お菓子に使うクリームの種類について
お菓子に欠かせないものといえばクリームです。クリームにはカスタードや生クリーム、ホイップなど様々な種類があり、味わいにもそれぞれの魅力があるもの。これらのクリームにはどんな違いがあるのでしょうか。今回はクリームの種類についてご紹介します。
- 目次
01お菓子のクリームの種類
お菓子のクリームの違いは名前だけではありません。ポイントとなるのは用途や成分です。
1-1カスタードクリーム
シュークリームやババロアに使われるクリームといえばカスタードクリーム。カスタードクリームは卵黄や砂糖、牛乳を用いたクリームでバニラの香りが加えられます。ホイップクリームとは異なり、変質しないのが特徴で、そこにメレンゲや生クリームが加わったものなどもあり、非常にバリエーションが豊かなクリームです。
1-2生クリーム
生クリームは生乳や牛乳などから分離した乳脂肪を原料にしたクリームです。日本の場合にはパッケージに「純生クリーム」と記載されていることもあります。価格は高価ですが、クリームの持つコクや味わいが楽しめます。
1-3ホイップクリーム
ホイップクリームは牛乳を泡立て器などで泡立てて作るクリームです。泡立てることで空気がたっぷりと含まれ、クリームの味わいと軽さを楽しめるクリームです。
また、生乳や牛乳ではなく、植物性の油脂などを使用したものをホイップクリームと呼ぶこともあります。
1-4バタークリーム
バタークリームは砂糖と卵、牛乳、バターつかったクリームです。生クリームよりも保存ができ、固さがあるためデコレーションに使われることが多いクリームです。
このバタークリームには三つの種類があります。
ひとつが「イタリアンメレンゲタイプ」。イタリアンメレンゲタイプは卵白と砂糖、水で作る「イタリアンメレンゲ」とバターを合わせたもの。卵黄を使わないので、お菓子を白く仕上げたいときに使われます。卵の風味が抑え目なので、素材の味を生かすことができると言われ、フルーツや抹茶を加えることもあります。
一方、卵黄と砂糖、水にバターを加えたものが「バータボンブタイプ」です。こちらは卵黄のしっかりした味が特徴で、リッチな風味が楽しめます。こちらはチョコレートやコーヒーなどが加えられることがあります。
最後に、卵黄と砂糖、牛乳にバターを使用したのが「アングレーズタイプ」。こちらもバータボンブタイプと同じくしっかりした味わいで、水分量が多くくちどけがよいという特徴がありますが、作るためにはテクニックが必要だと言われています。
02生クリームとバタークリームの違い
お菓子作りのときについ間違ってしまいがちな生クリームとバタークリーム。このふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。
2-1生クリーム
厳密に言えば生クリームは生乳や牛乳を原料にしたもの。しかし日本の場合には、動物性のものだけでなく、植物性のものも生クリームと呼ばれることがあります。
動物性のものと植物性のものでは味わいや用途にも違いがあります。
動物性のクリームはしっかりとした味わいとくちどけの良さが特徴。色も真っ白ではなく、少し黄色がかっています。
泡立てた生クリームはデコレーションに用いられますが、分離しやすいため、泡立てるときには注意する必要があります。
植物性のクリームは、植物性の油を添加物で加工することによって作られるもので、動物性のものと比べるとあっさりとしています。
また、価格もリーズナブルで賞味期限も長いため、使いやすいクリームとして人気があります。
色も真っ白なので、白くクリームを仕上げるときやムース類などに用いられます。
動物性・植物性を問わず、生クリームは冷えてもふんわりした食感が特徴です。
2-2バタークリーム
先ほど説明したように、バタークリームはバターに砂糖や牛乳を加えて混ぜ合わせ、なめらかなクリーム状にしたものです。
また、バターの量や質、加える砂糖の量、卵のタイプなどによって、様々なタイプが作れるのも特徴。
生クリームとは異なり、冷えると固まる性質を持っているため、細やかなデコレーションを楽しむことができます。
また、バターによる濃厚なコクもバタークリームの魅力。
バタークリームはケーキのデコレーションのほかにもマカロンやレーズンサンド、カップケーキなどに用いられます。
03クリーム類製品の種類
実は日本の法律では、クリーム類に関しては様々な決まりがあります。
クリームの種類を定めているのは乳等省令という法律。
この中でクリームは「生乳・牛乳または特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」と定められています。
