助言や指導・分析を行う人」のことを言います。行動心理資格

1-1なぜ「心理師」と書くのか

通常「しんりし」を漢字で書くと「心理士」となります。
しかし公認心理師は「心理師」。
なぜでしょうか?
実は「公認心理師」という名称は公認心理師法第44条で名称の使用制限が定められています。「公認心理師」もしくは「心理師」という文字を、資格をもたない人は使用できないのです。

1-2臨床心理士との違い

まだできたばかりの公認心理師は、臨床心理士とよく比較されます。それぞれの違いを知っていますか?

  公認心理師 臨床心理士
資格 国家資格 民間資格
認定 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会
合格者数(2021年4月1日現在) 43,720名 38,397名
更新制度 なし あり
受験資格 主に指定の科目を大学で履修+指定の科目を大学院で履修もしくは指定機関で2年以上の実務経験があること 主に指定大学院もしくは専門職大学院卒業
仕事内容 ・要支援者もしくはその関係者に対し助言・指導・援助を行うこと
・「心の健康」に関する知識普及のための教育・情報提供
(公認心理師法第2条より)
「臨床心理査定」「臨床心理面接」「臨床心理的地域援助」またこれらに関する調査・研究・発表

大きな違いは、民間資格か国家資格かということです。
仕事内容に関しては、現状では大きな違いはありません。
クライアントのケア以外に公認心理師は「心の健康に関する知識の普及」に重点を置いているのに対し、臨床心理士は「心理臨床実践に関する研究・調査・発表」に重点を置いている点に違いがあります。

1-3公認心理師の仕事

ご紹介したように公認心理師は、臨床心理士と同じような職場で働けるので、幅広い分野で活躍できます。

公認心理師の働ける職場
医療 病院(精神科・心療内科・神経内科・一般内科・小児科・産婦人科など)・診療所・保健福祉センター
福祉 児童相談所・障害者福祉施設
教育 学校・地域の教育相談所
司法 家庭裁判所・少年院・少年鑑別所
産業 企業内カウンセリング・ハローワーク

まだまだ新しくできた資格なので、臨床心理士との仕事のすみわけができているわけではありません。
今後認知度も上がり、仕事の幅はこれからどんどん広がっていくものと考えられます。

02公認心理師になるには

公認心理師になるには公認心理師の資格試験を受験する必要があります。
一度取得すれば、更新は必要ありません。ただし非常に厳しい受験資格があり、それを満たさなければ受験すらできません。
資格試験に合格し、さらに登録手続きをして初めて「公認心理師」と名乗れるようになります。登録手続きには期限がありませんが、登録し忘れには注意が必要です。
では公認心理師の資格試験について詳しく見ていきましょう。

03公認心理師の資格試験

公認心理師の資格試験
公認心理師の資格試験は、現在年に1回開催されています。ただし公認心理師法第六条により毎年1回以上行うことになっているため、受験者数の増加などが理由で回数が変わるかもしれません。
公認心理師試験概要
出題形式 4もしくは5肢を基本としたマークシート形式
試験場所 北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・岡山県・福岡県
試験日 年1回(2021年現在)
試験時間 午前120分・午後120分
試験範囲 公認心理師として具有すべき知識及び技能
受験料 28,700円(税込)
合格基準 正答率60%程度以上

2021年現在の公認心理師の試験情報なので、今後試験回数や試験場所等変更になる可能性もあります。
受験を考えているようであれば、試験を実施している「一般財団法人日本心理研修センター」のサイトをこまめに確認しましょう。

