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ワインのブショネとは?原因と見分け方について

せっかくのワインを開けたとき、不自然な異臭や酸味などを感じたことはありませんか?実はそれは「ブショネ」と呼ばれるもの。今回はブショネが起きる原因や見分け方、対処法などについてご紹介します。

ワインのブショネとは?原因と見分け方について
目次

01ブショネとは?

ワイン初心者にとって聞きなれない「ブショネ」。ではブショネとはどのようなものなのでしょうか。

1-1ブション(bouchon)が由来

「ブショネ」とは、フランス語のブション(bouchon)が由来とされています。ブションとは、日本語では「コルク」を指す言葉。そのため、英語圏では、「コルキー」とも呼ばれています。

1-2劣化したワインを表す用語

ブショネは品質が劣化したワインを指すワイン用語です。ブショネには様々な度合いがあり、軽いものから重度なものまで様々です。軽いものの場合、ほとんど気づかないこともありますが、ひどいブショネの場合には顔を近づけることもできないほどとも言われています。

1-3コルク臭と呼ばれる

ブショネとは別名を「コルク臭」とも呼ばれています。といってもコルクのにおいがするわけではなく、「カビのにおい」「湿ったダンボールのにおい」にたとえられることもあります。
そのほかにも、「乾いていない雑巾」「腐った野菜のにおい」と言われることもあります。

02ブショネの原因

それではこのブショネはどのような原因で起きるのでしょうか。

2-1コルク栓の汚染

ワインの栓は、金属などのスクリューキャップで出来ていることもありますが、高級なものの場合、ほとんどが天然のコルク製。
コルクは樹皮から作られているもので、軽くて丈夫、弾力性に優れているだけでなく、断熱効果も高いことからワインを長期保存するためには非常に便利な素材。
また、刻印ができる、長さによってワインの熟成期間を表すことができるといった、ワインの栓にはうってつけの存在です。
しかし、天然素材であるがゆえに、コルクとして作られる前にはバクテリアや菌、微生物といったものが付着しがち。もちろん、コルク栓として加工される際には徹底した殺菌や消毒が行われますが、ごくまれにそれらのバクテリアなどに汚染されたコルクが混ざることがあります。
このバクテリアや菌が繁殖することがブショネの原因と言われています。

2-2化合物TCA(トリクロロアニゾール)

コルクを消毒するために使用される塩素系消毒剤もブショネの原因となることがあります。この塩素系消毒剤はある種のバクテリアと摂取することでトリクロロアニゾールという物質に変化、この化合物もブショネの原因となります。
さらに、塩素系消毒剤はコルクだけでなく熟成に使われる樽やワインを貯蔵するワインカーブの壁材や床材の清掃にも使用されますが、その際にブショネを起こして、樽やワインカーブが丸ごと汚染されることもあります。
そのほかにも、瓶詰前のボトルや木箱、輸送に使われる段ボールに存在するバクテリアなどによってもトリクロロアニゾールが発生することもあるため、ブショネを完全に防ぐことは事実上不可能であるとされています。

03酸化と劣化の違い

ワインの変質の中には、ブショネ以外にも様々なものがあります。その代表的なものが酸化と劣化です。では酸化と劣化にはどんな違いがあるのでしょうか。
・ワインはそもそも酸味が含まれている
酸化というと、ワインが酸っぱくなるというイメージですが、ワインにはそもそも酸味が含まれています。しかもワインはリンゴ酸やクエン酸、コハク酸など様々な酸が含まれているもの。そのため、ワインを飲んで酸味を感じるのは当然ということもできます。

3-1酸化して熟成するのは良いとされる酸化

また、酸化はワインの熟成を進めるうえで絶対に必要な存在です。赤ワインなどの場合、実際に飲む前にデキャンタなど別の容器に移して味をまろやかにする「デキャンタージュ」が行われることもありますが、実はこれは酸素に触れる面積を増やし、酸化を進める行為。
そのため、酸化を進めることは熟成を進めることにもつながります。

3-2熱により酸のバランスが崩れると劣化となる

このように「良い酸化」がある一方で、「悪い酸化」も存在します。
この悪い酸化は、ワインが本来持っている香りや風味、味などを壊してしまう酸化。
たとえば、コルクがきちんとはまっていない場合など、ボトルの中に通常より多くの空気が入ってしまうことがありますが、そうするとボトルの中でワインの参加が進みすぎて、酸味のバランスが崩れてしまいます。
また、空気以外にも振動や熱などによって酸化は起こります。

