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猫の過剰グルーミングとは?症状や原因、対処法について解説!

猫はとてもきれい好きな動物で、日常的に自分の体をグルーミング(毛づくろい)する習慣があります。
しかし、このグルーミングが通常の範囲を超え、過剰になることがあります。
猫の過剰グルーミングは、健康や精神状態に何らかの問題が生じているサインかもしれません。
ストレス、アレルギー、身体の不調などが原因となり、猫は自分の体を異常に舐め続けることがあるのです。
猫にとってグルーミングは非常に重要な行動です。ただし、ストレスなどが原因で「過剰グルーミング」が起きることがあります。過剰グルーミングは単にグルーミングのやりすぎではなく、大きな病気の原因となってしまうことがあります。今回は猫の過剰グルーミングについてご紹介します。

軽視できない!猫の過剰グルーミングについて
目次

01猫の毛づくろい行動とその異常について

猫は本来、とてもきれい好きな動物であり、一日の多くの時間を毛づくろい(グルーミング)に費やします。 この行動は単に体を清潔に保つためだけでなく、体温調節やリラックス効果、社会的なコミュニケーションの一環としても行われます。 しかし、グルーミング行動が異常に長引いたり、頻度が極端に高くなったりする場合、それはストレスや健康問題のサインであることがあります。 ここでは、通常のグルーミングと異常行動を見極めるポイントについて詳しく見ていきましょう。

1-1通常のグルーミングの範囲とは

健康な猫は、自分の毛づくろいを一定のリズムで行い、体の清潔を保ちます。 通常のグルーミングは、食事の後や遊んだ後、トイレの後などに見られることが多く、その頻度や時間も個体によって異なりますが、一般的には1日に数回程度が普通です。 この範囲内でのグルーミング行動は、猫が自身の健康を維持するために行う自然な習慣です。 毛づくろいの範囲が正常である場合、以下のような特徴が見られます。  毛がツヤツヤしていて清潔感がある  体全体をまんべんなく毛づくろいしている  1回のグルーミングが数分程度で終わる このような行動が見られる猫は、健康状態が良好であり、精神的にも安定していると考えられます。

1-1異常行動の兆候を見極めるポイント

しかし、猫のグルーミングが過度に行われる場合、それはストレスや身体的な問題の兆候である可能性があります。 過剰なグルーミングは、単なる習慣ではなく、何らかの不調を訴える行動であることが多いです。 ここでは、異常行動の兆候を見極めるためのポイントを解説します。

長時間のグルーミングが示すサイン

猫が通常よりも長時間にわたりグルーミングを行う場合、これにはストレスや不安、さらには皮膚トラブルやアレルギーといった原因が考えられます。 例えば、1回のグルーミングが何十分も続き、何度も同じ箇所を執拗に舐めるような行動は、過剰グルーミングのサインです。 このような行動が見られた場合、猫の生活環境や身体状態を見直す必要があります。 長時間のグルーミングが続くと、猫の皮膚や被毛にも影響を与える可能性が高く、場合によっては皮膚の炎症や毛が抜けてしまうこともあります。 特にお腹や内腿などの特定の部位を過剰に舐める行動が見られたら、早めに対応することが重要です。

毛玉や抜け毛の増加について

過剰なグルーミングは、猫の被毛に大きな影響を及ぼします。 通常のグルーミングでは、毛玉が形成されることはほとんどありませんが、過剰に舐めることで被毛が絡まり、毛玉ができやすくなります。 さらに、頻繁に舐められた毛は抜けやすくなり、脱毛が目立つようになることがあります。 特に、抜け毛が一部に集中している場合、その部分に何らかの問題が生じている可能性が高いです。 これは、皮膚病やアレルギー反応が原因であることが多く、猫がその部分を執拗に舐め続けることで毛が抜け、肌が露出してしまうことがあります。 このような場合、早めに獣医師に相談し、適切な治療を受けることが必要です。

01過剰グルーミングの根本原因を探る

猫が過剰にグルーミングを行う場合、その背後には様々な原因が隠されています。 単なる癖や性格の問題ではなく、身体的な不調や環境の変化、さらには精神的なストレスが関与していることが多いです。 ここでは、過剰グルーミングを引き起こす主な原因として、環境変化やストレス、アレルギー、身体的な痛みについて詳しく探っていきます。

