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認知療法・認知行動療法とは?効果的なメンタルケア法を解説!【5つのポイント】

「認知療法・認知行動療法」とは心理療法の一種です。
この療法では物事の捉え方や思考などの「認知」に働きかけ、悲観的な考え方や行動の修正を助けます。
うつ病や統合失調症などの治療に効果があるとされています。
薬物療法と違い、副作用がなく再発しにくいのがこの療法のメリットです。
今回は、認知療法・認知行動療法の概要と期待できる効果、治療の流れをご紹介します。
心理学に興味のある方や、実際に勉強しているという方もぜひ参考にしてみてください。

目次

01認知療法とは

「認知療法(cognitive therapy)」とは、アメリカの精神科医アーロン・T・ベック(Aaron Temkin Beck)が提唱したうつ病患者のための心理療法です。
うつ病の研究をしていたベックは、うつ病患者が自分や周囲、将来に対して否定的・悲観的な思考を持つことに注目。
そしてそのようなネガティブな思考を患者自身に認知させ、その考え方を修正させて新しい考え方ができるように導いていくようにしました。これが「認知療法」の特徴です。
否定的・悲観的な思考を修正させるため、カウンセラーはその思考にいたる理由や別の考え方がないかを患者に質問していきます。物事の捉え方や思考などの「認知」にアプローチし、考え方や行動を修正していくのは「認知療法」特有の手法です。

02行動療法とは

「行動療法(behavior therapy)」とは、心理療法の一つで、相談者の問題行動を分析して正常な反応を示せるように助ける療法です。
「行動療法」では、相談者が抱える行動上の問題(恐怖症・習癖など)そのものに着目します。行動上の問題は以下のような理由により起きていると考えられています。
《相談者が抱える行動上の問題》
① ある場面に対し何らかの原因で不適切な行動や感情を結びつけてしまい、そのまま習慣化してしまった。
②ある場面に対して、適切な行動や感情をまだ身についていない。

この行動療法では、相談者とカウンセラーが一緒に治療目標を立て、さまざまな技法を用いて不適切な行動や感情を修正していきます。
他の心理療法と違うのは「さまざまな技法」を用いるという点です。
一般的な心理療法では、基本的にどんな症状であっても、一定の技法で治療していきます。一方行動療法では、症状や治療目標の設定に応じて異なる技法を用いるのです。

03認知行動療法とは

認知行動療法とは
「認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)」とは、「認知療法」と「行動療法」の長所をそれぞれ取り入れ融合させた心理療法です。
現在では「認知療法」「認知行動療法」に差異はなく、ほぼ同じ意味で使われています。
「認知行動療法」は問題点を具体的にし、行動や思考などを少しずつ変えていくことで、問題解決を目指します。
例をあげて、もう少し具体的に見ていきましょう。

3-1「自動思考」に働きかける

以下の場面を想像してみてください。
あなたは残業で帰宅が夜遅くなってしまいました。帰り道、突然雨が降ってきます。しかし傘を持っていません。
そのときあなたは以下のうちどのような思考をするでしょうか?
・天気予報では雨は降らないって言っていたのに、嘘ばっかり!
・もう少し早く終わるように頑張ればよかった
・みんな私に仕事を押し付けてひどい!
・あのコンビニで傘を買おう
どのような思考を持つかは人により異なります。
このようにある出来事に対し、瞬間的に頭に浮かぶ思考のことを「自動思考」と言います。
認知行動療法では、この「自動思考」に着目し、ストレスに負けない柔軟な考え方ができるように働きかけます。
悲観的にも楽観的にもなりすぎず、バランスの取れた考え方をして上手に問題に対処できるよう助けていくのです。

04認知療法・認知行動療法の効果とメリット・デメリット

認知療法・認知行動療法は、以下の精神疾患の治療において効果があるとされています。
《効果の期待できる精神疾患》
・うつ病
・パニック障害
・PTSD(心的外傷後ストレス障害)
・強迫性障害
・社交不安障害
・不眠症
・摂食障害
・統合失調症 など
しかしどんな治療でも、人によって合う・合わないがあります。認知療法・認知行動療法でも同じことです。ここでは、認知療法・認知行動療法のメリット・デメリットをご紹介します。

