蒸留酒とは? 醸造酒との違いと種類について
お酒は大人のたしなみですが、一口に「お酒」といっても実は様々な種類があります。特に有名なのは蒸留酒や醸造酒。ではこの二つにはどのような違いがあるのでしょうか。今回は蒸留酒の特徴や醸造酒との違いについてご紹介します。
- 目次
01蒸留酒とは?
お酒には大きくわけて「蒸留酒」「醸造酒」「混成酒(再製酒)」という3種類があります。これらのお酒は作り方に違いがあります。
1-1醸造酒
醸造酒とは、穀物や果物などの原料に酵素や酵母を加えアルコール発酵させたもの。日本酒やビール、ワインなどが醸造酒に当たります。
醸造酒は作り方がシンプルで、古い歴史を持ったお酒。ルーツは紀元前七千年ごろまでさかのぼることができると言われ、世界各地の文明で醸造酒が作られたという証拠が見つかっています。
これらのお酒はアルコール度数が比較的低いのが特徴。
さらに醸造酒の中には、糖分を含んだ原料に酵母を加えて行う「単発酵」、一度酵母や酵素の働きによって原料を糖に分解、その糖を酵母によって発酵させる「複発酵」、この二つを同時に行う「並行複発酵」などの種類があります。
醸造酒は複雑な成分が含まれていて、深みやコクがありますが、消化や代謝に時間がかかることから二日酔いになりやすいとも言われています。
1-2蒸留酒
蒸留酒とは、醸造酒をさらに加熱して、その中からアルコールを取り出して作られるお酒です。
どのような蒸留酒を使うのかによって異なる風味のお酒となり、たとえばワインから作られるのがブランデー、日本酒から作られるのが米焼酎、ビールから作られるのがウイスキーです。
加熱した蒸気からアルコールを取り出して液体にするため、醸造酒に比べるとアルコール度数が高いことが特徴です。醸造酒と同じように、穀物などの出来具合、その年の天候、製造元、蒸留の方法や器具、環境などによっても味に違いが生まれます。
1-3混成酒
混成酒とは、醸造酒や蒸留酒にハーブや果実、香辛料、糖分などを添加して
作られるお酒。「再製酒」と呼ばれるともあり、「梅酒」や「みりん」なども混成酒の一種です。
02醸造酒との違い
蒸留酒は世界中に様々な種類があるお酒。では醸造酒との大きな違いはどのような点にあるのでしょうか。
2-1製造過程の違い
醸造酒は原料に酵母などを加えて発酵させて作られるのに対して、蒸留酒は醸造酒を蒸留することによって作られます。
蒸留は醸造酒を加熱することによって行われます。加熱すると、醸造酒はアルコールと水分を含んだ蒸気になりますが、この上記の中からアルコールを抽出、さらにその蒸気を冷やして液体に戻すことで蒸留酒は製造されます。
そのため、醸造酒に比べると、蒸留酒のアルコール度数は高くなります。
一般的な醸造酒がアルコール度数5度から16度程度なのに対して、蒸留酒は40度から60度、特にアルコール度数の高いものでは90度を超えることもあります。
2-2味わいの違い
醸造酒はシンプルな製造工程が特徴ですが、その分、蒸留酒に比べて様々な成分が含まれています。また、ワインの場合にはぶどうの皮など、製造過程で不純物が残ることも。
不純物というと、よくないものというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、醸造酒に含まれる不純物は複雑で奥の深い味わいの源になっています。
一方の蒸留酒は、蒸留の過程で不純物が除去されるため、純度の高いアルコールが残ります。
2-3糖質の違い
醸造酒と蒸留酒の大きな違いのひとつは糖質の違いです。
醸造酒は製造の過程で糖質が含まれますが、蒸留酒の場合、蒸留を行うときには糖質が失われます。
そのため、糖質を気にする方の場合、蒸留酒を選ばれることも多いようです。
ただし、蒸留酒といっても、糖質が完全にゼロというわけではありません。醸造酒に比べると、糖質はかなり低くなりますが、蒸留酒にも糖質は含まれています。
さらに、蒸留酒は醸造酒に比べるとアルコール度数が高いため、カロリー自体は高くなります。
03蒸留酒の種類
蒸留酒というと馴染みがないものとして感じるかもしれませんが、実は多くのお酒が蒸留酒に分類されています。
3-1焼酎
日本の代表的な蒸留酒が焼酎です。焼酎は米、麦、イモ、そば、酒かす、黒糖など様々な穀物やイモ類を原料に作られていて、それぞれ異なる味わいを持っています。
さらに焼酎には「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」のふたつの種類があります。
