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お菓子作りに使用する洋酒について

お菓子の中には洋酒が使われるものも少なくありません。普段はお酒が苦手でも、お菓子の中に使われていると不思議と美味しく感じられるもの。今回はお菓子作りに使われる洋酒についてご紹介します。

お店の味にレベルアップ!お菓子作りに使用する洋酒について
目次

01お菓子作りでのお酒(リキュール)の役割

お菓子にほんの少しお酒が加わるとお店のような味になるものです。では、お酒(リキュール)はお菓子にどんな役割を果たすのでしょうか。
お菓子にお酒を使用する大きな目的は風味をつけること。お酒にはそれぞれの種類や原料により独特の香りがありますが、それを加熱することでアルコール分が蒸発、香りや甘さ、風味だけが残ります。また、リキュールを加えることによって甘味を引き立て、素材の粉っぽさを失くして舌ざわりをよくするという目的も。
さらに重要なのが、お酒を加えることによって保存性が高まるということ。
お菓子に加えられるリキュールはアルコール分が高いものが多く、アルコールの殺菌作用が働くことでお菓子自体の日持ちがよくなります。

02お菓子作りで使われる洋酒の種類

それでは、お菓子作りによく使われる洋酒の種類を見ていきましょう。

2-1ラム

ラムはさとうきびを絞り、その汁を加熱して発酵、さらに蒸留して作られるお酒です。
ラムは独特の風味が特徴で、お菓子作りにはもっとも多く使われるお酒といってもよいでしょう。また、ドライフルーツとの相性もぴったり。そのため、ラムレーズンのようにフルーツの漬け込みにも使われます。
ラムには産地や製法によって、透明なホワイトラムや、褐色のダークラムなど様々なタイプがありますが、お菓子作りによく使われるのはダークラム。
ダークラムを加えると、香りだけでなく生地もしっとりとして、作ってから日が経っても美味しく優しい口当たりになります。
ラムは様々なお菓子に使われますが、マロンや乳製品との相性もよく、モンブランやティラミス、パウンドケーキなどに使うのがおすすめです。

2-2ブランデー

ブランデーは果実酒から作った蒸留酒で非常に多くの種類がありますが、本来は白ブドウを原料にしたワインを蒸留し樽で熟成させたもの。そのほかにもリンゴやナシ、サクランボといったフルーツが原料に使われることがあります。
ブランデーの魅力は非常に香りが豊かなこと。ラムと比べるとクセも少ないため、お菓子にお酒を使い慣れていない人や、お酒の匂いが苦手な人にはおすすめです。
ブランデーを使ったお菓子にも多くの種類がありますが、チョコレートやドライフルーツなどとの相性が抜群。そのため、手作りの生チョコレートにブランデーの香りを利かせたり、チョコレートタルトにブランデーに漬けたフルーツを合わせたりといった使い方がおすすめです。
そのほかにも、ガナッシュに入れたり、栗の渋皮煮と組み合わせたりといった使い方もあります。

2-3キルシュ

ブランデーの中でも、サクランボから作られたものをチェリーブランデーと呼びますが、キルシュはそのチェリーブランデーの一種。
チェリーブランデーには様々な色や種類がありますが、キルシュは無色透明。さわやかな香りが特徴です。
キルシュはサクランボから作られていることもあり、ベリー系のフルーツとの相性が抜群。
そのため、ショートケーキのスポンジに含ませるシロップに使われたり、トッピングやデコレーションの生クリームに混ぜたりといった使い方がおすすめです。
また、ベリー系のフルーツにキルシュを使って煮詰めたものケーキと組み合わせたり、色のきれいなイチゴのソースの隠し味として使う方法もあります。

2-4キュラソー

キュラソーはオレンジの皮をアルコールに漬けて香りをつけたお酒です。キュラソーには無色透明のホワイトキュラソー、オレンジの色がついたオレンジキュラソーなどの種類がありますが、お菓子作りには両方が使われます。
キュラソーはオレンジのさわやかな香りが特徴。そのため、フルーツを使ったケーキやゼリーなどに使用されます。
また、オレンジはチョコレートの相性もよいため、オレンジキュラソーをチョコ系のお菓子にもおすすめです。さらにオレンジキュラソーは、シフォンケーキやクレープのソースと生地の両方にも使われます。
一方、無色透明のホワイトキュラソーは色を邪魔することがないため、ムースや色あざやかなフルーツを煮込むときにも最適。
その他にも、卵などをたっぷり使った濃厚なクリームに加えるのもおすすめの使い方です。