4-1認知療法・認知行動療法のメリット

認知療法・認知行動療法のメリットには、以下があげられます。
・治療による回復率が高い
・再発しにくい
・副作用がない割に、薬物治療と同じような効果が期待できる
・治療のみならず、予防の点でも役立つ
治療による回復率が高いことや、薬物治療と比べ再発しにくいのが利点です。

4-2認知療法・認知行動療法のデメリット

認知療法・認知行動療法のデメリットには以下があげられます。
・即効性がなく、短期間での効果は期待できない
・効果が出にくい、合わない相談者もいる
認知療法・認知行動療法を取り入れる際は、長期的な視点で取り組む必要があります。

05認知療法・認知行動療法の流れ

認知療法・認知行動療法の流れ
認知療法・認知行動療法はどのような流れで行われるのでしょうか?
ここからは厚生労働省の「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」を参考に、うつ病の場合の治療の流れをご紹介します。
この治療では認知療法・認知行動療法の代表的な技法である「コラム法(認知再構成法)」「問題解決技法」を利用して、進めていきます。
面接は16~20回程度を想定します。
相談者の状況を見て回数を判断することが重要です。
《認知行動療法の流れ》
① 症状に関する問診・療法の理解
② 治療目標の設定・活動量を増やす
③ 7つのコラムのうち3つのコラムを使いこなす
④ コラム法を進める・問題解決技法
⑤ コラム法仕上げる・スキーマ(心の法則)に気づく
⑥ 治療の終了と再発防止
上記の流れで治療を進めながら、毎回ホームワーク(宿題)を出します。
自らの力で行うホームワークは、面接で話したことを再度考察したり、行動に移したりするのに必要なものです。
次回治療の開始の際に、ホームワークの確認をします。
各項目の詳細を見ていきましょう。

5-1① 症状に関する問診・療法の理解

医師の問診がまだ行われていない場合、成育歴や現在の生活の様子、病気に関する家族の理解度などを確認していきます。
うつ病やこれから行っていく認知行動療法について、相談者にも理解してもらうことが重要です。
問診後に相談者の問題点を整理し、相談者へ伝えます。問題点の中でも、どの問題に対しこれからアプローチしていくかを決定します。

5-2② 治療目標の設定・活動量を増やす

問題に対する治療目標を決めます。
治療目標とは「自分がコントロールできる行動」などです。大きな目標(全般的目標)と、具体的に自分で行動する目標(具体的目標)に分けて決めます。
たとえば…
全般的目標:仕事を終わらせる など
具体的目標:期限に間に合うように資料を作る・朝のうちに提出書類を仕上げる など
このように自分から何かをすることで、相談者自身を活性化していきます。

5-3③ 7つのコラムのうち3つのコラムを使いこなす

治療目標の設定をしたら、次は「コラム法」という技法を使って治療していきます。
コラム法とは、下記の表を埋めていくことで、新たな考え方ができるように促すものです。
以下の図の「7つのコラム」の中から最初の3つのコラムを使っていきます。「状況」「気分」「自動思考」です。

③ 7つのコラムのうち3つのコラムを使いこなす

引用:厚生労働省|うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)

「状況」:最近つらいと感じた出来事を具体的に記載します。
「気分」:不安・恥・心配など、そのときの気分を書き出します。その気持ちを何%ぐらい感じたか、気分のレベルも書き出します。
「自動思考」:そのときに思ったことや、「自分のこと」「他の人のこと」「今後のなりゆき」についてそれぞれ記載します。
最初はカウンセラーが聞きながら書き出していき、慣れてきたら相談者自身に書いてもらいます。