「連続式蒸留焼酎」は、連続式蒸留機という機械を使用して蒸留を行う焼酎で、アルコール度数が36度未満のもの。この「連続式蒸留焼酎」は焼酎甲類とも呼ばれています。
一方、「単式蒸留焼酎」は単式蒸留機を使用したもので、アルコール度数45度以下のもの。この「単式蒸留焼酎」は伝統的な製法で、原料の香りや味わいがはっきりしているのが特徴。そのため、「本格焼酎」という表示を行うことができます。また、「単式蒸留焼酎」は焼酎乙類と表示されることもあります。
また、米焼酎や麦焼酎、芋焼酎などという場合には、ほとんどが「単式蒸留焼酎」を指しています。
さらに焼酎の中には、これら二種類の焼酎をブレンドして作られた「混和焼酎」があります。
3-2ウイスキー
ウイスキーは大麦や小麦、ライ麦、トウモロコシなどを原料に作られた蒸留酒です。ウイスキーの中には、スコットランドで作られた「スコッチ」や、アメリカで作られた「バーボン」など、産地によってさらに細かく分類され、それぞれの特徴や風味、香りなども異なります。
また、ウイスキーは蒸留した後、木の樽で熟成させるのも特徴のひとつ。ウイスキー独特の色も魅力のひとつですが、その色も木の樽で熟成を行うことによって生まれます。
3-3ブランデー
ブランデーは醸造酒であるワインを蒸留して作られたお酒です。
一般的に、ブランデーの原料となるのは白ワイン。白ワインを蒸留したから樽で熟成、出来上がったものがブランデーです。
ブランデーには、産地や製法によってコニャックやアルマニャックといったさらに細かい分類があります。
また、フランス北部で作られるブランデーの中には「カルヴァドス」と呼ばれるものがありますが、これはブドウではなく、リンゴを原料として作られるブランデーです。
3-4ジン
ジンは大麦やライ麦、ジャガイモを原料に作られた蒸留酒です。「ジュニパーベリー」という植物によって香り付けされているのが特徴で、独特の風味があります。また、ジンの中には薬草の成分が加えられているものもあります。
3-5ウォッカ
ウォッカは小麦や大麦、じゃがいも、ライ麦などを原料に作られる蒸留酒です。蒸留を行ったあと、白樺の炭でろ過を行うため、透明度が高いのが特徴。さらにクセもありませんが、アルコール度数が非常に高く、平均で40度、高いものでは90度を超えるものもあります。
3-6泡盛
沖縄を代表するお酒といえば「泡盛」ですが、泡盛は酒税法では「単式蒸留焼酎」の一種とされています。
泡盛の特徴は、伝統的な黒麹菌を使用していること。また、多くの泡盛にはタイ米が原料として使用され、原料のすべてを米麹にして、水と酵母で発酵させる全麹仕込みという発酵方法が用いられます。
また、泡盛を熟成させた「古酒」も人気があります。
3-7テキーラ
テキーラはメキシコの「リュウゼツラン」という植物を原料に作られる蒸留酒です。リュウゼツランを100%使ったものは、プレミアムテキーラと呼ばれて珍重されています。
また、熟成度によっても様々なランクが設けられています。
04まとめ
様々な種類のある蒸留酒と醸造酒。お酒の違いや製法、成り立ちなどを知っておくと、お酒を飲むときの楽しみが増えるかもしれませんね。
1-1醸造酒
醸造酒とは、穀物や果物などの原料に酵素や酵母を加えアルコール発酵させたもの。日本酒やビール、ワインなどが醸造酒に当たります。
醸造酒は作り方がシンプルで、古い歴史を持ったお酒。ルーツは紀元前七千年ごろまでさかのぼることができると言われ、世界各地の文明で醸造酒が作られたという証拠が見つかっています。
これらのお酒はアルコール度数が比較的低いのが特徴。
さらに醸造酒の中には、糖分を含んだ原料に酵母を加えて行う「単発酵」、一度酵母や酵素の働きによって原料を糖に分解、その糖を酵母によって発酵させる「複発酵」、この二つを同時に行う「並行複発酵」などの種類があります。
醸造酒は複雑な成分が含まれていて、深みやコクがありますが、消化や代謝に時間がかかることから二日酔いになりやすいとも言われています。
1-2蒸留酒
蒸留酒とは、醸造酒をさらに加熱して、その中からアルコールを取り出して作られるお酒です。
どのような蒸留酒を使うのかによって異なる風味のお酒となり、たとえばワインから作られるのがブランデー、日本酒から作られるのが米焼酎、ビールから作られるのがウイスキーです。
加熱した蒸気からアルコールを取り出して液体にするため、醸造酒に比べるとアルコール度数が高いことが特徴です。醸造酒と同じように、穀物などの出来具合、その年の天候、製造元、蒸留の方法や器具、環境などによっても味に違いが生まれます。