1-1環境変化とストレスの関係

猫は非常に繊細な生き物であり、生活環境の変化が大きなストレスとなることがあります。 特に、引っ越しや新しいペットの導入など、大きな変化があった場合には、猫はそれに対する不安や緊張を感じることが多いです。 このようなストレスが原因となり、猫はその不安を解消するために、過剰にグルーミングを行うことがあります。

引越しや新しいペットによる影響

引っ越しは、猫にとって非常に大きなストレス要因です。 新しい環境に慣れるまでの間、猫は自分の安心できる場所を見つけられず、不安定な状態に陥ることがあります。 この結果、過剰なグルーミングが見られることがあります。 引越し後、猫が落ち着かず、頻繁に毛づくろいをしている場合は、環境の変化に適応できていない可能性があります。 また、新しいペットを家に迎える場合も同様に、猫にとっては大きなストレスです。 特に、他の猫や犬などが新しく加わると、縄張り争いや相性の問題が生じ、猫が不安を感じることがあります。 このような環境の変化に対する反応として、過剰グルーミングが発生することがあり、猫が自分のストレスを解消するために自らを過剰に舐め続けることがあります。

1-1アレルギー反応が引き起こす皮膚トラブル

次に、猫の過剰グルーミングの原因として考えられるのが、アレルギー反応です。 猫は、食べ物や環境中のアレルゲンに対して敏感に反応し、皮膚にトラブルを引き起こすことがあります。 アレルギーによってかゆみや炎症が発生すると、猫はそのかゆみを和らげるために、執拗にその部位を舐めることになります。 食物アレルギー、環境アレルギー、さらにはノミやダニなどによる外部寄生虫が原因となるものなど、アレルギーの種類はさまざまです。 例えば、食事に含まれる特定の成分に対するアレルギーが原因で、猫の皮膚にかゆみや赤みが現れることがあります。 また、環境アレルギーでは、花粉やホコリ、化学物質が猫の皮膚に影響を与えることがあります。 猫がこれらのアレルゲンに反応してグルーミングを頻繁に行う場合、その過剰な毛づくろいが皮膚にさらにダメージを与え、悪循環に陥ることがあります。 このような場合には、アレルギーの原因を特定し、アレルゲンを除去することが必要です。 猫の食事内容を見直すことや、生活環境を清潔に保つことで、アレルギー反応を抑え、過剰グルーミングを軽減できる可能性があります。

1-1身体的な痛みとその影響

最後に、身体的な痛みも猫の過剰グルーミングの原因となることがあります。 猫は、痛みや不快感を感じている部分を舐め続けることで、その不快感を和らげようとする傾向があります。 例えば、関節炎や外傷がある場合、その部分を集中的にグルーミングすることで痛みを軽減しようとする行動が見られます。 このような場合、猫が特定の部位を執拗に舐め続けるため、その部分の被毛が薄くなったり、皮膚に傷ができたりするのです。 特に、高齢の猫や怪我をしている猫の場合、このような行動が顕著に現れることがあります。 猫が常に同じ場所を舐めている場合、その部位に痛みや違和感がある可能性が高いです。 痛みが原因で過剰グルーミングが発生している場合、根本的な問題を解決するために、獣医師の診断を受けることが重要です。 痛みを緩和する治療を行うことで、猫のグルーミング行動も正常に戻る可能性があります。

01過剰グルーミングが引き起こす症状とは

猫の過剰グルーミングは、ただの行動異常ではなく、体や行動にさまざまな影響を及ぼすことがあります。 通常の毛づくろいは、被毛を清潔に保ち、リラックスするための自然な行動ですが、これが過剰になると健康問題のサインとして現れます。 ここでは、過剰グルーミングが引き起こす皮膚や被毛の変化、行動面での異常について詳しく見ていきます。

1-1皮膚や被毛に現れる変化

猫が過剰にグルーミングを行うと、その影響が皮膚や被毛に顕著に現れます。 通常の範囲を超えて舐め続けることで、皮膚の健康が損なわれ、被毛の状態も悪化していきます。 ここでは、具体的な症状として皮膚の赤みや発疹、毛並みの乱れについて解説します。

皮膚の赤みや発疹

猫が過剰に特定の部位を舐め続けると、皮膚が炎症を起こしやすくなります。 これは、舐めすぎによって皮膚が摩擦を受けることでダメージを受け、炎症が発生するためです。 皮膚が赤くなり、場合によっては小さな発疹ができることがあります。 このような皮膚の変化は、特にお腹や内腿など、猫が頻繁に舐める場所に見られやすいです。 発疹ができると、さらにかゆみが増し、猫はそれを解消しようとさらに舐め続けるという悪循環に陥ります。 炎症が悪化すると、皮膚がただれたり、潰瘍ができたりすることもあるため、早期の対処が重要です。

