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犬の分離不安症とは?症状や原因、対策、予防ポイントについて解説!

犬の分離不安症は、飼い主と離れた際に犬が過度の不安やストレスを感じる状態を指します。
犬は社会的な動物であり、特に飼い主との強い絆を持つことから、離れることに対して強い不安を抱きやすいです。
日常的に見られる分離不安症の症状には、過度な吠えや家具の破壊、食欲不振や体調不良などが挙げられ、深刻な場合には犬の健康や生活の質に大きな影響を与えることもあります。
犬はとても愛情豊かな動物です。そんな犬の姿に癒されることも多いもの。ところが、いつもは聞き分けのよい犬が急に無駄吠えをしたり、家具を壊したり、部屋を散らかしたりといった問題行動を起こすことがあります。実は犬の問題行動は「分離不安症」が原因となっているかもしれません。今回は犬の分離不安症の原因や症状、対策などについてご紹介します。

どうすればいいの?犬の分離不安症の症状と原因・対策について
目次

01犬の分離不安症を理解する

犬は、人間との深い絆を持つことで知られていますが、その反面、飼い主との離別に強い不安を感じる犬も少なくありません。 特に、飼い主が仕事や外出で長時間離れるとき、犬が強いストレスを感じ、分離不安症として知られる症状を引き起こすことがあります。 ここでは、犬の分離不安症とは何か、どのように日常生活に影響を与えるのかについて詳しく解説します。

1-1分離不安症とは何か

分離不安症とは、飼い主や家族との離別に強いストレスを感じ、正常な行動ができなくなる状態を指します。 これは単なる一時的な不安やストレスではなく、犬が飼い主の存在に大きく依存しすぎることで引き起こされる心理的な問題です。 この不安は、犬が飼い主と一緒にいる時間が長く、依存関係が強い場合や、生活環境の急激な変化によって発症しやすくなります。 犬の分離不安症は、単なる飼い主の外出時に悲しそうに鳴く程度にとどまらず、より深刻な症状を引き起こす可能性があります。 犬が分離不安を抱えると、日常生活においてさまざまな行動の変化が見られるようになります。

日常生活での具体的な現れ方

分離不安症を抱える犬は、日常生活の中で非常に顕著な行動を示します。 具体的には、飼い主が外出しようとする際や、すでに外出してしまった後に以下のような行動が見られることが多いです。 過度な吠えや遠吠え 飼い主が家を離れると、犬がずっと吠え続けたり、遠吠えをしたりすることがあります。 この行動は、飼い主がいないことで感じる不安を表現し、飼い主を呼び戻そうとする試みです。 家の中の破壊行動 家具やドア、カーペットなどを噛んだり引っ掻いたりする破壊的な行動もよく見られます。 これは、飼い主の不在によるストレスや不安感を解消しようとする自己防衛的な行動です。 不適切な排せつ トイレトレーニングが完了しているにもかかわらず、飼い主がいなくなると、突然家の中で排せつをしてしまうことがあります。 これは分離不安によるストレス反応であり、通常の行動とは異なるものです。 過剰な引っ掻きや噛みつき 自身の体を過度に引っ掻いたり、無意味に噛み続けたりする行動も、分離不安症の兆候の一つです。 これらの行動は、飼い主がいないことで感じる不安感を緩和するために行われますが、しばしば犬の体に傷を残すこともあります。 食欲の減退や過剰なストレスによる体調不良 一部の犬は、飼い主がいない間に食欲が急に落ちることがあり、極度の不安が体調不良を引き起こすこともあります。 嘔吐や下痢といった症状が見られることもあり、ストレスが犬の体調にまで影響を及ぼすケースも少なくありません。 このように、分離不安症の症状は、犬の日常生活に大きな影響を与え、飼い主にとっても心配の種となります。 犬のこうした行動は、一時的なもので済まない場合も多く、適切な対策が必要です。