5-4④ コラム法を進める・問題解決技法

ここでは「問題解決技法」を使い、自らの力で問題を解決するための計画を立てたり、その考え方を身につけていったりします。
このステップでは、7つのコラムのうち残りの4つを完成させましょう。
それと同時に、バランスの取れた見方ができるように意識します。
具体的には、以下の3つのアプローチを実施します。
①事実に基づいて考える
②認知のかたよりに注目
③視点を変える
事実に基づいて考える
まず「自動思考」に記載した内容を裏づける事実を「根拠」に記載します。次に、第三者だったら、過去や未来の自分だったらどう考えるかを質問しその内容を「反証」に記載します。事実に基づいて考えることが大切です。
認知のかたよりに注目
私たちは誰もが下図にあるように「認知(物事の見方や思考回路)のかたより」を持っています。うつ状態では顕著になりがちです。
認知のかたよりに注目
引用:厚生労働省|うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)
自動思考にこのかたよりがないかどうかを検証します。
視点を変える
「バランス思考」を記載するために、視点を変えて自動思考を見直してみます。
「友人や家族が同じ考えをしていた場合、なんとアドバイスするか?」「自分の友人だったら、どのようにアドバイスをくれるか?」などと、視点を変えてみましょう。

5-5⑤ コラム法を仕上げる・スキーマ(心の法則)に気づく

人の考えや行動には個々に法則(スキーマ)があり、そのパターンが自動思考を作っています。
うつ病の場合マイナスのスキーマが優勢になり、それが自動思考に影響を与えているのです。
自分自身のスキーマに気づけると、マイナスの自動思考から抜け出すきっかけとなり、うつ病の再発防止になります。このステップは相談者が主導して行うのが理想です。

5-6⑥ 治療の終了と再発防止

相談者主導で作業できるようになってきたら、治療終了の準備を提案し、今までの治療の振り返りをします。さらに以下のことを周知します。
・治療が終わってからも、身についたスキルを日常的に使うこと
・うつ病が再発する可能性もあること
・再発した場合の対処法
そして治療の成果は相談者自身の努力によることを強調します。

01認知療法・認知行動療法の基本概念

認知療法・認知行動療法は、現代の心理療法の中でも特に注目されている効果的なアプローチです。
これらの療法は、私たちの思考パターンが感情や行動に大きな影響を与えているという考えに基づいています。
ここでは、認知療法・認知行動療法の基本的な概念について詳しく解説していきます。

1-1認知療法と認知行動療法の違い

認知療法と認知行動療法は、しばしば混同されることがありますが、実際には微妙な違いがあります。
認知療法は、主に思考パターンの変容に焦点を当てた心理療法です。
この療法では、クライアントの否定的な思考や信念を特定し、それらを現実的で適応的な思考に置き換えることを目指します。
一方、認知行動療法は認知療法を基盤としつつ、行動療法の要素も取り入れたより包括的なアプローチです。
認知行動療法では、思考パターンの変容に加えて、具体的な行動の変化も重視します。
例えば、社交不安を抱える人に対して、認知の再構成と同時に、段階的な対人接触の練習を行うといった具合です。
両者の共通点は、クライアントの思考や信念に働きかけることで、感情や行動の改善を図る点にあります。
しかし、認知行動療法の方がより広範囲な問題に適用可能で、実践的な側面が強いと言えるでしょう。

1-2認知の歪みとは何か

認知の歪みとは、現実を不適切に解釈してしまう思考のパターンのことを指します。
これは、私たちが無意識のうちに陥りやすい思考の癖や偏りのようなものです。
認知の歪みは、しばしば否定的な感情や不適応的な行動につながる原因となります。
代表的な認知の歪みには、以下のようなものがあります。
1. 全か無か思考
物事を白黒つけてしまい、中間的な見方ができない
2. 過度の一般化
一つの出来事から全てを否定的に判断してしまう
3. 心のフィルター
肯定的な面を無視し、否定的な面だけに注目してしまう
4. 結論の飛躍
根拠が不十分なのに、否定的な結論を導き出してしまう
5. 感情的理由づけ
感情を事実と同一視してしまう
これらの認知の歪みを認識し、修正することが、認知療法・認知行動療法の重要な要素となります。