さらにスーパーなどでパッケージの裏を見ると、種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」の2つに分かれていることに気づくはず。
では、この種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」ではどのような違いがあるのでしょうか。
これは含まれている脂肪の種類や含有率、添加物の有無などが関係しています。
種類別「クリーム」の場合には、乳脂肪分が18パーセント以上、原料は生乳のみと決められています。
一方、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」には、様々なタイプがあります。
まず一つ目が「純乳脂肪タイプ」。
このタイプは、純乳脂肪が使われていますが、そこに安定剤や乳化剤といった添加物が使用されています。そのため、厳密には種類別「クリーム」とは異なりますが、パッケージには「純乳脂」「生クリーム100パーセント使用」などと書かれていることも。
また、違いは使われている原料だけではありません。
「純乳脂肪タイプ」は安定剤などの添加物が使われているため、使われていないもとの比べると安定性が高く分離しにくいのが特徴。さらに保存できる期間も長めで価格もリーズナブルです。
二つ目のタイプが「混合脂肪タイプ」。これは乳脂肪に植物性脂肪を加えたもの。
植物性の脂肪が加わっているため、種類別「クリーム」や純乳脂肪タイプと比べると口当たりは軽いのが特徴。分離もしにくいので、ロールケーキなどに多く使用されています。
このタイプは「コンパウンドクリーム」と呼ばれることもあります。
三つ目は「植物性脂肪タイプ」。これは動物性脂肪を使用せず、ヤシ油や菜種油など、純植物性脂肪のみが用いられているもので、風味はさらに軽くなりますが、白く仕上げたいときや、作業性の良さなどを求めるときにはよく使用されます。
さらに消費期限も長く、価格ももっともリーズナブルです。
これらは原料の違いだけでなく、脂肪分によっても使いやすさや味わいが変わるため、自分の作りたいケーキに合ったものを選ぶのがよいでしょう。
3-1用途による分類
生クリームは、原材料だけではなく濃縮の程度によっても分類されます。
クリームの中に含まれる乳脂肪分が約20パーセントから40パーセントのものは「コーヒー用クリーム」、30パーセントから50パーセントのものは「ホイップ用クリーム」と呼ばれます。
実はクリームが泡立つかどうかは、含まれている乳脂肪分に大きく関係しています。
含まれている乳脂肪分が多い場合、クリームは短時間で泡立ちますが、少ない場合には泡立てるのに時間がかかります。
さらに30パーセント以下の場合には、どれだけ時間をかけてもクリームは泡立ちません。
また、脂肪分が多ければリッチな味わいに、逆に少なければ軽めの味わいとなります。
もしお菓子作りに生クリームを使うときには含まれている乳脂肪分にも注意しましょう。
04まとめ
お菓子のクリームは原材料の選ぶ方や作り方によって様々な違いが生まれます。それぞれ風味や食感、保存できる期限の違いがあるため、クリームの特徴を知ることがお菓子作りの上達につながるといえるでしょう。
1-1カスタードクリーム
シュークリームやババロアに使われるクリームといえばカスタードクリーム。カスタードクリームは卵黄や砂糖、牛乳を用いたクリームでバニラの香りが加えられます。ホイップクリームとは異なり、変質しないのが特徴で、そこにメレンゲや生クリームが加わったものなどもあり、非常にバリエーションが豊かなクリームです。
1-2生クリーム
生クリームは生乳や牛乳などから分離した乳脂肪を原料にしたクリームです。日本の場合にはパッケージに「純生クリーム」と記載されていることもあります。価格は高価ですが、クリームの持つコクや味わいが楽しめます。
1-3ホイップクリーム
ホイップクリームは牛乳を泡立て器などで泡立てて作るクリームです。泡立てることで空気がたっぷりと含まれ、クリームの味わいと軽さを楽しめるクリームです。
また、生乳や牛乳ではなく、植物性の油脂などを使用したものをホイップクリームと呼ぶこともあります。
1-4バタークリーム
バタークリームは砂糖と卵、牛乳、バターつかったクリームです。生クリームよりも保存ができ、固さがあるためデコレーションに使われることが多いクリームです。
このバタークリームには三つの種類があります。
ひとつが「イタリアンメレンゲタイプ」。イタリアンメレンゲタイプは卵白と砂糖、水で作る「イタリアンメレンゲ」とバターを合わせたもの。卵黄を使わないので、お菓子を白く仕上げたいときに使われます。卵の風味が抑え目なので、素材の味を生かすことができると言われ、フルーツや抹茶を加えることもあります。