毛並みの乱れとその原因

過剰なグルーミングは、猫の被毛にも大きな影響を与えます。 健康な状態では、被毛はツヤがあり、整っていますが、過剰に舐め続けると毛が摩耗し、ツヤが失われ、毛並みが乱れることがあるのです。 また、頻繁な舐めによって被毛が引っ張られ、薄くなることもあります。 さらに、猫が特定の部位を執拗に舐める場合、その部分の毛が部分的に脱毛することもあります。 これは、毛根がダメージを受け、正常な成長が妨げられるためです。 毛並みの乱れや脱毛が見られる場合は、猫が何らかのストレスや身体的な問題を抱えている可能性が高いため、原因を探る必要があります。

1-1行動面での変化と注意点

過剰グルーミングが引き起こす症状は、皮膚や被毛にとどまらず、猫の行動にも影響を与えることがあります。 通常、グルーミングは猫にとってリラックスできる行動ですが、それが過度になると逆に不安定な行動が見られることがあります。 行動面での変化を見逃さないことで、早期に対応することが可能です。 猫がグルーミングを繰り返すことで、遊びや食事に対する興味を失うことがあります。 特に、同じ場所を繰り返し舐める猫は、その行動に執着してしまい、他の活動に集中できなくなることがあります。 また、飼い主とのコミュニケーションが減少し、孤立したような行動が見られることもあります。 これは、ストレスや不安が原因であることが多く、猫が精神的に追い詰められている状態です。 こうした行動面での異常が見られた場合、ただの癖として片付けるのではなく、早めに原因を探ることが重要です。

01猫の過剰グルーミングを防ぐための対策

猫の過剰グルーミングは、ストレスやアレルギー、痛みなどさまざまな原因によって引き起こされることがあります。 猫の健康を守り、このような異常行動を防ぐためには、飼い主がその原因に対処し、猫が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。 ここでは、過剰グルーミングを防ぐために有効な対策として、ストレスの解消、アレルギーの対処法、痛みのケアについて詳しく解説します。

1-1ストレス解消のための環境調整

猫は非常に敏感な動物であり、生活環境に変化があるとストレスを感じやすいです。 環境の変化や日常のストレスが猫の過剰グルーミングの原因となることが多いため、ストレスの軽減を目的とした環境調整が必要です。

飼い主ができるメンタルケア

猫が感じるストレスの一つの要因は、飼い主とのコミュニケーション不足です。 飼い主が猫との時間をしっかりと持ち、適切なケアと愛情を注ぐことで、猫のメンタルケアを行えます。 例えば、日常的に遊びの時間を設けることで、猫の不安感を和らげ、エネルギーを発散させることが可能です。 また、猫専用のスペースを用意してあげることも重要です。 特に高い場所にキャットタワーを設置したり、隠れられる場所を提供したりすることで、猫は安心して休むことができます。 猫は自分の領域を持つことで精神的に安定しやすく、これにより過剰グルーミングのリスクを減らすことが期待されます。

1-1アレルギーへの具体的な対処法

猫がアレルギーを持っている場合、そのアレルゲンが原因で皮膚がかゆくなり、過剰なグルーミングを引き起こすことがあります。 この場合、アレルギーの原因を特定し、それに対する対処を行うことが必要です。

食事の見直しとアレルゲンの除去

猫のアレルギーの原因として最も多いのは、食事によるものです。 特に特定のタンパク質や添加物がアレルゲンとして作用することがあります。 まずは獣医師に相談し、アレルギーの原因となる成分を特定することが重要です。 アレルギー検査や食事の除去試験を行い、アレルゲンを含まないフードに切り替えることで、症状が改善される可能性があります。 また、環境中に存在するアレルゲン、例えば花粉やホコリ、化学物質なども猫の皮膚に影響を与えることがあります。 家の中を清潔に保ち、空気清浄機を使用することや、化学物質の使用を控えることでアレルギー反応を軽減することが可能です。 これにより、猫がアレルゲンに晒される機会を減らし、過剰なグルーミングを予防する効果が期待できます。

1-1身体の痛みへのアプローチ

猫が体に痛みを感じている場合、その部位を舐め続けることで痛みを和らげようとすることがあります。 このような場合には、痛みの原因を特定し、適切な治療を行うことが必要です。