1-3混成酒
混成酒とは、醸造酒や蒸留酒にハーブや果実、香辛料、糖分などを添加して
作られるお酒。「再製酒」と呼ばれるともあり、「梅酒」や「みりん」なども混成酒の一種です。
2-1製造過程の違い
醸造酒は原料に酵母などを加えて発酵させて作られるのに対して、蒸留酒は醸造酒を蒸留することによって作られます。
蒸留は醸造酒を加熱することによって行われます。加熱すると、醸造酒はアルコールと水分を含んだ蒸気になりますが、この上記の中からアルコールを抽出、さらにその蒸気を冷やして液体に戻すことで蒸留酒は製造されます。
そのため、醸造酒に比べると、蒸留酒のアルコール度数は高くなります。
一般的な醸造酒がアルコール度数5度から16度程度なのに対して、蒸留酒は40度から60度、特にアルコール度数の高いものでは90度を超えることもあります。
2-2味わいの違い
醸造酒はシンプルな製造工程が特徴ですが、その分、蒸留酒に比べて様々な成分が含まれています。また、ワインの場合にはぶどうの皮など、製造過程で不純物が残ることも。
不純物というと、よくないものというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、醸造酒に含まれる不純物は複雑で奥の深い味わいの源になっています。
一方の蒸留酒は、蒸留の過程で不純物が除去されるため、純度の高いアルコールが残ります。
2-3糖質の違い
醸造酒と蒸留酒の大きな違いのひとつは糖質の違いです。
醸造酒は製造の過程で糖質が含まれますが、蒸留酒の場合、蒸留を行うときには糖質が失われます。
そのため、糖質を気にする方の場合、蒸留酒を選ばれることも多いようです。
ただし、蒸留酒といっても、糖質が完全にゼロというわけではありません。醸造酒に比べると、糖質はかなり低くなりますが、蒸留酒にも糖質は含まれています。
さらに、蒸留酒は醸造酒に比べるとアルコール度数が高いため、カロリー自体は高くなります。
03蒸留酒の種類
蒸留酒というと馴染みがないものとして感じるかもしれませんが、実は多くのお酒が蒸留酒に分類されています。
3-1焼酎
日本の代表的な蒸留酒が焼酎です。焼酎は米、麦、イモ、そば、酒かす、黒糖など様々な穀物やイモ類を原料に作られていて、それぞれ異なる味わいを持っています。
さらに焼酎には「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」のふたつの種類があります。
「連続式蒸留焼酎」は、連続式蒸留機という機械を使用して蒸留を行う焼酎で、アルコール度数が36度未満のもの。この「連続式蒸留焼酎」は焼酎甲類とも呼ばれています。
一方、「単式蒸留焼酎」は単式蒸留機を使用したもので、アルコール度数45度以下のもの。この「単式蒸留焼酎」は伝統的な製法で、原料の香りや味わいがはっきりしているのが特徴。そのため、「本格焼酎」という表示を行うことができます。また、「単式蒸留焼酎」は焼酎乙類と表示されることもあります。
また、米焼酎や麦焼酎、芋焼酎などという場合には、ほとんどが「単式蒸留焼酎」を指しています。
さらに焼酎の中には、これら二種類の焼酎をブレンドして作られた「混和焼酎」があります。
3-2ウイスキー
ウイスキーは大麦や小麦、ライ麦、トウモロコシなどを原料に作られた蒸留酒です。ウイスキーの中には、スコットランドで作られた「スコッチ」や、アメリカで作られた「バーボン」など、産地によってさらに細かく分類され、それぞれの特徴や風味、香りなども異なります。
また、ウイスキーは蒸留した後、木の樽で熟成させるのも特徴のひとつ。ウイスキー独特の色も魅力のひとつですが、その色も木の樽で熟成を行うことによって生まれます。
3-3ブランデー
ブランデーは醸造酒であるワインを蒸留して作られたお酒です。
一般的に、ブランデーの原料となるのは白ワイン。白ワインを蒸留したから樽で熟成、出来上がったものがブランデーです。
ブランデーには、産地や製法によってコニャックやアルマニャックといったさらに細かい分類があります。
また、フランス北部で作られるブランデーの中には「カルヴァドス」と呼ばれるものがありますが、これはブドウではなく、リンゴを原料として作られるブランデーです。
3-4ジン
ジンは大麦やライ麦、ジャガイモを原料に作られた蒸留酒です。「ジュニパーベリー」という植物によって香り付けされているのが特徴で、独特の風味があります。また、ジンの中には薬草の成分が加えられているものもあります。