1-3思考・感情・行動の相互作用

認知療法・認知行動療法の核心となる概念が、思考・感情・行動の相互作用です。
この考え方によれば、これら3つの要素は密接に関連し合い、互いに影響を及ぼし合っています。
例えば、ある状況で否定的な思考(「自分は失敗するに違いない」)が生じると、それに伴って不安や落ち込みといった感情が生まれます。
そして、その感情が行動(回避や引きこもり)に影響を与えます。
さらに、その行動が新たな思考や感情を生み出すという具合に、これらは循環的に作用し合うのです。
この相互作用の理解は、問題解決のアプローチを多角的に考える上で非常に重要です。
認知療法・認知行動療法では、この相互作用のどの部分に介入するかを慎重に検討し、最も効果的な方法を選択します。
思考に働きかけることで感情や行動の変化を促したり、逆に行動の変容を通じて思考や感情の改善を図ったりと、柔軟なアプローチが可能となります。
このような多面的なアプローチが、認知療法・認知行動療法の高い効果性につながっているのです。
以上、認知療法・認知行動療法の基本概念について解説しました。
これらの理解を深めることで、自身のメンタルヘルスケアに活かしたり、専門家のサポートをより効果的に受けたりできるでしょう。

02認知療法・認知行動療法の5つの効果的なポイント

認知療法・認知行動療法は、心理的な問題や精神的な苦痛を軽減するために広く用いられている心理療法の一つです。
この療法は、私たちの思考パターンや行動が感情や気分にどのように影響を与えるかに焦点を当てています。
効果的な認知療法・認知行動療法を実践するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、その中でも特に効果的な5つのポイントについて詳しく解説していきます。

2-1自動思考の識別と修正

自動思考とは、ある状況に直面したときに無意識のうちに浮かぶ考えや思い込みのことです。
これらの思考は多くの場合、否定的で非合理的なものであり、私たちの感情や行動に大きな影響を与えます。
認知療法・認知行動療法では、まずこの自動思考を識別し、それを客観的に評価することから始めます。
例えば、プレゼンテーションの準備をしているときに「絶対に失敗してしまう」という思考が浮かんだとします。
この自動思考を識別し、「なぜそう思うのか」「本当にそうなる根拠はあるのか」と自問自答することで、より現実的で建設的な思考に修正が可能です。
この過程を通じて、不安や落ち込みといったネガティブな感情を軽減し、より適応的な行動を取ることができます。

2-2認知の再構成

認知の再構成は、歪んだ思考パターンを特定し、それをより現実的で適応的な思考に置き換える技法です。
この過程では、自分の思考パターンを客観的に観察し、その妥当性を検証します。
例えば、「私は何をやってもダメな人間だ」という思考があるとします。
この思考を再構成するためには、まずこの考えが本当に正しいのかを検証します。
過去の成功体験を思い出したり、周囲の人々からの評価を客観的に見直したりすることで、この思考が必ずしも現実を反映していないことに気づくかもしれません。
そして、「私にも得意なことがあり、努力次第で成長できる」といったより現実的で前向きな思考に置き換えていきます。

2-3行動実験の実施

行動実験は、自分の信念や予測が本当に正しいのかを実際の行動を通じて検証する技法です。
これは、単に頭の中で考えるだけでなく、実際に行動を起こすことで、自分の思考パターンの妥当性を確認する方法です。
例えば、「人前で話すと必ず失敗する」という信念を持っている人がいるとします。
この場合、小さな集まりでスピーチをする機会を作り、実際に話してみるという行動実験を行います。
その結果、予想していたほど悪くなかったり、むしろ好評だったりすることで、自分の信念が必ずしも正しくないことに気づくことが可能です。
このような経験を積み重ねることで、より適応的な思考と行動のパターンを身につけていくことができます。