獣医師との連携による治療

猫の過剰グルーミングが身体の痛みを原因としている場合、獣医師との連携が欠かせません。 まずは獣医師に診断を依頼し、痛みの原因を突き止めます。 関節炎や外傷、内臓疾患など、さまざまな要因が考えられますが、治療方法はそれぞれ異なります。 例えば、関節炎が原因である場合、痛み止めや抗炎症薬が処方されることが多いです。 また、外傷が原因であれば、その傷を治すための処置が必要です。 痛みを軽減することで、猫はその部位を舐め続ける必要がなくなり、過剰なグルーミングが改善されるでしょう。 また、定期的な健康チェックを行うことで、痛みや病気の兆候を早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

01健康なグルーミングをサポートする方法

猫の健康を維持するためには、適切なグルーミングが欠かせません。 グルーミングは猫が自ら行う自然な行動ですが、飼い主もサポートすることで、より健康的な皮膚や被毛を保つことができます。 ここでは、グルーミング頻度の管理と適切なケア、そして健康な皮膚と被毛を維持するための食事について詳しく解説します。

1-1グルーミング頻度の管理と適切なケア

猫は本来、自分自身で毛づくろいを行い、体を清潔に保つことが得意ですが、過剰なグルーミングや不十分なケアが健康を害することがあります。 飼い主としては、猫のグルーミングをサポートし、適切な頻度を保つことが重要です。 まず、猫のグルーミング頻度を適切に管理することが大切です。 例えば、長毛種の猫は短毛種よりも被毛が絡まりやすく、毛玉ができやすいため、日常的にブラッシングをしてあげることが必要です。 短毛種の猫でも、季節の変わり目に毛が抜け替わるため、ブラッシングの頻度を増やすことが推奨されます。 ブラッシングをすることで、抜け毛を取り除き、皮膚の通気性を保つことができ、皮膚トラブルの予防にもつながります。 また、適切なケアには、シャンプーや定期的な健康チェックも含まれます。 猫は自分で清潔を保つことができますが、場合によっては飼い主がシャンプーを行うことで、より清潔な状態の維持が可能です。 特に外出する機会がある猫やアレルギーを持っている猫の場合、定期的なシャンプーが有効です。 ただし、シャンプーの頻度は猫の皮膚の状態に合わせ、過度に行わないように注意する必要があります。 乾燥しやすい皮膚を持つ猫には、保湿効果のあるシャンプーを使用するなど、個々の猫に合った製品を選ぶことも大切です。 さらに、猫の爪切りや耳掃除など、全身のケアも忘れずに行いましょう。 猫が爪を研ぐ行動は自然なものですが、定期的に爪を切ることで、猫自身が怪我をするリスクを減らすことができます。 耳の掃除も、耳垢が溜まりすぎると炎症を引き起こす可能性があるため、定期的にチェックして清潔を保つことが重要です。

1-1健康的な皮膚と被毛を維持するための食事

猫の皮膚と被毛の健康は、食事によって大きく左右されます。 適切な栄養を摂取することで、被毛は光沢を保ち、皮膚も健康な状態を維持できます。 特に、健康的なグルーミングをサポートするためには、バランスの取れた食事が重要です。 猫の食事には、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれていることが必要です。 特にタンパク質は、被毛の生成に欠かせない栄養素であり、肉や魚を主成分とする高品質なキャットフードを選ぶことが推奨されます。 猫は肉食動物であり、植物性のタンパク質ではなく、動物性のタンパク質を必要とします。 これにより、被毛は丈夫で光沢のある状態を保つことができます。 また、脂肪酸であるオメガ3やオメガ6は、皮膚の健康を維持するために重要な成分です。 これらの脂肪酸は、皮膚の炎症を抑え、潤いを保つ効果があります。 特に、サーモンオイルや亜麻仁油に多く含まれているオメガ3は、アレルギーや皮膚疾患の予防にも有効です。 これらの成分が豊富に含まれたキャットフードやサプリメントを選ぶことで、猫の皮膚と被毛の状態を改善できます。 さらに、ビタミンEやビオチンといったビタミン類も、被毛の健康に寄与します。 ビタミンEは抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐ効果があるため、皮膚の健康維持に有効です。 ビオチンは皮膚の新陳代謝を促進し、被毛の成長をサポートする栄養素です。 これらのビタミン類を適切に摂取することで、被毛のツヤや質感を向上させられます。 食事管理によって、猫の健康的なグルーミングをサポートし、皮膚や被毛のトラブルを予防できます。 飼い主としては、猫の食事内容を定期的に見直し、栄養バランスが崩れていないかを確認することが大切です。