3-5ウォッカ
ウォッカは小麦や大麦、じゃがいも、ライ麦などを原料に作られる蒸留酒です。蒸留を行ったあと、白樺の炭でろ過を行うため、透明度が高いのが特徴。さらにクセもありませんが、アルコール度数が非常に高く、平均で40度、高いものでは90度を超えるものもあります。
3-6泡盛
沖縄を代表するお酒といえば「泡盛」ですが、泡盛は酒税法では「単式蒸留焼酎」の一種とされています。
泡盛の特徴は、伝統的な黒麹菌を使用していること。また、多くの泡盛にはタイ米が原料として使用され、原料のすべてを米麹にして、水と酵母で発酵させる全麹仕込みという発酵方法が用いられます。
また、泡盛を熟成させた「古酒」も人気があります。
3-7テキーラ
テキーラはメキシコの「リュウゼツラン」という植物を原料に作られる蒸留酒です。リュウゼツランを100%使ったものは、プレミアムテキーラと呼ばれて珍重されています。
また、熟成度によっても様々なランクが設けられています。
04まとめ
様々な種類のある蒸留酒と醸造酒。お酒の違いや製法、成り立ちなどを知っておくと、お酒を飲むときの楽しみが増えるかもしれませんね。
3-1焼酎
日本の代表的な蒸留酒が焼酎です。焼酎は米、麦、イモ、そば、酒かす、黒糖など様々な穀物やイモ類を原料に作られていて、それぞれ異なる味わいを持っています。
さらに焼酎には「連続式蒸留焼酎」と「単式蒸留焼酎」のふたつの種類があります。
「連続式蒸留焼酎」は、連続式蒸留機という機械を使用して蒸留を行う焼酎で、アルコール度数が36度未満のもの。この「連続式蒸留焼酎」は焼酎甲類とも呼ばれています。
一方、「単式蒸留焼酎」は単式蒸留機を使用したもので、アルコール度数45度以下のもの。この「単式蒸留焼酎」は伝統的な製法で、原料の香りや味わいがはっきりしているのが特徴。そのため、「本格焼酎」という表示を行うことができます。また、「単式蒸留焼酎」は焼酎乙類と表示されることもあります。
また、米焼酎や麦焼酎、芋焼酎などという場合には、ほとんどが「単式蒸留焼酎」を指しています。
さらに焼酎の中には、これら二種類の焼酎をブレンドして作られた「混和焼酎」があります。
3-2ウイスキー
ウイスキーは大麦や小麦、ライ麦、トウモロコシなどを原料に作られた蒸留酒です。ウイスキーの中には、スコットランドで作られた「スコッチ」や、アメリカで作られた「バーボン」など、産地によってさらに細かく分類され、それぞれの特徴や風味、香りなども異なります。
また、ウイスキーは蒸留した後、木の樽で熟成させるのも特徴のひとつ。ウイスキー独特の色も魅力のひとつですが、その色も木の樽で熟成を行うことによって生まれます。
3-3ブランデー
ブランデーは醸造酒であるワインを蒸留して作られたお酒です。
一般的に、ブランデーの原料となるのは白ワイン。白ワインを蒸留したから樽で熟成、出来上がったものがブランデーです。
ブランデーには、産地や製法によってコニャックやアルマニャックといったさらに細かい分類があります。
また、フランス北部で作られるブランデーの中には「カルヴァドス」と呼ばれるものがありますが、これはブドウではなく、リンゴを原料として作られるブランデーです。
3-4ジン
ジンは大麦やライ麦、ジャガイモを原料に作られた蒸留酒です。「ジュニパーベリー」という植物によって香り付けされているのが特徴で、独特の風味があります。また、ジンの中には薬草の成分が加えられているものもあります。
3-5ウォッカ
ウォッカは小麦や大麦、じゃがいも、ライ麦などを原料に作られる蒸留酒です。蒸留を行ったあと、白樺の炭でろ過を行うため、透明度が高いのが特徴。さらにクセもありませんが、アルコール度数が非常に高く、平均で40度、高いものでは90度を超えるものもあります。
3-6泡盛
沖縄を代表するお酒といえば「泡盛」ですが、泡盛は酒税法では「単式蒸留焼酎」の一種とされています。
泡盛の特徴は、伝統的な黒麹菌を使用していること。また、多くの泡盛にはタイ米が原料として使用され、原料のすべてを米麹にして、水と酵母で発酵させる全麹仕込みという発酵方法が用いられます。
また、泡盛を熟成させた「古酒」も人気があります。
3-7テキーラ
テキーラはメキシコの「リュウゼツラン」という植物を原料に作られる蒸留酒です。リュウゼツランを100%使ったものは、プレミアムテキーラと呼ばれて珍重されています。
また、熟成度によっても様々なランクが設けられています。