2-4マインドフルネスの活用

マインドフルネスは、今この瞬間の体験に意図的に注意を向け、判断を加えずにありのままを受け入れる心の状態や練習法を指します。
認知療法・認知行動療法にマインドフルネスの要素を取り入れることで、より効果的なメンタルケアが可能です。
マインドフルネスの実践により、自分の思考や感情をより客観的に観察する能力が養われます。
これにより、ネガティブな思考パターンに巻き込まれることなく、それらを単なる心の中の出来事として捉えることができます。
また、ストレスや不安に対する耐性も高まり、より穏やかで安定した心の状態を維持しやすいです。

2-5問題解決スキルの向上

認知療法・認知行動療法では、日常生活で直面する様々な問題に対して、効果的に対処するためのスキルを身につけることも重要な要素です。
問題解決スキルの向上は、ストレスや不安を軽減し、より充実した生活を送るための基礎となります。
問題解決のプロセスには、まず問題を明確に定義し、可能な解決策をブレインストーミングで列挙します。
次に、それぞれの解決策の長所と短所を評価し、最も適切と思われる方法を選択します。
そして、選んだ解決策を実行し、その結果を評価する手順です。
このプロセスを繰り返し実践することで、問題に対する対処能力が向上し、日常生活でのストレスや困難に対してより効果的に対応できるようになります。
以上の5つのポイントは、認知療法・認知行動療法の核心的な要素であり、これらを効果的に組み合わせることで、より強力なメンタルケアの効果が期待できます。
ただし、専門家のサポートを受けながらの実践が望ましく、自身の状況や目的に合わせて適切なアプローチの選択が重要です。

03認知療法・認知行動療法の適用範囲

認知療法・認知行動療法は、さまざまな精神疾患や心理的問題に対して効果的なアプローチとして知られています。
この治療法は、人々の思考パターンや行動を変えることで、心の健康を改善することを目指しています。適用範囲が広いことが特徴で、多くの人々にとって有益な治療法となっています。
ここでは、認知療法・認知行動療法が特に効果を発揮する代表的な疾患や問題について詳しく見ていきましょう。

3-1うつ病への効果

認知療法・認知行動療法は、うつ病の治療において非常に効果的であることが多くの研究で示されています。
うつ病患者は、しばしば否定的な思考パターンにとらわれ、自己評価が低下し、将来に対して悲観的になりがちです。
認知療法・認知行動療法は、こうした歪んだ思考パターンを特定し、より現実的で適応的な考え方に置き換えることを目指します。
例えば、「私は何をしてもうまくいかない」という否定的な自動思考を持つ患者に対して、治療者はその思考の根拠を一緒に検討し、より客観的な視点を持つよう導きます。
また、行動活性化と呼ばれる技法を用いて、患者が日常生活で楽しみや達成感を得られる活動に積極的に取り組むよう促します。
これらのアプローチにより、うつ病患者は自己評価を高め、前向きな思考を養うことが可能です。
結果として、抑うつ症状の軽減や再発予防につながることが多くの臨床試験で確認されています。
薬物療法と併用することで、さらに高い効果が得られることも知られています。

3-2不安障害への応用

認知療法・認知行動療法は、不安障害の治療にも広く応用されています。
パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害、強迫性障害など、さまざまなタイプの不安障害に対して効果を発揮します。
不安障害の患者は、しばしば過度に危険を予測したり、最悪の事態を想像したりすることが多いです。
認知療法・認知行動療法では、こうした非現実的な不安や恐怖を引き起こす思考パターンを特定し、より適応的な思考に置き換える練習を行います。
例えば、社交不安障害の患者に対しては、社会的状況での否定的な自動思考(「みんなが私を批判的に見ている」など)を検証し、より現実的な解釈を見出す訓練を行います。
同時に、段階的な曝露療法を通じて、恐れている社会的状況に少しずつ慣れていく練習も行います。
これらの技法により、患者は不安を引き起こす状況に対処する能力を高め、日常生活での機能の改善が可能です。
多くの研究で、認知療法・認知行動療法が不安障害の症状軽減に効果的であることが示されています。