01猫がグルーミングをする理由

猫が自分の身体を舐めるグルーミング。この行動は、単に身体を舐めているわけではありません。グルーミングとは「毛づくろい」のことで、実は様々な目的を持っています。
グルーミングの大きな目的のひとつが、被毛を清潔に保つということ。猫の身体には様々な汚れが付着したり、ダニなどが寄生することもありますが、これらを放置すると、単に不潔なだけでなく、皮膚病などの原因となってしまいます。それを防ぐのがグルーミング。猫は自分の身体を舐めて毛づくろいを行うことで、身体を清潔な状態に保ち、病気の発生を予防しているのです。
さらにグルーミングには皮膚を刺激して血流を促進するという目的もあります。血流が促進するということは、身体のあちこちに血液によって酸素や栄養が運ばれるということ。つまり、グルーミングは猫にとってマッサージのような意味を持っていることになります。
また、猫がグルーミングを行うのにはストレスの解消という意味もあります。たとえば、猫同士でもグルーミングを行いますが、これはコミュニケーションによって心を落ち着けようとしている行動。つまり、自分ひとりでグルーミングを行うことは、猫が不安を取り除いて、気持ちを落ち着けようとしているということになります。

02猫の過剰グルーミングとは

グルーミングは猫にとって必要不可欠な行為です。ただし、グルーミングによって問題が発生することがあります。それが「過剰グルーミング」です。

2-1毛が抜けたり出血するほど舐めている状態

「過剰グルーミング」とは、簡単に言えば「グルーミングのやりすぎ」。単なる毛づくろいのレベルを超えて、何度もグルーミングを行う行為です。
飼い主さんの中には、「グルーミングをすればするほど清潔になるから心配はいらないのでは?」と考えている方も多いかもしれませんが、実はそれは大きな間違い。過剰グルーミングの状態になると、被毛が抜けてしまっても身体を舐め続け、やがては出血に至ることもあります。

2-2飼い主が見ていないタイミングですることが多い

過剰グルーミングの問題は飼い主さんが気づきにくいということにもあります。というのも、過剰グルーミングは飼い主さんが近くにいないタイミングで行われることが多いもの。そのため、発見に時間がかかってしまい、症状が悪化してしまうことが少なくありません。
猫がグルーミングしやすい場所は、お腹や後肢、内股、お尻、背中といった場所なので、これらの場所の毛が抜けてきたと感じたら、注意することが必要になります。

03過剰グルーミングの原因

猫の健康に大きな影響を与える過剰グルーミング。では、なぜ過剰グルーミングが起きるのでしょうか。

3-1環境の変化によるストレス

すでに説明したように、グルーミングは猫のストレス解消でもあります。ただし、何度グルーミングをしてもストレスを感じる場合や気持ちが落ち着かないという場合には、猫はストレスが解消するまで身体を舐め続け、過剰グルーミングの状態になってしまいます。
特に猫の大きなストレスとなるのが、環境の変化。猫は落ち着いた環境を好む生き物で、縄張り意識も強いため、周囲の環境が変わるということは、猫にとって不安や緊張の原因となります。
たとえば引越しなど、これまで暮らしてきた環境が変わった場合、グルーミングの回数が増加、過剰グルーミングが起きることもあります。
また、飼い主さんの就職や進学などで長時間の留守番が増えた、生活時間帯が変わったという場合にも、過剰グルーミングにつながることも。
また、結婚や出産で家族が増えた、新しく犬や猫などを迎えたという場合も、猫は強いストレスを感じることが少なくありません。
特に注意したいのが、家の中のニオイ。猫はニオイによって自分の縄張りを判断するという習性があるため、芳香剤や消臭剤によって家の中のニオイが変わった場合、猫は混乱してしまい、ストレスの原因となってしまいます。人間にとってはストレスを感じない環境も、猫には大きな負担となることがあるため注意したほうがよいでしょう。