3-1公認心理師の受験資格

では公認心理師の受験資格を確認してみましょう。公認心理師になるには、以下の資格を満たしている必要があります。

公認心理師の受験資格

引用:一般財団法人 日本心理研修センター|公認心理師試験について 受験資格取得ルート

できて間もない資格のため、区分A~Cの基本的な受験資格に加え、特例措置として区分D~Gが設定されています。図を見ても分かりにくいので、それぞれ詳しく解説していきます。
受験区分A
区分Aでは必ず4年生大学で所定の科目を履修している必要があります。
公認心理師法施行規則第一条の二で定められている以下の25の科目を履修しなければなりません。
《大学で履修が必要な科目》
一 公認心理師の職責
二 心理学概論
三 臨床心理学概論
四 心理学研究法
五 心理学統計法
六 心理学実験
七 知覚・認知心理学
八 学習・言語心理学
九 感情・人格心理学
十 神経・生理心理学
十一 社会・集団・家族心理学
十二 発達心理学
十三 障害者・障害児心理学
十四 心理的アセスメント
十五 心理学的支援法
十六 健康・医療心理学
十七 福祉心理学
十八 教育・学校心理学
十九 司法・犯罪心理学
二十 産業・組織心理学
二十一 人体の構造と機能及び疾病
二十二 精神疾患とその治療
二十三 関係行政論
二十四 心理演習
二十五 心理実習(実習の時間が八十時間以上のものに限る。)
※引用:公認心理師法施行規則第一条の二
これに加えて大学院で以下の10種類の科目を履修する必要があります。
《大学院で履修が必要な科目》
一 保健医療分野に関する理論と支援の展開
二 福祉分野に関する理論と支援の展開
三 教育分野に関する理論と支援の展開
四 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
五 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
六 心理的アセスメントに関する理論と実践
七 心理支援に関する理論と実践
八 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
九 心の健康教育に関する理論と実践
十 心理実践実習(実習の時間が四百五十時間以上のものに限る。)
※引用:公認心理師法施行規則第二条
今後はこの区分がメインの受験資格となっていくものと思われます。
受験区分B
区分Bは区分A同様規定の科目を大学で履修後、第五条で規定された学校・裁判所・児童相談所・病院または診療所・精神保健福祉センターといった場所で、2年以上の実務経験が求められます。
大学院へ行く代わりに、実務経験が必要な区分です。
2021年7月現在の認定施設は下記の9施設のみです。
1.少年鑑別所及び刑事施設
2.一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
3.裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所
4.医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ
5.医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック
6.学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
7.学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
8.社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
9.社会福祉法人楡の会
最新の認定施設については、厚生労働省のホームページで最新情報を確認できます。
受験区分C
区分Cは区分A・Bと同等以上の知識・技能があることを認定された場合に認定されます。
具体的には海外の大学で心理に関する科目を修めて卒業、さらに大学院においても心理科目を修め修了した人が対象となります。
この場合は書類審査が必要になるので、受験申込期間の数ヶ月前には申請を出し受験資格認定を受けていなければなりません。申込期間がかなり早めなので、注意が必要です。
書類審査に合格した場合、受験申込受付期間に入る前に認定証が届きます。
受験区分D1・D2
区分D1の場合は2017年以前に大学院で以下の科目を修了した人、区分D2では2017年以前に大学院に入学しその後以下の科目を修了した人が対象となります。
一 保健医療分野に関する理論と支援の展開
二 次に掲げる科目のうち二科目
イ 福祉分野に関する理論と支援の展開
ロ 教育分野に関する理論と支援の展開
ハ 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
ニ 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
三 次に掲げる科目のうち二科目
イ 心理的アセスメントに関する理論と実践
ロ 心理支援に関する理論と実践
ハ 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
ニ 心の健康教育に関する理論と実践
出身大学院の履修科目が該当するかどうかは、直接大学院に確認が必要です。
特例措置とされていますが、現状ではとくに期日は定められていません。
受験区分E
受験区分Eは、2017年9月15日より前に4年制大学で以下の科目を履修、もしくは履修中である必要があります。
一 次に掲げる科目のうち三科目
イ 心理学概論
ロ 臨床心理学概論
ハ 心理学研究法
ニ 心理学統計法
ホ 心理学実験
二 次に掲げる科目のうち四科目
イ 知覚・認知心理学
ロ 学習・言語心理学
ハ 感情・人格心理学
ニ 神経・生理心理学
ホ 社会・集団・家族心理学
ヘ 発達心理学
ト 障害者・障害児心理学
三 次に掲げる科目のうち二科目
イ 心理的アセスメント
ロ 心理学的支援法
ハ 心理演習
ニ 心理実習
四 次に掲げる科目のうち二科目
イ 健康・医療心理学
ロ 福祉心理学
ハ 教育・学校心理学
ニ 司法・犯罪心理学
ホ 産業・組織心理学
五 次に掲げる科目(前号の二科目のうち一科目が同号イに掲げる科目である場合にあっては、ロ又はハに掲げる科目)のうち一科目
イ 健康・医療心理学
ロ 人体の構造と機能及び疾病
ハ 精神疾患とその治療※附則抄第三条より
さらに2017年9月15日以降に大学院で、区分Aと同様の10科目を履修していなければなりません。
こちらも経過措置ですが、受験資格の期限は定められていません。
受験区分F
区分Fでも2017年9月15日以前に大学で区分E同様の科目を履修または履修中である必要があります。
さらに区分B同様の以下の9施設で2年以上の実務経験が求められます。
1.少年鑑別所及び刑事施設
2.一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
3.裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所
4.医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ
5.医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック
6.学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
7.学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
8.社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
9.社会福祉法人楡の会
こちらも経過措置ですが、受験資格の期限は定められていません。
受験区分G
区分Gは実務経験が5年以上ある人が対象となります。
ここで認められる施設とは施行規則第五条第一号から第二十五号までの学校・裁判所・病院などの施設です。簡単に説明しますと以下のような施設を指します。
一 学校
二 裁判所
三 保健所又は市町村保健センター
四 障害児通所支援事業若しくは障害児相談支援事業を行う施設、児童福祉施設又は児童相談所
五 病院又は診療所
六 精神保健福祉センター
七 救護施設又は更生施設
八 福祉に関する事務所又は市町村社会福祉協議会
九 婦人相談所又は婦人保護施設
十 知的障害者更生相談所
十一 広域障害者職業センター、地域障害者職業センター又は障害者就業・生活支援センター
十二 老人福祉施設
十三 無業青少年の職業生活における自立を支援するための施設
十四 労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を講ずる施設
十五 更生保護施設
十六 介護療養型医療施設又は介護保険法に規定する介護老人保健施設、介護医療院若しくは地域包括支援センター
十七 刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院若しくは入国者収容所又は地方更生保護委員会若しくは保護観察所
十八 国立児童自立支援施設
十九 ホームレス自立支援事業を行う施設
二十 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
二十一 発達障害者支援センター
二十二 障害福祉サービス事業、一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業を行う施設、基幹相談支援センター、障害者支援施設、地域活動支援センター又は福祉ホーム
二十三 認定こども園
二十四 子ども・若者総合相談センター
二十五 地域型保育事業を行う施設
二十六 前各号に掲げる施設に準ずる施設として文部科学大臣及び厚生労働大臣が認める施設
参考:施行規則第五条第一号から第二十五号
そして「実務経験」とは、上記施設において公認心理師法第二条の一~三号に値する行為を指します。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
引用:公認心理師法第二条の一~三号
つまりクライアントに対し心理検査などを行い、さらにクライアントやその家族に対しカウンセリングを行うといった行為のことです。これらに当てはまる人が、講習を受講すると受験資格が得られます。
しかしこれは2022年(令和4年)第5回の試験までの特例措置です。講習の開催は令和3年度までとなりますので注意が必要です。