01分離不安症の代表的な症状

犬が分離不安症を抱える場合、症状はさまざまな形で現れます。 飼い主が外出する際や、犬が長時間一人でいるときに特に顕著になります。 ここでは、分離不安症の代表的な症状について、軽度のものから重度のケースまで詳しく解説します。 軽度な症状は見過ごされがちですが、早期に対処することで重症化を防ぐことができます。

1-1軽度な症状に気をつける

分離不安症の初期段階では、犬は比較的軽い症状を示しますが、これらの兆候を見逃すことなく早めに気づくことが重要です。 軽度な症状は、犬が強いストレスを感じ始めていることを示すサインであり、早期に対処すれば症状の悪化を防ぐことができます。

軽度な吠えや鳴き声

犬が軽度の分離不安を抱えている場合、飼い主が外出する際に短時間吠えることがあります。 この吠えは通常、数分から十数分続き、その後は落ち着きを取り戻す場合が多いです。 この段階では、犬はまだ自力で不安を乗り越えられる可能性が高く、持続的なストレスにはなりにくいですが、注意深く観察することが大切です。

ソワソワした様子や過剰な動き

軽度の分離不安症を抱える犬は、飼い主が外出しようとする準備を始めると落ち着かなくなり、ソワソワしたり、部屋を行ったり来たりすることがあります。 これも犬が不安を感じ始めている兆候であり、特に長時間の外出が予期されるとその動きが顕著になります。

食欲の一時的な減退

軽度の分離不安症では、犬が一時的に食欲を失うこともあります。 通常、飼い主がいなくなる直前や直後に食事を与えると、食べ物に興味を示さなくなることが見られます。 しかし、飼い主が戻ってくると、食欲がすぐに回復することが多いため、これも軽度な症状の一環といえます。

1-1重度なケースとその影響

軽度の症状が放置されると、犬の分離不安症は次第に悪化し、より深刻な行動問題を引き起こすことがあります。 重度のケースでは、犬は飼い主の不在に強い恐怖感やストレスを感じ、日常生活に深刻な支障をきたすようになります。

持続的な吠えや遠吠え

重度の分離不安症を抱える犬は、飼い主が不在の間、長時間にわたって吠え続けたり、遠吠えをしたりします。 これらの行動は、一時的なものではなく、数時間にわたって持続することが多く、近隣住民に迷惑をかける場合もあります。 このような場合、犬は極度の不安や恐怖を感じており、自力でその不安を解消することが困難です。

家具やドアの破壊行動

重度の分離不安症を抱える犬は、不安感を解消するために破壊的な行動を取ることがあります。 家具やドアを噛んだり、引っ掻いたりして家の中を破壊することが一般的です。 これらの行動は、飼い主がいないことへのフラストレーションや不安を和らげようとするものであり、放置すると犬自身が怪我をするリスクも高まります。

トイレトレーニングの退行

重度の分離不安症では、トイレトレーニングが完了していた犬でも、飼い主が不在の間に排せつの問題が生じることがあります。 これは、犬が極度のストレス状態にあることを示すもので、通常の習慣が崩れてしまうためです。 このような排せつの問題は、家の中の衛生面にも悪影響を与え、犬自身の健康にもリスクを及ぼすことがあります。

身体的な健康への悪影響

重度の分離不安症を持つ犬は、精神的な不安が身体的な健康にまで影響を与えることがあります。 極度のストレスや不安は、食欲不振や体重減少、消化不良などの身体的な症状を引き起こすことがあり、さらには嘔吐や下痢といった症状が見られることもあります。 こうした体調の悪化は、犬の生活全般に悪影響を及ぼし、長期的な健康問題を引き起こす可能性があります。 分離不安症の重度な症状は、犬の生活の質を大きく低下させるだけでなく、飼い主にとっても大きな負担となるため、早期の対策が必要です。