一方、卵黄と砂糖、水にバターを加えたものが「バータボンブタイプ」です。こちらは卵黄のしっかりした味が特徴で、リッチな風味が楽しめます。こちらはチョコレートやコーヒーなどが加えられることがあります。
最後に、卵黄と砂糖、牛乳にバターを使用したのが「アングレーズタイプ」。こちらもバータボンブタイプと同じくしっかりした味わいで、水分量が多くくちどけがよいという特徴がありますが、作るためにはテクニックが必要だと言われています。
2-1生クリーム
厳密に言えば生クリームは生乳や牛乳を原料にしたもの。しかし日本の場合には、動物性のものだけでなく、植物性のものも生クリームと呼ばれることがあります。
動物性のものと植物性のものでは味わいや用途にも違いがあります。
動物性のクリームはしっかりとした味わいとくちどけの良さが特徴。色も真っ白ではなく、少し黄色がかっています。
泡立てた生クリームはデコレーションに用いられますが、分離しやすいため、泡立てるときには注意する必要があります。
植物性のクリームは、植物性の油を添加物で加工することによって作られるもので、動物性のものと比べるとあっさりとしています。
また、価格もリーズナブルで賞味期限も長いため、使いやすいクリームとして人気があります。
色も真っ白なので、白くクリームを仕上げるときやムース類などに用いられます。
動物性・植物性を問わず、生クリームは冷えてもふんわりした食感が特徴です。
2-2バタークリーム
先ほど説明したように、バタークリームはバターに砂糖や牛乳を加えて混ぜ合わせ、なめらかなクリーム状にしたものです。
また、バターの量や質、加える砂糖の量、卵のタイプなどによって、様々なタイプが作れるのも特徴。
生クリームとは異なり、冷えると固まる性質を持っているため、細やかなデコレーションを楽しむことができます。
また、バターによる濃厚なコクもバタークリームの魅力。
バタークリームはケーキのデコレーションのほかにもマカロンやレーズンサンド、カップケーキなどに用いられます。
03クリーム類製品の種類
実は日本の法律では、クリーム類に関しては様々な決まりがあります。
クリームの種類を定めているのは乳等省令という法律。
この中でクリームは「生乳・牛乳または特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」と定められています。
さらにスーパーなどでパッケージの裏を見ると、種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」の2つに分かれていることに気づくはず。
では、この種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」ではどのような違いがあるのでしょうか。
これは含まれている脂肪の種類や含有率、添加物の有無などが関係しています。
種類別「クリーム」の場合には、乳脂肪分が18パーセント以上、原料は生乳のみと決められています。
一方、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」には、様々なタイプがあります。
まず一つ目が「純乳脂肪タイプ」。
このタイプは、純乳脂肪が使われていますが、そこに安定剤や乳化剤といった添加物が使用されています。そのため、厳密には種類別「クリーム」とは異なりますが、パッケージには「純乳脂」「生クリーム100パーセント使用」などと書かれていることも。
また、違いは使われている原料だけではありません。
「純乳脂肪タイプ」は安定剤などの添加物が使われているため、使われていないもとの比べると安定性が高く分離しにくいのが特徴。さらに保存できる期間も長めで価格もリーズナブルです。
二つ目のタイプが「混合脂肪タイプ」。これは乳脂肪に植物性脂肪を加えたもの。
植物性の脂肪が加わっているため、種類別「クリーム」や純乳脂肪タイプと比べると口当たりは軽いのが特徴。分離もしにくいので、ロールケーキなどに多く使用されています。
このタイプは「コンパウンドクリーム」と呼ばれることもあります。
三つ目は「植物性脂肪タイプ」。これは動物性脂肪を使用せず、ヤシ油や菜種油など、純植物性脂肪のみが用いられているもので、風味はさらに軽くなりますが、白く仕上げたいときや、作業性の良さなどを求めるときにはよく使用されます。
さらに消費期限も長く、価格ももっともリーズナブルです。
これらは原料の違いだけでなく、脂肪分によっても使いやすさや味わいが変わるため、自分の作りたいケーキに合ったものを選ぶのがよいでしょう。
3-1用途による分類
生クリームは、原材料だけではなく濃縮の程度によっても分類されます。