3-2公認心理師の合格率

公認心理師試験の合格率を確認しておきましょう。
現状では合格率は決して高くありません。受験資格が厳しいこともあり、かなり難関資格と言えます。

  第1回 第1回追加試験 第2回 第3回
試験日 平成30年9月9日 平成30年12月16日 令和元年8月4日 令和2年12月20日
受験者数 35,020人 1,083人 16,949人 13,629人
合格者数 27,876人
(男性6,980人・女性20,896人)
698人
(男性254人・女性444人)
7,864人
(男性2,207人・女性5,657人)
7,282人
(男性2,022人・女性5,260人)
合格率 79.6% 64.5% 46.4% 53.4%

01公認心理師の概要と国家資格としての位置づけ

公認心理師は、2017年に誕生した比較的新しい国家資格です。
しかし、その重要性と需要の高さから、急速に注目を集めています。
ここでは、公認心理師の定義や役割、国家資格化の背景、そして他の心理職との違いについて詳しく解説していきます。

1-1公認心理師とは何か?定義と役割

公認心理師は、心理学に関する専門的知識と技術を用いて、人々の心の健康の保持増進、心の問題の予防や改善、生活の質の向上を支援する専門家です。
その役割は多岐にわたり、以下のような活動が含まれます。
1. 心理アセスメント
心理検査や面接を通じて、個人の心理状態や特性を評価します。
2. 心理カウンセリング
個人や集団に対して、心理的な支援や助言を提供します。
3. 心理教育
心の健康に関する知識や対処法を教育し、予防的なアプローチを行います。
4. 他職種との連携
医療、教育、福祉など、様々な分野の専門家と協力して包括的なサポートを行います。
公認心理師は、医療機関、教育機関、企業、福祉施設など、幅広い分野で活躍しています。その専門性を活かし、人々の心の健康と生活の質の向上に貢献しているのです。