01犬が分離不安症になる原因

犬が分離不安症になる原因はさまざまですが、大きく分けると過去の経験や生活環境、性格や年齢によるものが考えられます。 これらの要因が複合的に影響を与えることで、犬は強い不安を抱き、分離不安症を発症することがあります。 次に、これらの要因がどのように影響を及ぼすのか、詳しく見ていきます。

1-1過去のトラウマが与える影響

犬が分離不安症になる大きな原因の一つとして、過去に経験したトラウマが挙げられます。 特に保護犬や、過去に虐待や放置を受けた経験のある犬は、飼い主との別れに対して強い不安を感じることが多いです。 このような犬は、飼い主との絆が強くなるほど、不在時に過去の孤独感や恐怖を思い出し、分離不安症を引き起こす可能性が高まります。

環境の変化や飼い主の行動の影響

過去のトラウマに加えて、犬が住む環境や飼い主の行動も大きな影響を与えます。 例えば、引っ越しや家族の変動、新しいペットの導入など、生活環境の大きな変化は犬にとってストレスの原因となる可能性が高いです。 環境が変わることで、犬は以前の生活の安定感を失い、不安感が増幅されることがあります。 また、飼い主が長時間外出するようになったり、急に生活リズムが変わったりすると、犬はそれに適応できずに強い不安を感じることがあります。 特に、飼い主が常にそばにいる生活をしていた犬にとっては、急な変化が大きなストレスとなり、分離不安症の発症につながる可能性が高まります。

性格や加齢が原因となる場合

犬の性格や年齢も、分離不安症の発症に影響を与える要因です。 例えば、もともと神経質で臆病な性格の犬は、環境の変化や飼い主の不在に対して敏感に反応しやすく、不安を感じやすい傾向があります。 このような犬は、飼い主との離別に対して過剰なストレスを感じ、分離不安症を発症しやすいです。 加齢もまた、分離不安症の一因となります。 年を取るにつれて、犬は身体的にも精神的にも変化が現れます。 特に、視力や聴力の低下が進むことで、周囲の環境に対する不安感が強くなりやすいです。 また、老犬は若い犬に比べて一人になることに対して敏感になり、分離不安症を発症するリスクが高まることが知られています。 このように、犬が分離不安症になる原因は多岐にわたりますが、それぞれの要因が複合的に作用することが多いため、飼い主は犬の過去の経験や性格、環境の変化に敏感になり、早期に対策を講じることが重要です。

01分離不安症の予防と対策

分離不安症は、犬が飼い主と離れる際に感じる不安やストレスによって引き起こされる行動の一つです。 この症状が進行すると、犬は家を破壊したり、過度に吠えたり、排泄の失敗を起こすことがあります。 特に、飼い主が外出する度に犬がパニック状態になる場合、この問題が発生している可能性が高いです。 こうした問題を防ぐためには、犬が一人でいる時間に慣れる工夫が必要です。 また、日常生活での少しの変化が分離不安症を予防・改善する助けになります。

1-1犬の依存を減らすための工夫

犬が過度に飼い主に依存しないようにすることが、分離不安症を予防するための重要なステップです。 飼い主に対する依存が強いと、犬は飼い主がいない時に強い不安を感じやすくなります。 そのため、日常生活の中で飼い主に過度に頼らない生活を心がけることが大切です。

一人の時間に慣れさせる方法

犬に一人の時間に慣れさせることは、依存を減らすための基本的なアプローチです。 例えば、犬を短時間一人にしておく練習を行うことが有効です。 最初は短い時間から始め、徐々にその時間を延ばしていきます。 この時、犬がパニックにならないように、特に何も特別なことをしない状態で静かに部屋を出入りすることが大切です。 短い別れを何度も経験させることで、犬は「飼い主が戻ってくる」と理解し、少しずつ安心感を持つようになります。 また、外出前に特別なイベントを作らないようにすることも効果的です。 例えば、外出前におやつを与えることや過度に構うことは、犬に「飼い主がいなくなる」サインと捉えられ、不安を引き起こす要因となります。