クリームの中に含まれる乳脂肪分が約20パーセントから40パーセントのものは「コーヒー用クリーム」、30パーセントから50パーセントのものは「ホイップ用クリーム」と呼ばれます。
実はクリームが泡立つかどうかは、含まれている乳脂肪分に大きく関係しています。
含まれている乳脂肪分が多い場合、クリームは短時間で泡立ちますが、少ない場合には泡立てるのに時間がかかります。
さらに30パーセント以下の場合には、どれだけ時間をかけてもクリームは泡立ちません。
また、脂肪分が多ければリッチな味わいに、逆に少なければ軽めの味わいとなります。
もしお菓子作りに生クリームを使うときには含まれている乳脂肪分にも注意しましょう。
04まとめ
お菓子のクリームは原材料の選ぶ方や作り方によって様々な違いが生まれます。それぞれ風味や食感、保存できる期限の違いがあるため、クリームの特徴を知ることがお菓子作りの上達につながるといえるでしょう。
クリームの種類を定めているのは乳等省令という法律。
この中でクリームは「生乳・牛乳または特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」と定められています。
さらにスーパーなどでパッケージの裏を見ると、種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」の2つに分かれていることに気づくはず。
では、この種類別「クリーム」と、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」ではどのような違いがあるのでしょうか。
これは含まれている脂肪の種類や含有率、添加物の有無などが関係しています。
種類別「クリーム」の場合には、乳脂肪分が18パーセント以上、原料は生乳のみと決められています。
一方、名称「乳又は乳製品を主要原料とする食品」には、様々なタイプがあります。
まず一つ目が「純乳脂肪タイプ」。
このタイプは、純乳脂肪が使われていますが、そこに安定剤や乳化剤といった添加物が使用されています。そのため、厳密には種類別「クリーム」とは異なりますが、パッケージには「純乳脂」「生クリーム100パーセント使用」などと書かれていることも。
また、違いは使われている原料だけではありません。
「純乳脂肪タイプ」は安定剤などの添加物が使われているため、使われていないもとの比べると安定性が高く分離しにくいのが特徴。さらに保存できる期間も長めで価格もリーズナブルです。
二つ目のタイプが「混合脂肪タイプ」。これは乳脂肪に植物性脂肪を加えたもの。
植物性の脂肪が加わっているため、種類別「クリーム」や純乳脂肪タイプと比べると口当たりは軽いのが特徴。分離もしにくいので、ロールケーキなどに多く使用されています。
このタイプは「コンパウンドクリーム」と呼ばれることもあります。
三つ目は「植物性脂肪タイプ」。これは動物性脂肪を使用せず、ヤシ油や菜種油など、純植物性脂肪のみが用いられているもので、風味はさらに軽くなりますが、白く仕上げたいときや、作業性の良さなどを求めるときにはよく使用されます。
さらに消費期限も長く、価格ももっともリーズナブルです。
これらは原料の違いだけでなく、脂肪分によっても使いやすさや味わいが変わるため、自分の作りたいケーキに合ったものを選ぶのがよいでしょう。
3-1用途による分類
生クリームは、原材料だけではなく濃縮の程度によっても分類されます。
クリームの中に含まれる乳脂肪分が約20パーセントから40パーセントのものは「コーヒー用クリーム」、30パーセントから50パーセントのものは「ホイップ用クリーム」と呼ばれます。
実はクリームが泡立つかどうかは、含まれている乳脂肪分に大きく関係しています。
含まれている乳脂肪分が多い場合、クリームは短時間で泡立ちますが、少ない場合には泡立てるのに時間がかかります。
さらに30パーセント以下の場合には、どれだけ時間をかけてもクリームは泡立ちません。
また、脂肪分が多ければリッチな味わいに、逆に少なければ軽めの味わいとなります。
もしお菓子作りに生クリームを使うときには含まれている乳脂肪分にも注意しましょう。
この講座は!プロの監修を受けています!
短大食物科卒業後、同校の調理研究室の助手として10年勤務し、校内の先生、外部講師のホテルシェフや料理家からも技術を習う。
その後、洋菓子研究家 柴川日出子氏のアシスタントとして10年研鑽を積む。
東京都菓子学園卒業。
企業の商品開発を行いながら材料・素材の知識を深めるほか、海外留学や国内外多くのシェフより技術を習うなど、現在も勉強を続けている。
著書も多く、海外で翻訳本も発売されている。
企業や雑誌等へのレシピ・写真・動画提供も多数行っている。