1-2国家資格化の背景と目的

公認心理師が国家資格として制定された背景には、以下のような社会的ニーズがあります。
1. メンタルヘルスの重要性の高まり
現代社会のストレスの増加に伴い、心の健康への関心が高まっていました。
2. 心理職の質の保証
それまで統一された基準がなく、心理職の質にばらつきがありました。
3. 他職種との連携の必要性
医療や教育など、他分野との連携を円滑に行うための共通基盤が求められていました。
これらの背景を踏まえ、公認心理師制度は以下の目的で創設されました。
1. 心理職の質の向上と標準化
統一された基準を設けることで、心理職の質を保証します。
2. 心理的支援へのアクセス向上
より多くの人々が質の高い心理的支援を受けられるようにします。
3. 他職種との連携強化
共通の資格を持つことで、他分野の専門家との連携をスムーズにします。
4. 心理職の社会的認知度向上
国家資格化により、心理職の重要性と専門性を社会に広く認知させます。

1-3他の心理職との違い

公認心理師は、他の心理職とどのように異なるのでしょうか。
主な違いは以下の通りです。
1. 国家資格であること
公認心理師は国家資格であり、法律に基づいて定められた統一基準があります。
一方、臨床心理士などは民間資格です。
2. 活動範囲の広さ
公認心理師は、医療、教育、福祉、産業など、幅広い分野で活動できます。
他の心理職は、特定の分野に特化していることが多いです。
3. 医療分野での位置づけ
公認心理師は、医療保険制度の中で心理的支援を提供できる唯一の心理職です。
これにより、医療機関での活躍の場が広がっています。
4. 養成課程の違い
公認心理師になるためには、大学での心理学の学習と実務経験が必要です。
他の心理職では、異なる養成課程や資格取得方法が設けられています。
5. 継続的な学習と更新
公認心理師は、定期的に知識や技術の更新が求められます。
これにより、常に最新の知見を持って支援を行うことができます。
以上のように、公認心理師は国家資格としての特徴を持ち、幅広い分野で活躍できる心の専門家です。
その役割と重要性は、今後ますます高まっていくことが予想されます。
心の健康に関心がある方や、人々のサポートに携わりたい方にとって、公認心理師は魅力的な資格といえるでしょう。

02公認心理師の5つの魅力

公認心理師には、他の心理職にはない独自の魅力があります。
ここでは、その中でも特に注目すべき5つの魅力について詳しく解説します。

2-1幅広い活躍の場

公認心理師の最大の魅力の一つは、その活躍の場の広さです。
医療機関、教育機関、福祉施設、企業など、様々な分野で心理支援のニーズが高まっています。
公認心理師は、これらの多様な現場で専門性を発揮することが可能です。
例えば、病院では患者さんの心理的ケアを行ったり、学校ではいじめや不登校の問題に取り組んだりします。
また、企業では従業員のメンタルヘルス対策や組織の活性化に貢献することもあります。
このように、公認心理師は社会の様々な場面で必要とされる、まさに「心の専門家」なのです。

2-2社会的信頼性の向上

公認心理師は国家資格であるため、その専門性と能力が公的に認められています。
これにより、心理支援を必要とする人々からの信頼を得やすくなります。
また、他の医療専門職や教育関係者からも、専門家として認識されやすくなるでしょう。
この社会的信頼性の向上は、心理支援の質の向上にもつながります。
クライアントとの信頼関係を築きやすくなり、より効果的な支援を提供できる可能性が高まるのです。

2-3キャリアアップの可能性

公認心理師の資格を取得することで、キャリアアップの可能性が広がります。
例えば、医療機関では心理職としての地位が確立され、チーム医療の一員としてより重要な役割を担える可能性が高いです。
また、教育現場でもスクールカウンセラーとしての採用が増える傾向にあり、公認心理師の資格を持っていることで採用の可能性が高まります。
さらに、企業でも産業カウンセラーとしての需要が増加しており、公認心理師の資格は大きなアドバンテージとなるでしょう。