3-2皮膚病、アレルギー

精神的なストレスだけでなく、肉体的な要因が過剰グルーミングの引き金になることもあります。
たとえば皮膚病やアレルギーによって身体に痒みを感じた場合も、グルーミングの回数が増加、過剰グルーミングになってしまうことがあります。
このような皮膚トラブルによる過剰グルーミングは症状を悪化させてしまうため、もし皮膚が赤い、異常に痒がる、毛が抜けているなどの異常が見られる場合は動物病院の受診がおすすめです。
特にダニやノミなどの寄生虫による皮膚炎は強い痒みを伴うことがあるため注意が必要です。

04ストレスによる過剰グルーミングが深刻化すると

飼い主さんが気づきにくい過剰グルーミング。もし過剰グルーミングが深刻化するとどのような状態になってしまうのでしょうか。
過剰グルーミングの第一段階は脱毛。何度もグルーミングを行うことで被毛が細かく、薄くなり、毛を通して皮膚が透けて見えるようになります。さらに、毛が生えてくる前にグルーミングを行うため、最終的には毛がすべて脱毛を起こしてしまいます。
しかし、過剰グルーミングに陥っている猫はその段階でもグルーミングを止めることができません。
もし毛がなくなった状態でもグルーミングを止められない場合、やがては皮膚から出血を起こしてしまいます。
というのも、猫の舌には「糸状乳頭」という突起があり、これがざらざらとした感触を生み出しています。糸状乳頭は食事のときなどには便利な存在ですが、被毛が抜けて皮膚が露出した状態では、やすりのように皮膚を傷付けてしまうことに。
さらに、出血した状態では猫の口の中の細菌が傷口に感染、皮膚病を引き起こしてしまうこともあります。また、問題は皮膚だけではありません。
通常のグルーミングでも、猫は自分の被毛を飲み込んでいます。健康な場合、それは毛玉として吐き出されますが、過剰グルーミングの状態では口に入る毛の量が多くなるため、それを吐き出すための嘔吐の回数が増加、結果として胃や食道にダメージを与えることになります。
過剰グルーミングは原因となるストレスを取り除かない限り、改善することはありません。そのため、猫は皮膚病や脱毛などを繰り返し、少しずつ健康状態を悪化させてしまいます。

05過剰グルーミングの対処法

それでは、過剰グルーミングが起きた場合には、どのような対処法を取ればよいのでしょうか。
過剰グルーミング対策として根本的に必要なのは、ストレスの原因を特定し、それを取り除くことです。ストレスがなくなれば、グルーミングを行う必要がなくなるため、少しずつ過剰グルーミングは収まっていきます。
また、猫のストレスを解消するためには、高い場所や隠れられる場所など、猫が落ち着けるスペースを作ってあげることも必要。もしこれらの場所がないと、猫はグルーミングだけでストレスに対処しようとしてしまい、過剰グルーミングが起きやすくなります。
もしどうしても過剰グルーミングが治らないという場合には、動物病院を受診して、精神を落ち着かせる薬や行動治療を施すという方法もあります。

06いち早く脱毛に気付くために

一度過剰グルーミングが悪化すると、猫にとって深刻な状態に陥ることがあります。それを防ぐためには、飼い主さんが少しでも早く脱毛に気づいてあげることが重要です。
では、どうすれば早期に脱毛に気づくことができるのでしょうか。
まずおすすめは定期的なブラッシング。猫はグルーミングを行うため、人間によるブラッシングは不要と考えている飼い主さんもいらっしゃいますが、ブラッシングは猫とのコミュニケーションにとっても最適な手段。定期的なブラッシングを行うと、毛の状態にも気づきやすくなります。
また、ブラッシングに加えて猫がリラックスしているときにマッサージを行うと、猫と猫と良好な関係を築き、ストレス軽減にもつながります。

01まとめ

猫の過剰グルーミングは、ストレスやアレルギー、身体の不調などさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。 この行動は単なる癖や清潔感を保つためのものではなく、猫の健康状態や精神的な安定性に深く関係しています。 早期に異常行動を見つけ、原因を特定して適切に対応することが大切です。 飼い主として、日々のケアや環境改善、そして必要な場合には獣医師の診断を受けることで、愛猫の健康を守りましょう。 過剰グルーミングが見られたら、単に様子を見るだけでなく、早めに原因を解明することが猫の幸せに繋がります。

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講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
岸本誠也 先生
犬友学園運営
1992年生まれ。神戸出身。大阪の動物病院、整形外科リハビリテーション科に勤務。個人ではペット服のセレクトショップやオンラインマッサージ教室を経営。愛犬のためのオンラインサロン「犬友学園」を運営。

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