04ブショネの見分け方

素人にはなかなか見分けがつかないブショネと酸化。ではブショネを見分けるときにはどのようなポイントがあるのでしょうか。

4-1グラスに注いで空気をふくませる

もしブショネかもしれないと思ったときには、まずグラスに注いで空気を含ませてみましょう。ブショネの程度には様々な度合いがあるため、様子を見ながらグラスを回して、ゆっくり酸素に触れさせてみましょう。
ワインが酸素に触れた場合、不快なにおいが強くなるケースと、においが揮発してなくなることがあります。

4-21~2分放置してふたたびワインの香りを嗅ぐ

グラスにワインを注いで1~2分程度放置して、再び香りを嗅ぎます。もし匂いが悪化した場合はブショネ。逆に開封直後にコルク臭がしても放置して健康な香りならブショネではないと判断することができます。
特に自然農法で作られたワインの場合、開栓直後は独特のにおいがすることもありますが、少し待つことでそれがワインの香りか、ブショネなのかを見分けることができます。

05ブショネに当たったら?

それでは、もしブショネに当たってしまったらどう対処すればよいのでしょうか。

5-1ブショネに当たる確率

すでに説明したように、製法などの関係からコルクを使用したワインの場合、どうしてもブショネが発生することがあります。また、スクリューキャップのものでも製造段階でブショネが起きることもゼロではありません。
このブショネが起きる確率は、全体の2~3%だと言われています。

5-2それぞれの対応

もしレストランなどでブショネのワインに当たってしまった場合、その旨をソムリエなどに伝えましょう。もしブショネであれば、ワインを交換してくれます。
ただし、小売店などで販売されているワインには注意が必要。ワイン専門店などでは、ブショネへの対応を行っているところもありますが、逆に「ブショネの場合の返金や交換には応じません」と明記していることもあります。
また、量販店などではブショネの存在を知らないスタッフが販売していることも多いため、その場合にも交換や返金は期待できないでしょう。
そのため、もし高級なワインを購入する場合には、あらかじめブショネへの対応を確認しておくことが必要です。

5-3ブショネの活用方法

ではもしブショネのワインを購入した場合、捨ててしまうしかないのでしょうか。
もしブショネのワインに当たった場合、料理に使うという方法もあります。
ブショネのワインであっても、しっかりと煮詰めれば匂いは飛んでしまうもの。もちろん香りも一緒になくなってしまいますが、煮詰めてソースなどに使うことでブショネのワインを救うことができます。
たとえば肉などと相性のよい赤ワインはビーフシチュー、シーフードと相性のいい白ワインはアクアパッツァといった具合に使い分けると、せっかく購入したワインを無駄にすることもなくなります。

06まとめ

栓を抜いてみるまでは見分けることができないのがブショネ。もしブショネに当たってしまった場合、飲んでしまうことがないようにしっかり知識を身につけておきたいものですね。

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講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
勝山美幸
勝山美幸 先生
社団法人日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ(No.1676)
北海道 美瑛町生まれ札幌市在中
1999年 当時日本で最年少で社団法人日本ソムリエ協会ソムリエ資格を取得。
2002年 C.I.V.C日本シャンパーニュ委員会デュプロム取得 No.235
2005年 札幌大通り公園で毎年5月に開催されるさっぽろライラック祭り内で、7丁目に北海道のワインと食のイベント「ワインガーデン」を自らプロデュースし立ち上げる。
(総合プロデュースは2005年〜2009年)
2011年FBO唎酒師呼称資格認定
2012年 社団法人日本ソムリエ協会シニアソムリエ資格取得
2015年 シャンパーニュ騎士団ショバリエ叙任
(フランス、ルイ14世時代から続く歴史的、由緒正しき伝統ある騎士団)
2016年 フランスシャンパーニュ地方「ニコラフィアット社」公式アンバサダー任命 (世界初のニコラフィアットアンバサダーに任命)※15年連続フランス国内生産量No.1
2017年豆腐マイスター、おから味噌インストラクターライセンス取得
2018年 シャンパーニュ騎士団オフィシエ叙任
2019年から現在、料理屋botanの専属シニアソムリエール
勝山美幸

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