2-4多様な心理支援技術の習得

公認心理師の養成課程では、心理学の基礎知識だけでなく、実践的な心理支援技術も学びます。
認知行動療法、家族療法、グループ療法など、様々な心理療法の技法を習得できます。
これらの多様な技術を身につけることで、クライアントの個別のニーズに合わせた柔軟な支援が可能です。
また、常に新しい技術や知見を学び続けることで、専門家としての成長を続けることができるのも魅力の一つです。

2-5チーム医療への参画

公認心理師は、医療現場においてチーム医療の一員として重要な役割を果たします。
医師、看護師、作業療法士、理学療法士などの他職種と協力しながら、患者さんの心身の健康をトータルにサポートします。
このチーム医療への参画は、公認心理師にとって大きな魅力です。
他職種との連携を通じて、自身の専門性を高めるとともに、より包括的な医療サービスの提供に貢献できるのです。
また、チーム内でのコミュニケーションスキルや協調性も磨かれ、専門家としての成長にもつながります。
以上、公認心理師の5つの魅力について詳しく解説しました。
幅広い活躍の場、社会的信頼性の向上、キャリアアップの可能性、多様な心理支援技術の習得、そしてチーム医療への参画。
これらの魅力は、公認心理師という職業が持つ大きな可能性を示しています。
心の健康に関心がある方、人々の心のケアに携わりたい方にとって、公認心理師は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

03公認心理師の主な活動領域

公認心理師は、その専門性を活かして様々な分野で活躍しています。
主な活動領域として、医療・保健、教育、産業・労働、福祉・司法の4つが挙げられます。
それぞれの分野で、公認心理師はどのような役割を果たし、どのような貢献をしているか、詳しく解説します。

3-1医療・保健分野での役割

医療・保健分野は、公認心理師の活躍が最も期待される領域の一つです。
病院や診療所、保健所などで、患者さんやその家族の心理的サポートを行います。
具体的には、うつ病や不安障害などの精神疾患の診断補助や治療支援、がん患者さんへの心理的ケア、認知症の早期発見や家族支援などが主な業務となります。
また、心理検査の実施や解釈、心理療法の提供なども重要な役割です。
医療チームの一員として、医師や看護師、その他の医療専門職と連携しながら、患者さんの心身の健康回復に貢献します。
さらに、地域の保健活動にも参加し、住民の心の健康づくりや予防的な取り組みにも携わります。

3-2教育現場での活躍

教育分野では、学校や教育機関において、児童・生徒・学生の心理的支援を行います。
いじめや不登校、発達障害などの問題に対応し、子どもたちの健全な成長をサポートします。
個別相談や集団での心理教育プログラムの実施、教職員や保護者へのコンサルテーションなどを行うのもスクールカウンセラーの役割です。
また、特別支援教育においても重要な役割を果たし、個々の児童・生徒の特性に応じた支援計画の立案や実施に携わります。
さらに、進路指導や キャリア教育の場面でも、心理学的な知見を活かしたアドバイスを提供し、学生の将来設計をサポートします。

3-3産業・労働分野での需要

企業や組織における従業員のメンタルヘルスケアは、近年ますます重要視されています。
公認心理師は、産業・労働分野において、従業員のストレスマネジメントや職場環境の改善、メンタルヘルス不調の予防と早期発見・対応などに取り組みます。
具体的には、個別カウンセリングの実施、ストレスチェックの実施と結果分析、管理職向けのラインケア研修の企画・実施、職場復帰支援プログラムの立案と運営などが主な業務です。
また、組織のパフォーマンス向上を目的とした心理学的アプローチの導入や、採用・人事評価における心理学的知見の活用なども、公認心理師の重要な役割になります。

3-4福祉・司法分野での貢献

福祉分野では、高齢者や障害者、児童などの支援に携わります。
高齢者施設や障害者支援施設、児童養護施設などで、入所者の心理的ケアや生活支援を行います。
また、地域の福祉センターなどで、住民の心の健康相談や家族支援なども担当する仕事です。
司法分野では、少年鑑別所や刑務所、保護観察所などで、非行少年や犯罪者の心理アセスメントや更生支援に携わります。
また、裁判所での心理鑑定や、犯罪被害者支援なども重要な役割です。
さらに、家庭裁判所での調停や離婚問題に関する心理的サポートなど、法律と心理学の両面からアプローチする専門家としての需要も高まっています。
以上のように、公認心理師の活動領域は非常に幅広く、社会のさまざまな場面で心の専門家としての役割を果たしています。
この多様性こそが、公認心理師という職業の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
心理学の知識と技術を活かして、人々の心の健康と幸福に貢献できる公認心理師は、これからの社会でますます重要な存在となっていくことでしょう。