犬が落ち着ける環境づくり

一人で過ごす時間を安心して過ごすためには、犬にとって落ち着ける環境を整えることも重要です。 まず、犬が安心できる居場所を確保してあげることが大切です。 これは、クレートやベッドなど、犬がリラックスして休むことができる空間です。 この場所は、できるだけ静かで落ち着いたエリアに設置し、犬が自分のスペースと認識できるようにします。 また、適切なおもちゃや噛むことができるアイテムを用意することで、犬が自分自身で楽しむ時間を作ることができます。 特に、知育玩具やフードディスペンサーなど、頭を使って遊べるアイテムは、犬の興味を引き、退屈を感じにくくします。 犬が一人で過ごす時間をポジティブな体験にするために、このような環境づくりを行うことは、分離不安症の予防に効果的です。 これらの工夫を日常生活に取り入れることで、犬は少しずつ自立心を持ち、飼い主が不在でも安心して過ごせるようになります。 これにより、分離不安症の発症を予防し、犬と飼い主の双方にとってストレスの少ない生活が実現するでしょう。

01専門家の助けと長期的な改善策

犬の行動問題や分離不安症が深刻化した場合、飼い主だけで対処するのは難しいことがあります。 こうした場合には、専門家の助けを借りることが、長期的な改善への重要な一歩となります。 獣医や行動専門家と協力しながら、適切な方法で問題に取り組むことで、犬のストレスを軽減し、飼い主と犬の双方にとってより良い生活環境を築くことが可能です。 ここでは、どのようなタイミングで専門家に相談すべきか、また、遊びを通じた犬の自立心を育てる方法について詳しく解説します。

1-1獣医や専門家に相談するタイミング

分離不安症や行動問題が軽度な段階であれば、飼い主自身で対応できることが多いですが、症状が悪化する前に専門家に相談することが肝要です。 特に以下のような兆候が見られた場合、早めに獣医や行動専門家に相談することが推奨されます。 過度な破壊行動 家の中の物を頻繁に破壊する、家具や壁をかじるといった行動が続く場合、これは犬が強い不安やストレスを感じているサインです。 過剰な吠え 飼い主がいない間、犬が延々と吠え続ける場合、それは分離不安の典型的な症状の一つです。 この状態が長引くと、犬自身の精神的な負担が増すだけでなく、近隣とのトラブルにも発展する可能性があります。 不安定な排泄行動 トイレトレーニングができている犬が突然、家の中で排泄をしてしまう場合、これはストレスの表れかもしれません。 これらの症状が見られたら、まずは獣医に相談し、身体的な問題がないか確認することが大切です。 身体的な問題がない場合、行動専門家やドッグトレーナーと連携し、犬の行動を改善するためのプログラムを組むことができます。 特に、分離不安症に詳しい専門家に相談することで、より効果的なアプローチが可能になります。

遊びを通じた自立心の強化方法

犬の自立心を育てるためには、日常的な遊びの中で少しずつ自立を促すことが有効です。 遊びは単にエネルギーを発散するためだけでなく、犬が自己解決能力や自信を育てる機会にもなります。 以下に、遊びを通じた自立心の強化方法をいくつか紹介します。 知育玩具の活用 犬が自分で解決しなければならないタイプの知育玩具は、犬にとって良い脳トレーニングとなり、自立心を育てるのに役立ちます。 例えば、フードを隠しておくタイプの玩具は、犬が自力でフードを取り出す方法を考えながら集中力を高める効果があります。 このような遊びは、犬が飼い主の助けを借りずに楽しむことができ、同時に自信をつける手助けとなります。 一人遊びの時間を確保する 犬が飼い主の介入なしで遊ぶ時間を作ることも、重要な自立訓練の一つです。 初めは短い時間から始め、徐々にその時間を延ばしていくことで、犬が自分で楽しむ時間を持つことができます。 犬が安心して一人で過ごすことを覚え、過度に飼い主に依存しない生活習慣を形成します。 お留守番の訓練を遊びに取り入れる 飼い主が外出する際の不安を軽減するために、お留守番中に楽しめる遊びを用意しておくことが効果的です。 おやつを詰めたおもちゃや、時間をかけて解決できるゲームを提供することで、犬は飼い主の不在時にも楽しむことができ、結果として分離不安が和らぎます。 遊びを通じた自立心の強化は、犬の心の健康にとっても非常に重要です。 犬が一人で問題を解決する能力を身につけることで、長期的な安心感を得ることができ、飼い主と過ごす時間もより充実したものになるでしょう。