3-3その他の精神疾患への適用

認知療法・認知行動療法の適用範囲は、うつ病や不安障害にとどまりません。
様々な精神疾患や心理的問題に対して効果を発揮することが知られています。
例えば、摂食障害の治療では、食事や体型に関する歪んだ認知を修正し、健康的な食行動を促進するアプローチが取られます。
また、統合失調症の患者に対しては、幻覚や妄想に対する対処法を学び、社会生活スキルを向上させる訓練が行われます。
さらに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療では、トラウマ体験に関連する否定的な信念を再評価し、安全感を取り戻すための技法が用いられるのが一般的です。
依存症の治療においても、物質使用や問題行動を引き起こす思考パターンを特定し、より健康的な対処法を学ぶアプローチが効果を上げています。
最近では、慢性疼痛や慢性疲労症候群などの身体症状を伴う疾患にも認知療法・認知行動療法が応用されており、症状管理や生活の質の向上に貢献しています。
このように、認知療法・認知行動療法は幅広い適用範囲を持ち、多くの人々の心の健康改善に役立っています。
ただし、個々の症例に応じて適切なアプローチを選択することが重要であり、専門家による適切な診断と治療計画の立案が不可欠です。

04認知療法・認知行動療法の実践方法

認知療法・認知行動療法は、効果的なメンタルケア法として広く知られています。
この療法を実践することで、ネガティブな思考パターンを改善し、より健康的な心理状態を維持できます。
ここでは、認知療法・認知行動療法の実践方法について、セルフヘルプの手法、専門家によるセッションの流れ、そしてオンラインツールとアプリの活用という3つの観点から詳しく解説していきます。

4-1セルフヘルプの手法

認知療法・認知行動療法は、専門家の助けを借りずに自分自身で実践することも可能です。セルフヘルプの手法を用いることで、日常生活の中で継続的にメンタルケアを行えます。
まず、自分の思考パターンを観察し、記録することから始めましょう。
日記やノートを用意し、ストレスを感じた場面や不安になった出来事を書き留めます。
その際、具体的な状況、そのときの感情、そして頭に浮かんだ考えを詳細に記述します。
次に、記録した思考パターンを分析します。自分の考えが現実的かどうか、過度に悲観的になっていないかを客観的に評価しましょう。
例えば、「絶対に失敗する」という考えは、本当に根拠のあるものなのか、過去の経験から裏付けられるものなのかを検討します。
そして、より建設的で現実的な考え方に置き換える練習をします。
「絶対に失敗する」という考えを「失敗する可能性はあるが、成功する可能性もある」と言い換えるなど、バランスの取れた思考を心掛けることが大切です。
これらの作業を繰り返し行うことで、徐々に自動的に生じるネガティブな思考パターンを認識し、修正できるようになります。
ただし、深刻な症状がある場合や、自分一人での対処が難しいと感じた場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

4-2専門家によるセッションの流れ

認知療法・認知行動療法を専門家のサポートを受けながら行う場合、通常いくつかのセッションを通じて進められます。
ここでは、一般的なセッションの流れについて説明します。
初回のセッションでは、治療者があなたの現在の状況や問題について詳しく聞き取りを行います。
これにより、あなたの抱える課題や目標を明確にすることが可能です。
また、認知療法・認知行動療法の基本的な考え方や進め方について説明を受けます。
続くセッションでは、具体的な問題に焦点を当てて作業を進めていきます。
例えば、ある特定の状況で生じる不安や抑うつ感について、その背景にある思考パターンを探ります。
治療者の助けを借りながら、その思考パターンが適切かどうかを検討し、より適応的な考え方を見つけ出す練習をします。
セッションの中では、ロールプレイングや行動実験などの技法も用いられることが多いです。
これらの技法を通じて、新しい思考パターンや行動を実践的に学びます。
また、セッションとセッションの間には、学んだ技法を日常生活で実践するための宿題が出されることも多いです。
これにより、セッション中でなくとも継続的に認知の修正や行動の変容を試みられます。
セッションは通常、数週間から数ヶ月にわたって継続されます。
その間、定期的に進捗を確認し、必要に応じて治療計画を調整しましょう。
最終的には、学んだスキルを自立的に活用できるようになることを目指します。