04公認心理師になるための道のり

公認心理師は、心理学の専門家として国が認める資格です。
この資格を取得するには、一定の教育と実践的な経験を積み、国家試験に合格する必要があります。
ここでは、公認心理師になるための具体的な道のりについて、詳しく解説していきます。

4-1必要な教育と実習

公認心理師になるためには、まず適切な教育を受けることが重要です。
大学で心理学を専攻し、公認心理師に必要な科目を履修することが一般的な道筋となります。
具体的には、心理学概論、臨床心理学、発達心理学、社会心理学などの基礎科目に加え、心理的アセスメントや心理学的支援に関する実践的な科目も学びます。
大学での学びに加えて、実習も重要な要素です。
公認心理師の資格取得には、大学院での2年間の学習と実習、または大学卒業後の施設での2年以上の実務経験が必要となります。
実習では、医療機関、教育機関、福祉施設などで実際のケースに触れ、心理支援の実践的なスキルを身につけていきます。
この教育と実習の過程は、単に知識を詰め込むだけでなく、心理支援の専門家としての倫理観や態度を養う重要な機会です。
クライアントの心に寄り添い、適切な支援を提供できる専門家として成長するための基盤を築く時期といえるでしょう。

4-2国家試験の概要と対策

公認心理師の資格を取得するためには、国家試験に合格しなければなりません。
この試験は年に1回実施され、多肢選択式の問題が出題されます。
試験内容は、心理学の基礎知識から実践的なケーススタディまで幅広い範囲をカバーしています。
国家試験の対策としては、まず基礎的な心理学の知識を徹底的に復習することが重要です。
過去問題を解くことで、出題傾向や解答のコツをつかむことができます。
また、実践的な問題に対応するため、ケーススタディの演習も効果的です。
さらに、グループ学習や模擬試験への参加も有効な対策となります。
他の受験者と情報交換をしたり、自分の弱点を把握したりすることで、より効率的な学習が可能です。
試験直前は、苦手分野の集中的な復習や、全体の総復習に時間を割くことをおすすめします。

4-3資格取得後の継続教育

公認心理師の資格を取得したら、それで終わりというわけではありません。
心理学の分野は日々進歩しており、新しい理論や技法が常に生まれています。
そのため、資格取得後も継続的な学習と研鑽が必要です。
継続教育の方法としては、学会や研究会への参加、専門書の購読、ワークショップへの参加などがあります。
これらを通じて、最新の研究成果や実践技法を学ぶことができます。
また、スーパービジョンを受けることも、自身の実践を振り返り、専門性を高める上で重要です。
さらに、他の専門家とのネットワークを構築することも大切です。
異なる分野の専門家と交流することで、多角的な視点を得られ、より質の高い支援を提供できるでしょう。
公認心理師として活躍し続けるためには、この継続教育を通じて常に自己研鑽に励む姿勢が欠かせません。
クライアントの多様なニーズに応えられる専門家として、生涯学び続ける覚悟が必要なのです。

05公認心理師の将来性と課題

公認心理師は、心の健康を支える専門家として、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されています。
しかし、その一方で、新しい資格制度ならではの課題も存在します。
ここでは、公認心理師の将来性と直面する課題について、詳しく解説します。

5-1需要の増加と社会的認知度

近年、メンタルヘルスの重要性が広く認識されるようになり、心理支援のニーズが急速に高まっています。
職場のストレス対策や学校でのいじめ問題、高齢者の認知症ケアなど、様々な場面で心理の専門家の介入が求められるようになってきました。
この社会的な要請を背景に、公認心理師の需要は今後さらに増加すると予想されています。
特に、企業や教育機関、医療機関などでの採用が増えると見込まれており、活躍の場が広がっていくでしょう。
一方で、公認心理師という資格自体の社会的認知度はまだ十分とは言えません。
国家資格として誕生してからまだ日が浅いこともあり、一般の人々にその役割や重要性が十分に理解されていない面があります。
今後は、公認心理師の活動や成果を積極的に発信し、社会的認知度を高めていくことが課題となるでしょう。