01分離不安症と健康への影響

分離不安症は犬の精神的な健康だけでなく、身体的な健康にも大きな影響を与えることがあります。 分離不安症に陥った犬は、飼い主と離れることへの強い不安感から、様々なストレスを抱えることになります。 このストレスが長期間続くと、犬の身体全体に悪影響を及ぼす可能性があり、特に免疫系や消化器系に大きな負担をかけることが知られています。 分離不安症が引き起こすストレスと、それが犬の身体にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。

1-1ストレスが体に与える悪影響

犬が強いストレスを感じると、その影響は行動面だけでなく、身体にも現れます。 犬のストレス反応は、私たち人間が感じるものと同様に、体内のホルモンバランスや神経系に影響を与えます。 ストレスを感じた際に、体内ではアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが分泌され、これにより一時的な心拍数の上昇や筋肉の緊張が引き起こされるのです。 これ自体は生理的な反応として正常ですが、長期間にわたるストレスが続くと、身体への負荷が積み重なり、やがて健康問題へと発展します。 特に分離不安症に苦しむ犬の場合、飼い主と離れるたびにこうしたストレス反応が引き起こされ、慢性的なストレス状態に陥ります。 これが続くと、消化器系や免疫系に悪影響を及ぼし、結果として犬の全体的な健康状態が悪化することがあります。

胃腸や免疫系への影響

ストレスが続くことで、犬の胃腸や免疫系には大きな負担がかかります。 消化器系は特にストレスの影響を受けやすく、分離不安症を抱える犬はしばしば消化不良や下痢、便秘といった問題を抱えることがあります。 これは、ストレスホルモンが過剰に分泌されることで、胃腸の働きが正常に機能しなくなるためです。 消化器系の問題が続くと、栄養の吸収にも影響が出てしまい、体重の減少やエネルギー不足に陥ることがあります。 また、ストレスは免疫系にも大きな影響を与えます。 慢性的なストレス状態が続くと、体の防御機能である免疫系が弱まり、感染症にかかりやすくなったり、傷の治癒が遅くなったりすることがあります。 分離不安症を抱える犬は、こうした免疫低下のリスクが高く、病気にかかりやすくなるため、健康管理に特に注意が必要です。 長期的なストレスによって引き起こされるこれらの問題は、犬の生活の質を著しく低下させるだけでなく、場合によっては命に関わることもあります。 そのため、分離不安症が疑われる場合には、早期に対策を講じることが、犬の健康を守るために非常に重要です。 分離不安症が犬の心と体に与える影響は、飼い主が思っている以上に深刻です。 適切な対処を行うことで、ストレスの軽減や健康状態の改善が見込めるため、獣医や行動専門家に相談しながら、適切な治療やトレーニングを進めていくことが不可欠です。

01犬の分離不安症とは?