2-5その他

お菓子作りに使われるリキュールの代表的なものは上記の四種類ですが、実際にはそのほかにも様々なお酒がお菓子作りに用いられます。
特に使われることが多いのは果実系のリキュールです。
果実系のリキュールは、フルーツをブランデーなどに漬けこんで香りや味わいを移したもの。
もともとは食事の最後の口直しとして飲まれるものですが、お菓子作りにも最適です。
たとえばリンゴを原料とするブランデーであるカルヴァドスはリンゴをつかったアップルケーキやアイスなどに使われます。そのほか、大人のためのデザートとしてカルヴァドスをアイスにかけるのもおすすめの食べ方。
また、お酒の中でもお菓子作りに使われることが多いのがワインです。
ワインはブドウを発酵させたお酒で、白と赤、ロゼなどの種類がありますが、素材や色などによって使い方も異なります。
たとえば白ワインを使ったものでは、色の薄いフルーツを煮込んだコンポートやゼリーなどが有名。
一方の赤ワインやロゼは色を活かしたピュレやゼリーに使われるほか、イチジクなどのフルーツを煮るなどといった使い方があります。
お酒の中にはコーヒーやチョコレートなどの豆系のリキュールや、ミントなどのハーブ系リキュール、紅茶や抹茶などの茶葉系のリキュールなど、豊富な種類があるため、お菓子の素材などによって組み合わせを考えると、お菓子作りの幅がさらに広がるでしょう。

03リキュールの使い方

少量使うだけでお菓子の味を引き立ててくれるリキュールですが、使い方にはちょっとした注意点があります。

3-1薄力粉やベーキングパウダーを混ぜたあとに、少しずつ足す

リキュールをお菓子作りに使うときには、まず薄力粉やベーキングパウダー、砂糖といった粉類を混ぜた後で、少しずつ足していきましょう。
お酒はオーブンなどで加熱したときにアルコール分は飛びますが、お酒を入れすぎるとにおいが強くなりすぎることがあります。
また、お酒の種類によっては甘さや風味などの香りが強く出てしまうことも。そうなるとお菓子というよりもお酒に近いものになってしまい、お子様などが食べる場合にはおすすめできません。
さらにお酒を入れすぎると、苦味が強くなりすぎることも。
お菓子にお酒を加えるときには最初は少量に控えておきましょう。

3-22種類以上を混ぜない

お酒をお菓子に加えるときには、必ず一種類だけを使用すること。
もし複数のお酒を混ぜると、風味が良くならないどころか互いに打ち消し合って、せっかくのお酒の味が消えてしまいます。
また、逆にそれぞれの良くない部分を強調してしまうことも。
もしお酒を加えたいと思ったときは、そのお菓子のテーマに合ったものを一種類だけ加えるのがおすすめです。

04まとめ

お菓子にお酒を加えると、味も風味も一気にレベルアップするもの。レシピによっては日本酒などを使うものもあるため、普段よりワンランク上のお菓子作りを試してみたいという方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

この講座は!プロの監修を受けています!

講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
高橋教子
高橋教子 先生
お菓子教室スタジオジェンマを主宰
1968年生まれ、東京都出身。
短大食物科卒業後、同校の調理研究室の助手として10年勤務し、校内の先生、外部講師のホテルシェフや料理家からも技術を習う。
その後、洋菓子研究家 柴川日出子氏のアシスタントとして10年研鑽を積む。
東京都菓子学園卒業。
企業の商品開発を行いながら材料・素材の知識を深めるほか、海外留学や国内外多くのシェフより技術を習うなど、現在も勉強を続けている。
著書も多く、海外で翻訳本も発売されている。
企業や雑誌等へのレシピ・写真・動画提供も多数行っている。
高橋教子

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