5-2他職種との連携と統合的アプローチ

公認心理師の大きな特徴の一つは、多様な分野で活躍できることです。
しかし、それぞれの現場で効果的に機能するためには、他の専門職との連携が不可欠です。
例えば、医療現場では医師や看護師、学校では教師やスクールカウンセラー、企業では人事部門や産業医など、様々な職種と協力しながら業務を行う必要があります。
このような多職種連携を円滑に進めるためには、公認心理師自身のコミュニケーション能力や他分野の知識が必要です。
また、心理支援の方法も、従来の心理療法だけでなく、身体的アプローチや環境調整など、より統合的なアプローチが求められるようになってきています。
公認心理師には、こうした新しい潮流にも柔軟に対応し、より効果的な支援方法を模索していく姿勢が必要です。

5-3テクノロジーの進化と心理支援の未来

テクノロジーの急速な発展は、心理支援の分野にも大きな変革をもたらしつつあります。
えオンラインカウンセリングやAIを活用した心理アセスメント、VR(仮想現実)を用いたエクスポージャー療法など、新しい技術を取り入れた支援方法が次々と登場しています。
こうした技術革新は、心理支援の可能性を大きく広げる一方で、公認心理師に新たな課題も突きつけています。
例えば、オンラインカウンセリングでは、対面での支援とは異なるコミュニケーションスキルが必要です。
また、AIやビッグデータを活用した心理分析では、データの解釈や倫理的な配慮が重要になってきます。
公認心理師には、こうした新しい技術を適切に理解し、効果的に活用する能力が求められるでしょう。
同時に、テクノロジーに頼りすぎず、人間的な温かみや専門的な判断力を失わないバランス感覚も重要です。
このように、公認心理師の将来は大きな可能性と同時に、様々な課題にも直面しています。
社会のニーズに応え、専門性を高めながら、新しい時代の心の専門家として成長していくことが、公認心理師に期待されている役割と言えるでしょう。

04他にもある心理資格

他にもある心理資格
公認心理師は、心理学的な見地からさまざまな現場で活躍が期待できます。
しかし受験資格を得るためには指定の大学を卒業している必要があり、社会人になってからの資格取得は家事・育児・仕事との両立を考えると難しいと言えます。
そこでおすすめしたいのが、通信教育で取得できる心理カウンセラーの資格です。通信教育であれば、自分のペースで学べるので社会人にぴったりです。
ここからはおすすめの心理資格をご紹介します。

4-1メンタル士心理カウンセラー®

「メンタル士心理カウンセラー®」は日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が主催する資格です。
心理学の基礎を学び、症状に合わせた治療方法を選択できるだけの知識が身につきます。資格取得後は、「心理カウンセラー」としての活動が可能です。

メンタル士心理カウンセラー®資格試験概要
受験資格 特になし
受験料 10,000円(税込)
受験方法 在宅受験
合格基準 正答率70%以上

4-2行動主義心理アドバイザー

「行動主義心理学(行動心理学)」について、基礎知識を身につけられるのが「行動主義心理アドバイザー」です。相手の心を理解し、日常的にも役立つ資格と言えます。
資格取得後は個人やカルチャースクールで「行動主義アドバイザー」として講師活動も可能です。

行動主義心理アドバイザー試験概要
受験資格 特になし
受験料 10,000円(税込)
受験方法 在宅受験
合格基準 正答率70%以上

06まとめ

公認心理師は、2017年に誕生した国家資格で、心の健康を支える専門家として幅広い分野で活躍しています。
医療、教育、産業、福祉など多様な領域で、心理アセスメントやカウンセリング、心理教育を行い、人々の生活の質向上に貢献しています。
資格取得には大学での専門教育と実習、国家試験合格が必要です。
公認心理師の魅力は、活躍の場の広さ、社会的信頼性、キャリアアップの可能性、多様な心理支援技術の習得、チーム医療への参画などが挙げられます。
今後、メンタルヘルスへの注目度上昇に伴い、需要はさらに高まると予想されます。
同時に、他職種との連携強化やテクノロジーの活用など、新たな課題にも直面しています。

この講座は!プロの監修を受けています!

講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
あーちゃん 先生
精神科クリニック勤務
メンタル士心理カウンセラー監修者
1992年生まれ。静岡市出身。精神科クリニック勤務と学校のスクールカウンセラーを兼任しており、普段はカウンセリングや知能検査を実施している。

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