忠実で愛情深い犬にも起こる可能性のある「分離不安症」。では犬の分離不安症とはどのようなものなのでしょうか。

1-1飼い主と離れることによって強い不安感に襲われるもの

分離不安症とは、簡単に言えば飼い主と離れることによって強い不安に襲われる症状で、「分離不安障害」と呼ばれることもあります。
もともと、犬は群れを作って集団で生活する生き物。そのため、周囲に常に仲間や家族がいるというのが犬にとっては正常な状態です。
しかし、人間に飼われるようになると、どうしてもいつも誰かと一緒にいるわけにはいきません。特に飼い主さんが一人暮らしで仕事を持っている場合など、どうしても一匹だけで留守番をする必要があります。
通常の場合、最初は不安になる犬でも、少しずつ長く留守番ができるようになるなど、飼い主さんと離れていることに慣れていくものですが、中にはその状態に慣れることができないという犬も少なくありません。

1-2精神的・肉体的に不調になる

といっても、「飼い主さんと一緒にいることができなくて寂しさを感じる」という状態はどのような犬でも起きるもの。
分離不安症の場合には、単に寂しそうな様子を見せるだけでなく、それが精神的・肉体的な不調につながることが特徴です。
中には精神的なパニックを起こすことで、大きな問題行動を取ってしまうこともあります。

02分離不安症の症状

それでは、犬が分離不安症を発症した場合にはどのような症状が現れるのでしょうか。

2-1飼い主がでかけようとするとそわそわする、ついて回る

分離不安症を発症した犬は、飼い主さんが出かけようとすると不安に襲われます。そのため、飼い主さんが出かけるために着替えや支度を始めるだけで、落ち着かない様子を見せてそわそわしたり、鼻を鳴らしたりということがあります。
これだけなら、ごく普通の犬でも見せる行動ですが、分離不安症の場合、飼い主さんの外出を知ると大きな声で吠えたり、騒いだり、ケージの中で暴れたりといったケースもあります。

2-2飼い主がいない間に物を壊す

分離不安症の症状として典型的なものが、飼い主さんが留守をしている間に物を壊すという症状です。暴れて家の壁に穴を開ける、家具をかじるといった直接物を壊す行動だけでなく、物を壊すときに自分の顔や鼻、爪などを傷つけてしまうこともあります。
また、トイレとは違う場所で排泄をするというのも分離不安症の症状のひとつです。

2-3食欲不振

分離不安症は物を壊したり、無駄吠えをしたりといった行動だけでなく、心身の不調として現れることもあります。
たとえば食欲が低下したり、下痢や嘔吐を繰り返したりなどの症状が現れることもあります。

2-4重症の場合

分離不安症は軽度のものから重度のものまで様々な症状が現れます。特に注意しなければならないのが重度の分離不安症に現れる症状。
自分の足や尻尾にかみつく、血が出たり、毛が抜けたりしてもその行動が止められないという場合、分離不安症が悪化していると考えられます。

03分離不安症になる原因

犬の本能や生活環境から考えれば、ひとりでいるときに緊張や不安を感じるのは当然のこと。しかし、すべての犬が分離不安症になるわけではありません。それでは、犬が分離不安症になってしまう原因とはどのようなものなのでしょうか。

3-1生活環境や育てられ方が主な原因

犬が分離不安症になる原因としては、生活環境や育てられ方が挙げられます。通常の場合、しつけを行うことや、何度も留守番をしているうちに犬は少しずつ状況に順応していきますが、様々な経験や環境によって順応できず、不安を解消できないことが分離不安の大きな原因です。