4-3オンラインツールとアプリの活用

近年、テクノロジーの発展に伴い、認知療法・認知行動療法をサポートするさまざまなオンラインツールやスマートフォンアプリが登場しています。
これらのデジタルツールを活用することで、より手軽に、そして効果的に療法を実践できます。
日々の気分や思考を記録する機能を提供するアプリも多いです。
そのため、セルフヘルプの基本となる思考パターンの観察と記録が簡単です。
また、記録したデータをグラフ化したり、長期的な傾向を分析したりする機能を持つアプリもあり、自身の変化を視覚的に確認できます。
さらに、認知の歪みを修正するためのエクササイズやマインドフルネス瞑想のガイダンスを提供するアプリも存在します。
これらを活用することで、日常生活の中で定期的に認知療法・認知行動療法技法の実践が可能です。
オンラインプラットフォームを通じて、専門家によるカウンセリングを受けられるサービスも増えています。
これらのサービスを利用すれば、時間や場所の制約を受けずに、専門家のサポートを受けながら認知療法・認知行動療法を実践することが可能です。
ただし、これらのデジタルツールはあくまでも補助的なものであり、深刻な症状がある場合や、専門的な治療が必要な場合は、直接専門家に相談することが重要です。
また、個人情報の取り扱いには十分注意し、信頼できるアプリやサービスを選択するようにしましょう。
以上、認知療法・認知行動療法の実践方法について、セルフヘルプの手法、専門家によるセッションの流れ、オンラインツールとアプリの活用という3つの観点から解説しました。
これらの方法を適切に組み合わせることで、より効果的にメンタルケアを行うことができるでしょう。
自分に合った方法を見つけ、継続的に実践していくことが、心の健康を維持する上で重要です。

06認知療法・認知行動療法は自分でもできる

認知療法・認知行動療法は自分で取り組んでも効果が期待できます。
ここでは自分で行える方法をご紹介します。

6-1自分で7つのコラムをやってみる

自分で行う場合は、上記でご紹介した7つのコラムを自分で作成してみたり、日記形式で「よかったこと」「よくなかったこと」「改善する方法」を書き込んだりする方法などがあります。
また、認知行動療法を取り入れたWEBサイトなども活用できます。自分に合った方法を見つけられるといいですね。

6-2心理資格を取得する

ストレス社会と呼ばれる昨今、誰もが精神疾患のリスクを抱えています。
認知療法・認知行動療法だけでなく、心理療法にはさまざまな種類があります。
心理学は、精神疾患だけでなく今後の生活にも役立てられる知識です。もう少し詳しく学んでみたい方は、資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか?
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05まとめ

本記事では、認知療法・認知行動療法の基本概念や効果的なポイントについて詳しく解説しました。
思考・感情・行動の相互作用を理解し、自動思考の識別や認知の再構成など、5つの重要なテクニックがあります。
認知療法・認知行動療法の実践方法には、セルフヘルプの手法や、専門家によるセッションの流れ、オンラインツールとアプリの活用があります。
認知療法・認知行動療法は、多くの人々にとって効果的なメンタルケア法であり、適切に実践することで心の健康を維持・改善できる可能性が高いです。

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あーちゃん 先生
精神科クリニック勤務
メンタル士心理カウンセラー監修者
1992年生まれ。静岡市出身。精神科クリニック勤務と学校のスクールカウンセラーを兼任しており、普段はカウンセリングや知能検査を実施している。

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