3-2留守番のトラウマ

分離不安症を発症した犬の中には、以前はきちんと留守番が出来ていたのに急にできなくなったというケースがあります。
この場合、留守番していたときに、犬がトラウマとして感じるような出来事が起きたと考えることができます。
たとえば、突然の雷や地震。犬は大きな音や環境の変化などに敏感に反応する動物ですが、もし飼い主さんと一緒にいる場合には、飼い主さんに助けを求めることで気持ちを落ち着かせることができます。
しかし、もし留守番をしているときに雷や地震などが起きた場合、犬は大きな不安を感じ、しかもそれを解消できないといった経験が、「また同じように飼い主さんがいないときに雷や地震があったらどうしよう」「飼い主さんがいないことが雷や地震の原因かもしれない」などという思い込みに結びついて、分離不安症に陥ってしまいます。
また、子犬のときに長時間留守番をさせてしまったという経験も分離不安症に結びつきがち。特に子犬の場合、短期間に水や食べ物を与える必要がありますが、少し長い時間放置されたことで強い空腹による生命の危機を感じたという場合、分離不安症を引き起こすことがあります。
その他にも子犬のときに虐待を受けていた、捨てられた経験がある、数日間に渡って空腹や恐怖感が続いたなどの経験がある犬の場合、分離不安症になりやすいと言われています。

3-3生活環境の変化

犬の心の安定には、生活環境が変わらないことが重要です。そのため、以前には落ち着いて留守番できていた犬が、生活環境が変化したことが原因で分離不安症になってしまうことがあります。
たとえば引越しや飼い主さんの結婚・出産によって家族が増えるなど、生活環境が大きく変わった場合、その状況になかなか適応することができず、飼い主さんの不在が強い不安に結びついてしまいます。
特に多いのが、飼い主さんの生活環境の変化によって生活時間帯が変わる、留守が増えるといった変化。
就職や進学、繁忙期の残業の増加など、飼い主さんの不在が増えることで、犬は「このまま飼い主さんが帰ってこないのではないか」と強い不安を感じることも。
もし留守が続く場合、知人の家やペットホテルに預けられたという場合にも、大きな環境の変化が短時間に起きることから分離不安症に陥る可能性は高いと考えられるでしょう。

3-4過剰なしつけ、愛情

分離不安症を直すためにと、過剰に厳しいしつけを行う飼い主さんもいらっしゃいますが、実はこれは逆効果。
というのも、厳しすぎるしつけを行った場合、犬は強いストレスを感じます。そのストレスに留守番でひとりになるというストレスが加わることで、感情が爆発し、パニックに陥りやすくなります。
かといって犬を甘やかしすぎるのも分離不安症に陥りやすい行動です。
通常の場合、子犬の頃から少しずつひとりの時間に慣れることで、飼い主さんの姿が見えない場合でも落ち着いて過ごすことができますが、飼い主さんが愛情をかけすぎて、少しの時間でも犬をひとりだけにしないという場合、犬の精神や自立心が発達せず、いつまでも子犬のときのように飼い主さんのそばにつきまとうようになります。

3-5気質や加齢

分離不安には、犬の性格や気質も大きく関係しています。多少の時間であれば一匹だけで過ごしてもまったく平気な犬もいれば、少しでも飼い主さんの姿が見えないだけで不安になる犬もいるもの。
また、分離不安症には年齢も関係しています。犬も人間と同じように、加齢によって視力や張力が低下しますが、以前のように見えない、聞こえないという状態は犬にとっては不安なもの。その不安に、飼い主さんの不在が加わると分離不安症の原因となります。
さらに、認知症を発症すると精神的・肉体的なコントロールが難しく、飼い主さんの留守に暴れるといった行動が現れやすくなります。
その他にも、神経の疾患や脳の主要、ホルモンの異常などによっても分離不安が起きることもあります。

04分離不安症になったら?

飼い主さんにとって悩ましい分離不安症。ではもし可愛いペットが分離不安症になった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

4-1軽度の場合はしつけによって解消

まだ分離不安症が軽度の場合には、しつけによって解消することがあります。というのも、分離不安症に陥る犬の場合、犬が飼い主さんよりも優位に立っていると考えていることが多いから。そのため、わがままを言えば聞いてもらえると信じている可能性があります。
たとえば、犬が抱っこして欲しい、構って欲しいというそぶりを見せても、いいなりにならないこと。
また、きちんとお座りや待てといった行動を取れるようになれば、分離不安症が自然と改善することがあります。

4-2罰は決して与えないこと

分離不安症はしつけによって改善することがありますが、そのときに重要なのが、決して罰は与えないこと。
というのも、罰を与えられることは犬にとって大きな緊張と不安の原因になります。このような精神状態がさらに強くなると、犬は自分で自分のコントロールをすることができなくなってしまいます。
また、分離不安症の犬が家具を壊したり、部屋を荒らしたりする場合、自分でも抑えきれなくなっていることが多く、帰宅後に飼い主さんに叱られても、なぜ叱られたのかが理解できないケースもあります。

4-3専門家・プロに頼ることも検討する

もし分離不安症が悪化したり、自分の身体を傷つけたりするようであれば、専門家やプロに頼ることも検討しましょう。
ペットをかわいがっている飼い主さんの場合、自分の愛情が足りないからだと考えて、自分の力だけでなんとかしようとすることがあります。
しかし、分離不安症は素人では対処が難しいケースが多いもの。すると、飼い主さんは分離不安症の対処に追い詰められて、それが犬にも伝染して、さらに分離不安症が悪化してしまうことがあります。
獣医さんなどに相談した場合、興奮を和らげたり、不安を解消したりといった投薬療法が行われることもあります。また、食欲不振や嘔吐、下痢などの症状がある場合には、それらの症状を緩和するための投薬が行われます。これらの治療によって精神的・肉体的な不調が解消することは、犬にとっても飼い主さんにとっても負担が軽減することになります。
さらに、専門的な行動療法が用いられることもあるため、重度の分離不安症の場合にはぜひ早期の通院をおすすめすます。

05分離不安症の予防・対策

分離不安症は、発症する前の予防や対策が重要になります。それでは、分離不安症を予防するための対策はどのように行えばよいのでしょうか。

5-1留守番中の環境を整えてあげる

分離不安症の対策としてまず重要なのが、犬が留守番している間の環境を整えてあげることです。
たとえば、寂しくなったときに気分を紛らわせるためのおもちゃを用意する、ラジオやテレビなどをつけておくというのも良い方法です。
また、飼い主さんのにおいがついたタオルや毛布などがあると、不安を感じた犬の気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。
なお、動くことができるスペースが広い場合、犬は落ち着かなくなってしまうもの。ケージやサークルなどを用意して、その中にトイレ、お水など犬にとって必要なものを整えてあげましょう。

5-2留守番の練習をする

どのような犬でも、飼い主さんと離れるのは不安なもの。まずは短い留守番の練習をさせるのも効果的な方法です。完全に外出するわけでなく、一分程度犬から離れ、落ち着いているような少しずつ時間を長くしていきましょう。
また、一緒にいるときもあえて構わない、1匹に慣れさせるというのもよい方法です。

5-3さりげない外出・帰宅をおこなう

犬は飼い主さんの行動に敏感なもの。そのため外出をするときはできるだけさりげなく行うのがよいでしょう。これは帰宅するときも同様で、「いってきます」「ただいま」など声を掛けず、気づかれないように外出・帰宅しましょう。

01まとめ

犬の分離不安症は、飼い主と離れる際に強い不安やストレスを感じる問題であり、犬の行動や健康に大きな影響を与えます。 特に吠えや破壊行動、体調不良などが現れた場合には、早急な対策が必要です。 分離不安症を防ぐためには、犬が一人の時間に慣れるよう訓練し、依存を減らす工夫が大切です。 また、深刻な場合には専門家の助けを借り、犬の心と体の健康を守るための対策を講じることが重要です。 日常的なケアと環境作りが、犬と飼い主の健全な関係を維持する鍵となります。

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講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
岸本誠也 先生
犬友学園運営
1992年生まれ。神戸出身。大阪の動物病院、整形外科リハビリテーション科に勤務。個人ではペット服のセレクトショップやオンラインマッサージ教室を経営。愛犬のためのオンラインサロン「犬友学園」を運営。

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